×

佐藤尊徳が聞く あの人のホンネ

【藤田晋×佐藤尊徳】サイバーエージェントはなぜ株主に許されるのか AbemaTV先行投資200億円

2018.02.13

企業

1コメント

写真/芹澤裕介 取材/赤坂麻実

設立から20年の節目を迎えるサイバーエージェント。インターネット広告やスマホゲームで急成長し、時価総額はいまや5000億円を超える。現在は同社が自ら運営するインターネットテレビ「AbemaTV」事業にリソースを集中。2017年の投資額は209億円にもなるが、既存事業の営業利益の4割にも達する先行投資が株主に受け入れられているのはなぜだろうか? AbemaTVの成長戦略とは――。尊徳編集長が藤田晋社長の見ている“この先”を解き明かす。

株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長

藤田 晋 ふじた すすむ

1973年5月16日生まれ、福井県出身。青山学院大学経営学部卒。学生時代にベンチャーの広告代理店で営業を経験。1997年、株式会社インテリジェンスに入社。1998年、同社を退職し、株式会社サイバーエージェントを設立。2000年3月、26歳で東証マザーズに上場、当時の史上最年少記録を打ち立てる。2014年9月に東証一部へ市場変更。
2004年9月にブログサービス「アメーバブログ(現Ameba)」、2009年2月に仮想空間アバターサービス「アメーバピグ」をリリース、根幹となる「アメーバ事業」で業績を拡大。2011年には株式会社Cygamesを設立し、ソーシャルゲーム事業に本格参入。2015年、定額制音楽配信サービス「AWA」を開始。2016年4月、インターネットテレビ「AbemaTV」を本開局。「亀田興毅に勝ったら1000万円」、稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾の3人が出演した「72時間ホンネテレビ」など話題の番組を次々配信。2017年5月、株式会社新R25を設立しメディア事業を拡大。2017年10月、仮想通貨取引事業を行う新子会社として株式会社サイバーエージェントビットコインを設立。
Twitter:@susumu_fujita

続きを見る

株式会社損得舎 代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳 さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。 井川意高氏とは2004年頃からの付き合い。仕事を通して知り合い、その後、公私を共にする仲に。

続きを見る

20年かけて築いた株主との蜜月関係

尊徳 サイバーエージェントの設立20周年、おめでとうございます。

藤田 ありがとうございます。でも、僕は10周年や20周年をあまり意識しないタイプですね。10周年のときは、そうはいっても社内が盛り上がっていたので、僕もそんな空気を感じていましたが、今は何しろ、AmebaTVに先行投資をしている最中ですから、節目の感じはありません。

サイバーエージェント社長・藤田晋

尊徳 例えば製造業なら、投資をしたら工場を建てて量産が始まって、作った製品が売れたり売れなかったりして、はた目にも事業の経過やその成否が見えやすいですが、それに比べるとサイバーが手がけるようなインターネット産業は見えづらいところがありますよね。

そんななかで先行投資をして、当然ながら損益はへこむ。これが株主に受け入れられているのは、どんな理由でしょうか?

藤田 トラックレコード(過去の実績、履歴)でしょうね。上場して18年、先行投資をして大きく伸ばすことをくり返してきましたし、投資して結果を出した後には毎回、本を書いてきました。

本の中でもずっと言い続けてきたのが、“小さく利益を出しても仕方がないから、大きく利益を出すために、まず規模を大きくするんだ”ということ。

上場して4年で黒字化したときは『渋谷ではたらく社長の告白』(アメーバブックス/2005年)という本を出しましたし、「Ameba」が一段落したときも『起業家』(幻冬舎/2013年)という本にまとめました。目の前の株価は容赦がないですが、本に著すと、さかのぼって「ああ、こういうことだったのか」と納得してもらえることもありますね。

僕としては決して「よくもボロクソに言ってくれたな」などと恨みがましい気持ちで書くわけではないんですが……。書いたらスッキリするから、正直そんな気持ちも少しあるかもしれません(笑)。

サイバーエージェント社長・藤田晋

同じことを別の経営者がやっても、それは通用しないんじゃないですか。

尊徳 説明会などで、方針に異を唱える株主もかつては多かったんでしょうか?

藤田 だんだん、いなくなるんですよね。

尊徳 わかる気がします。ソフトバンクの株主総会を例に取れば、孫(正義)さんが、もともとの本業ではなかった半導体に何兆円も投じるだとか、かなり奇抜な新規施策を打ち出しても、いまや喝采が起きる。圧倒的な支持を受ける環境を築き上げたから、そうなる。

藤田くんと株主の関係もそれに近いんだろうなと想像します。20年間、先行投資をしては大きく利益を上げるという成功事例を積み重ねてきたから、信頼関係が構築できたんでしょうね。

藤田 それに尽きると思います。同じことを別の経営者がやっても、それは(株主に支持されるという意味では)通用しないんじゃないですか。

僕は、株主に同じことを言い続けるのが大切だと思っていて、株主総会でも「必ず中長期で考えて投資をしてほしい」と話します。短期で投資を回収したい人は、投資で利益を4割も圧迫したら怒り出すでしょう。

でも、長い目で見ると、次の事業に投資しないで安穏と既存事業の利益を出すだけでは、会社の未来にとっても株主にとってもマイナスなんです。だから、トータルで見てくれと。そういうことはある日、急に言ってもダメで、ずっと言い続けることが大事です。

サイバーエージェント社長・藤田晋/政経電論編集長・佐藤尊徳

AbemaTVは10年で“ナンバーワンのメディア”に

尊徳 藤田くんが持つ中長期のビジョンはどういったものですか?

藤田 簡単に言えば、大きく投資して大きく利益を上げることです。今、通期の営業利益が、既存事業では約500億円ですが、そこからAbemaTVへの投資分の約200億円を引いて、2017年度実績が約300億円になっています。

この続きは、会員になるとご覧いただけます。 政経電論の会員になれば、
すべての記事を読むことができ、
コメントや投票ができるようになります。

無料会員登録はこちら

 

1コメント

田舎勇者

既存事業が好調なうちに次の事業をつくる。大事ですね。
しかし、200億円の投資はスゴイ。。。

2018.02.14 09:42

株式会社損得舎代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

もっと見る

この筆者の記事 ▶︎▶︎▶︎

  • 【藤田晋×佐藤尊徳】ネットはテレビで起爆する AbemaTVがマスメディアに...

    2018.02.16

  • 【JADMA会長・阿部嘉文】ドメスティックなプラットフォームが生き残る可能性

    2017.11.20

  • タレント・松尾貴史「危機感があるからこそ発信をやめない」ある意味、無神経な人...

    2017.10.16

  • 記事一覧へ

新着記事︎

  • 【藤田晋×佐藤尊徳】ネットはテレビで起爆する AbemaTVがマスメディアに...

    2018.02.16

  • 日本の防衛ってどうなってるの? 予算5兆円の使い道

    2018.02.15

  • 【藤田晋×佐藤尊徳】サイバーエージェントはなぜ株主に許されるのか Abema...

    2018.02.13

  • 記事一覧へ
「政経電論」会員募集中