警視庁で、ミイラ取りがミイラになった警察官が2人も現れてしまった。一人は暴力団組員と恋愛関係に陥った女性巡査、もう一人の巡査部長は、暴力団の資金を元手に“ヤミ金”経営に手を出していたという。
“事始め式”に顔を出すまでに
新宿署勤務だった23歳のマル暴女性巡査は、よりによって、30代の暴力団組員と恋愛関係に陥った。警視庁詰めの記者が解説する。
「もともと、女性巡査は留置管理課の所属だったのですが、昨夏、暴力団事件などを担当する組織対策課の応援に駆り出されていた。そのときに、傷害事件で逮捕されたヤクザと知り合い、交際に発展。捜査情報を漏らすような関係になっていった。しかも、一緒に旅行に出掛けるだけでなく、女性巡査はそのヤクザの組の“事始め式”に顔を出すまでになっていたのです」
今年に入り、2人の仲が噂になり、警察官の不祥事を取り締まる警視庁人事1課が調査に乗り出した。その結果、地方公務員法(守秘義務)違反が発覚し、3月19日、女性巡査は書類送検され、その日のうちに依願退職した。
暴力団の資金を元手に“ヤミ金”経営
もう1人、本所署で組織犯罪対策課に勤務する男性巡査部長のケースは、まだ表沙汰になっていない。警視庁関係によれば、
「その巡査部長は、あろうことか暴力団の資金を元手に、“ヤミ金”経営に手を出していたのです。赤坂の韓国クラブのママなどに法外な金利で貸し付けていた。ミイラ取りがミイラになってしまったで済まされるレベルの癒着ではなく、警視庁ではかなりの騒ぎになっています」
その“ヤミ金”の手口だが、さすがに巡査部長自らが直接貸し付けるわけにはいかず、以前から顔見知りだった韓国クラブの経営者を間に立てていたという。その経営者と親しい知人が打ち明ける。
「巡査部長とは、3年ほど前に知り合ったそうです。そのときは本所署ではなく、別の署に勤めていた。そこで、韓国人ホステスとヤクザの偽装結婚の捜査をしていて、それに協力したことがきっかけだった。それから仲良くなって、経営者の自宅にも遊びにくる関係になりました」
そして、1年ほど前、経営者は巡査部長から相談を持ちかけられたという。
「その相談というのは、“金貸しの知り合いがいるんだが、借りてくれるところがなくて困っている。どこか、紹介してくれないか”というものでした。そこで、経営者が“借り先”を見つけてくることになった。金利は月6%で、そのうちの1%は経営者の取り分でした」(同)
利息制限法では、10万円未満は年20%、10~100万円未満で年18%、100万円以上は年15%が金利の上限と定められている。
ところが、巡査部長の営む“ヤミ金”は月6%、つまり、年利にすれば72%というべらぼうな金利なのだ。
「これまでに、巡査部長は450万円を貸しつけています。そのうち50万円は経営者自身が借り、他は、経営者が仲介した韓国クラブのママなどです。実は、巡査部長に金利は払ってきたのですが、この問題が露見してしまったため、元本は返していないままなのです」(同)
身内には大甘と言われる警察だが…
巡査部長の禁断の“サイドビジネス”が発覚したのは、暴力団が赤坂の飲食店などから徴収していたみかじめ料の捜査がきっかけだったという。警視庁関係者が続ける。
「その捜査の過程で、暴力団が巡査部長の資金源であることを示す証拠が出てきたのです。昨年12月から、人事1課の調査は本格化し、仲介の経営者にしても十数回の事情聴取が行われました。間もなく、巡査部長は逮捕になるか、書類送検になるかわかりませんが、処分が出る見込みです」
身内には大甘と言われる警察だが、生温い処分で幕引きするのだけは勘弁してもらいたいものだ。