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平将明の“言いたい放題”

財務省解体論 公文書を偽装した最後の官僚!?

2018.04.10

政治

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民主主義の根幹を揺るがす財務省の森友学園に関する決裁文書改ざん問題は、政治家と国民に大きな衝撃を与えた。真相に注目が集まるなか、事の中心にいた佐川前国税庁長官の証人喚問は不発。しかし、平議員はこの事件が今まで停滞していた法律や制度が変わるきっかけになるという。財務省の存在意義はいかに。

文書を大事にするのが役人のカルチャーのはず

本来、「文書」というものは、役所や官僚の世界では本当に大事にされるものです。民間では聞いたことがない役職だと思いますが、大臣官房には「文書課長」という役職があって、このポストに就くことは大変な出世コースといわれています。それほど文書を大事にしているのが役所のカルチャーです。

役所では、人が変わっても行政が確実に継続性をもって遂行されるために、文書に重きを置いているわけです。その文書を自分たちの都合のいいように書き換えてしまおうなんて、普通の官僚だったら絶対に思いません。当然法律違反にもなります。また、無理難題を言ってくる政治家や、コンプライアンスの観点からも、官僚の身を守ってくれるのが、(そのやり取りや経過を記録した)文書であったりします。

しかし今回、官僚の身分や立場を守るはずの文書を官僚自らが書き換えてしまった。ひとつ書き換えるとつじつま合わせするために、数百カ所の文書を書き換えるようなことが起きたわけです。そんなことを官僚がやってしまうというのはまったく想定の範囲を超えているものです。与野党の議員にも大変な衝撃を与えました。

決めつける前にまずは真相糾明を

決裁が終わった文書を書き換えるというのは“あってはならない”こと。民主主義の根幹にかかわります。議会でのやり取りにおいて、嘘の情報や都合よく書き換えられた情報をベースに政府が答えていたということになります。答弁に信頼が無くなれば政府も議論も機能しませんし、国家のガバナンスにかかわる大問題ですから、与野党問わず真相を追及すべきです。

3月27日の佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問では、誰の指示で、なぜ書き換えられたのかということが、佐川氏の「刑事訴追の恐れがあるのでお答えは控えさせていただきます」という答弁で、一番肝心なところが何もわかりませんでした。

財務省の調査や検察の捜査も進んでいるので、結果を待つことになります。

一方で、一部の自民党の国会での質疑を見ると、財務省の官僚を怒鳴り上げたり、財務省の陰謀説を唱えたりして、真相を糾明しないうちからあたかもストーリーをつくっている印象を与えます。テレビを見ている人の中にも嫌悪感を覚えた人も多かったようです。

私たち与党はある意味政府と一体で、権力の側にいるので、マスコミや野党と同じテンションでストーリーを決めつけるようなことをやってはいけません。また、ネット上の過激なブロガーと同じノリで与党の議員が国会で質問をしてもいけません。冷静に淡々と、ファクトベースで真実を明らかにしていくべきです。そして、政府与党の一員としての責任があるのですから、謙虚でなければなりません。

政治家も責任を取らなければならない

責任問題については、官僚だけが責任を取って終わり、というふうなことにはなりません。しかるべき立場の政治家が責任を取らなければ、この問題は終わらないと考えています。

政治家が政務三役(大臣・副大臣・政務官)を担い、管理監督するために各省庁へ入っているわけです。そもそも政治家は決断したり、責任を取るためにいるのですから。民主主義の根幹にかかわるこれだけ大きな不祥事を、官僚だけの責任にして、政治家が誰も責任を取らなければ、それこそ国民が納得しないでしょう。

この件の関して、総理が個別具体的指示をするとは思わないですし、財務大臣が指示することもあり得ないと私も思います。ましてや官邸の優秀な官僚が役所の出先の現場の文書を書き換えろなんて絶対に言わないだろうと思います。

では、それを現場にやらせてしまった空気感というのはどういうものか。しっかり検証し、反省する必要があると思います。

与党議員にせよ、大臣にせよ、総理にせよ、総理夫人にせよ、権力の側にあるものは、その権力のパワーを十二分に認識し、自らの発言や行動がどれほどの影響力を他の人々に及ぼすかをしっかりとイマジネーションを働かせ、抑制的にふるまうことを忘れてはいけません。法律違反に問われることではありませんが、心得るべきマナーではあると思います。

民間は人事がほぼすべて。意見を言う人、能力の高い人など適材適所で配置したら役所はちゃんと機能したと思う。誰かきちんとした責任の取らせ方をしないと絶対に収まらない。“しかるべき立場”の政治家といったら麻生財務相しか思い浮かばないが……さて、どうなるか。

再発防止する4つの方法

1.「公文書管理法」

福田康夫政権のときに成立した「公文書管理法」というものがあります。そこでは公文書は国民のものだという原理原則を定義しています。違反に対する罰則規定はなく、今回のようなケースも想定していません。

昨年の陸上自衛隊の日報問題を契機に、保存すべき文書の範囲や保存期間などについて公文書管理法のガイドラインを変更しました。その上で今回の問題を踏まえてさらにガイドラインを変えるのか、法律自体を変えるのか、罰則を設けるのかという議論も重要です。公文書管理法という法律があるのですから、もう一度、公文書の在り方を議論することが必要でしょう。

2.「公益通報者保護制度」

「公益通報者保護制度」という内部通報制度もあります。例えば、ある官僚が上から改ざんを指示されて、おかしいと思っても逆らえない状況にある。それで改ざんをして良心の呵責で自ら命を絶つなんてことは、絶対にあってはなりません。上司から言われても第三者に「法令違反の疑いがある」と言える通報制度をちゃんと機能させなければならないのです。

上に立つ人がその影響力に対するイマジネーションも無く発言したことを、受け手の官僚が重く受け止めて、そのつじつま合わせでその下にしわ寄せが来て、そこでまじめにやっていた人たちが追い込まれることはあってはなりません。

3.「デジタル文書管理・決裁」

再発防止の仕組みを構築することも必要です。今回もデジタルデータ残っていましたが、クラウドで管理するなどしてもっと「デジタル文書管理・決裁」を進めた方がいい。書き換えるのであれば、誰が権限者なのかを明確にしてログが残るようにする。もっと言えば、ブロックチェーンを活用すれば書き換えることはできませんでした。

書き換えが良いか悪いかではなく、書き換え自体はできなくなる仕組みをビルトインするということが肝心です。

4.「官僚の文書管理の再教育」

先にも述べたとおり、文書は官僚を守るためにもあるのです。その文章を官僚自らが書き換えるなんて本当に考えられません。今一度、文書の重要性を官僚の皆さんに強く認識してもらう必要があります。

真相を究明し、しかるべき立場の政治家が責任をとり、そして4つの方策を実現して、ようやく再スタートです。これらの改革を実現し、今回の件を、公文書を偽装した“最後の官僚”にしなければなりません。

「透明性」と「正義」と「誠実さ」と

こういう大きな不祥事が起きたときは、原理原則に立ち戻ることが肝要です。それは、「透明性(Transparency)」、「正義(Justice)」「誠実さ(Honesty)」です。

誰を守るのかという方針を最初に決めてしまうのが最悪で、原理原則に戻って、端から見たら「そこまでやるか」というくらいの透明性で厳しくやらないと結局、事態は収まりません。

行動基準の判断は、これをやるとこの人に害が及ぶとか、進退にかかわるとかを考えるのではなく、何が正義か正義じゃないかです。そして誠実に、徹底的にやることです。そこまでやれば、結果本来守ろうとしたものが守られるということはよくあることです。逆に、原則を忘れ、最初から誰かを守る方針でことに臨めば、すべてを失う可能性が高くなるでしょう。

森友学園問題や加計学園問題にしても、安倍首相や麻生財務相は知らなかったのでしょう。しかし、内閣人事局に代表されるように、運用の仕方、ガバナンスのきかせ方が間違っていると思う。

政治主導でやるのも構わないし、審議官以上の人事をやるのも構わない。ただ、運用の仕方によって今回の忖度は生まれたのだとしたら、そうさせてしまった原因は安倍首相にあると思う。

そして財務省の解体へ

私は昔から財務省解体論を持っていますが、今、このタイミングで自民党がそういうことを言うと、財務省だけがすべて悪いから解体するという文脈でとらえられることも考えられます。やはり真相糾明して責任を取り、再発防止をしっかりしなければなりません。その上で、財務省をどうするかという“平案”を話したいと思います。

財務省は、どこにどれだけの税金を投入するかという予算編成する「主計局」、どこからどれだけの税金を徴収するかという税制度の企画・立案をする「主税局」、国有財産などを管理する「理財局」などから成っています。ざっくり言うと、フローの歳入(主税)と歳出(主計)とストック(理財)に集約されます。

社会保険に関する業務は日本年金機構が担っていますが、最近も過少支給が発覚するなど構造的な問題を抱えています。税金を納めるのも保険料を納めるのも国民から見たらお金を払うことには変わりはありません。税金も年金も負担と給付はフェアであるべきですし、年金徴収のシステム自体、立て直す必要があります。そこで、主税まわりの国税庁、国税局、税務署と年金機構を統合して「歳入庁」を新設します。税金と社会保険料を合わせて徴収する方が合理的だと思います。

歳出は主計局が予算編成を担っていますので、それを財務省から切り出して「内閣予算編成局」にして、内閣人事局の隣にもっていきます。今は財務省仕切りでシーリングなど予算の枠を大きく動かせませんが、内閣予算編成局を作ると大胆な予算の組み換えができるようになります。

理財局は国有資産の管理をしていますが、本来、国が資産を持つ意味はあまりありませんので、どんどん売却して民間に活用してもらい、理財局は縮小していけばいいと思います。国債の資金繰りなど残った機能はひとつにまとめて別機関とします。

結果として、財務省は解体されることになります。

これまで歳入庁の構想が挙がっていながら反対が多く、進まなかったのには理由があります。まず、税金と保険料は別ものだという原理原則というか建て前がある。税金は脱税したら事件になるほど厳格にやりますが、社会保険料はある意味で自己責任です。年金には半分税金も入っていますが、払わなかったらもらえない。また、財務省は日本年金機構のような問題の多い組織と一緒になりたくないという話もあるでしょう。

しかし、行政改革の観点からいえば財務省は解体するべきです。

内閣に権力を集めて行政をより政治主導に

権力の根源はお金と人事。内閣人事局の隣に内閣予算編成局を置き、内閣に権力を集めます。実務は官僚がやりますが、大きな方針は与党の議論や官邸の考えをベースにすることになるので、より政治主導になります。

いま内閣人事局が問題視されていますが、私は、仕組み自体は悪いとは思っていません。運用の問題で、権力を持ったからこそ、誰から見てもフェアだと思える運用をすることが大事です。

内閣に人事局と予算編成局を持ってくるわけですから、政治主導になり権力は集中します。それだけに今まで以上に国民が権力を監視し、その内閣に問題があれば選挙を通じて政権を代えることができる環境を整える必要があります。そのためにも、1回の選挙で完全に政権交代が可能になる一院制が望ましいと私は思います。

国民の怒りは僕のところにもたくさん来ている

財務省もダメダメなのは確かだ。民間企業の経営者は監督官庁の言うことを聞いて納税もしている。それで役所がこんなことをしていたら、信じられなくなるし、国民の怒りは僕のところにもたくさん来ている。

だからこそ、和田政宗議員や西田昌司議員らの国会質疑を聞いていると胸くそ悪くなる。ただ、これはある意味でチャンス。こういうことがないとあの巨大官庁を変えることはできないから。

この問題の最中にG20(3月19-20日、アルゼンチン)があったけど、麻生財務大臣を止めとく必要はなかったはず。野党も「俺たち一時休戦するから国益のために行って来い」くらい言えないものだろうか。そしたらセンスあるなあと思うんだが。

衆議院議員

平 将明たいら まさあき

1967年2月21日生まれ。早稲田大学法学部卒。衆議院議員(5期)自由民主党 選挙区:東京4区(大田区)。サラリーマンを経て家業を継ぎ、経営者として働く傍らで公益社団法人「東京青年会議所」理事長を務める。2005年、初当選し政治家に。自民党経済産業部会長、衆議院決算行政監視委員会理事、経済産業大臣政務官、衆議院内閣委員会理事、内閣府副大臣(第3次安倍改造内閣)などを歴任。

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