経済

NISAは、どうして10年間の時限措置なのか?

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尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.NISA(ニーサ)は、どうして(何のために)10年間の時限措置(いずれ終わる制度)なのですか?
A.【10年間は「特別に」無税にして株式取引に馴染んでもらいたい】という国としての狙いがあるからです。

 もともと、欧米に比べて日本は、金融資産のなかで預貯金の占める比重が圧倒的に多いのです。日本では株式投資を投機(金融資産の価格変化から利益を得ようとする行為)と考え、ギャンブルと捉える人も少なくないことも影響しています。しかし、資産効率で言えば預貯金よりも、株式投資の方が高いので、個人金融資産を株式投資に振り向けようと、さまざまな施策が取られてきました。

 直近は、株式などに掛かる税金(売却益、配当課税など)は軽減税率が取られてきました。本来は売却益などに20%の税金(国税と地方税合わせて)がかかるのを、10%にしていました。延長を続けてきたのですが、2013年末に本来の税率に戻されました。そこで、新たな施策として「NISA」が作られたのです。イギリスのISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)の日本版として、NISAといわれる少額投資非課税制度がスタートしました。

 なぜ、10年の時限措置なのかということですが、本来経済活動には例外を除いて必ず税金が掛かります。親子間の資金移動でも贈与税が掛かりますから、少額(年間100万円まで)であっても、株式取引に税金が掛からないのはおかしいのです。

 ですから、【10年間は「特別に」無税にして株式取引に馴染んでもらいたい】というのが国としての狙いです。いきなり恒久化をしてしまったら、「他の税金も無税にしろ」という議論も起きかねません。ということで、10年間の時限立法なのです。(佐藤尊徳)
[参考:2014年4月7日 日経新聞 社説「NISAを普及させるには」]