政治

課題は教育の中立性 お笑いジャーナリスト・たかまつなならが主権者教育を議論

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3月に発足した「若者の政治参加検討チーム」の会合の第2回が行われ、自民党議員や省庁の担当者に加え、お笑い芸人のたかまつなな(23)らがゲスト参加した。

主権者教育で全国行脚するお笑いジャーナリスト

4月5日、若者の投票率向上などを目指す「若者の政治参加検討チーム」の会合の第2回が行われた。第1回のテーマ「投票環境の整備」に続き、第2回のテーマは「主権者教育」。

今回ゲスト参加したたかまつななは、東京大学と慶應大学の2校の大学院に通う大学院生で、お笑いを通して社会問題を発信したいと活動しているお嬢様芸人だ。お笑い的な外見とは裏腹に、「お笑いジャーナリスト」を名乗り、出張授業として全国の高校・大学を中心に巡り、自ら主権者教育を行なっている。

「昨年の6月から1年弱で5000人くらい授業をさせていただきました。高校生にもいろんな高校生がいて、いすに座ることさえ嫌だという高校生にどうやって政治に関心を持ってもらうか。そういう人にこそ政治でいろんなことが変えられるということに気づいてほしい」(たかまつ)

直に学生に触れてきたたかまつには、議員や官僚にはわからない感覚がある。

「行くのは”荒れてる”学校もあって、生徒が前を向いて授業を受けたというだけで先生が喜ぶこともありました。こういう有識者会議に来られる方はものすごくレベルが高い。でも、今日はそういう学校のことも知ってほしい」

»『政治の絵本 現役東大生のお笑い芸人が偏差値44の高校の投票率を84%にした授業』(たかまつなな著)

たかまつなな

中立的な教育とは何か

「主権者」とは、投票権を有する有権者だけでなく、子どもも含めた日本国民全体を指す。18歳投票権が解禁された昨年の参議院選では、政府や自治体がキャンペーンを行ない、多くのメディアで取り上げられ、学校でも出前授業や模擬選挙に取り組んだ結果、18~19歳の投票率は46.78%にまで達した。

全体の56.08%と比べると下回っているが、すぐ上の20代は投票率35.56%。18歳選挙権解禁のボーナスと見る向きもあるものの、周囲からの情報提供が投票率につながることが浮き彫りになった。

そんななかで検討される主権者教育の在り方。大きな課題となってくるのは、”教育の中立性”だ。

文科省によると、9割以上の高校で主権者教育の実施予定があるものの、その内容は「公職選挙法や選挙の具体的な仕組み」が7~8割、「現実の政治的事象についての話し合い活動」が3割程度、「模擬選挙等の実践的な学習活動」が3~4割と、仕組みを教えることに終始している。

その理由について東洋大学社会学助教の林大介氏は、SNSなどで叩かれることを懸念するあまり、「政党名を一切話さず、選挙公報を配っただけで模擬選挙を行なったという極端なこともある」と、教師が萎縮する例を挙げる。

また、「実在する政党名で模擬選挙を行なおうとした都内の公立中学校では、実施前日に学校長からストップがかかり、『自民党』を『くまさん党』、『民進党』を『うさぎさん党』とするというように架空のものに置き換えて、政策で選ぶ形で模擬選挙を行った」と、上司から圧力がかかるケースもあるという。これらの例から、中立性の問題が風潮によるものだということもよくわかる。

長年の風潮は簡単に払しょくできない

公職選挙法では、実際の政党名を出すことは問題ない。ではなぜ萎縮が起きるのか。

昭和44年、大学紛争等を懸念した文科省は、学校で特定の政党を支持・反対する教育をすることをNGとする「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という通知を出している。

その後、今回の18歳選挙権導入に際して平成27年に文科省が出した同様の通知では、上記を廃止し、逆に主権者教育を推進。その間、約46年。それまでに醸成された風潮は簡単に払しょくでるものではないだろう。

また、平成27年の通知においても、教育基本法では特定の政党を支持・反対するための教育や活動がNGであることに留意するよう伝えている。この枠の中で教育を考えたら、先述のような内容になることは仕方ない。今後の主権者教育にあたっては、省庁側からもっと強く周知する必要があるだろう。

出席者

たかまつなな(お笑い芸人) 林大介(東洋大学社会学部助教) 原田謙介(NPO法人Youth Create代表) [議員]小倉将信氏(35・2期)、小林史明氏(33・2期)、鈴木憲和(35・2期)、鈴木隼人氏(39・1期)、宮路拓馬氏(37歳・1期)、村井英樹氏(36・2期)、佐藤啓氏(37・1期)、山下雄平氏(37・1期)ほか