当たり前のことですが、ローリスクでハイリターンが期待できるような投資は世の中に存在せず、高いリターンを得られる金融商品は、すべて相応のリスクを負うことになります。もっとも、「だから、手を出さないのに越したことはない」と思ってしまうのは早計。少額からチャレンジすれば、リスクを低く抑えつつも、大きく増やせるチャンスが開けてきます。
少額投資でリターンの可能性を広げる
たとえば50万円の余裕資金があったとして、その全額をハイリスク・ハイリターンの投資に回したらどうなるでしょうか?
もし半値になってしまうと、一気に25万円が消し飛んでしまうことになりますが、投資額を1万円にとどめておけば5000円の損にとどまり、49万5000円は無事です。逆に、倍になった場合は、50万円全額投入していると100万円になりますが、1万円の投資では2万円にしかなりません。
しかし、投資において肝心なのはうまくいった場合のシミュレーションではなく、最悪のケースが現実となっても耐えられる損失にとどめておくこと。だからこそ、リスクの高いものには少額でチャレンジするのが無難なのです。
少額だとリターンも限られてきますが、着実に利益を積み上げて元手が大きくなっていけば、状況も変わってきます。資金に余裕があれば、投資額の許容度もアップするもの。仮に500万円まで殖やすことができれば、50万円に対する1万円と同じ感覚で10万円を投入することができるでしょう。
このように、少ない資金でチャンスを増やすことがリターンの可能性を広げるのです。
FXは概ね1000通貨単位から投資可能! しかもレバレッジを効かせられる
では、少額からトライできる投資対象としては、具体的にどんなものがあるのでしょうか? 一番に挙げられるのは、「FX(外国為替証拠金取引)」です。
FXは、ドルやユーロ、ポンド、豪ドルといった外国の通貨を円建てで取引できる金融商品です。短期で大きな値動きをするので、取引するには証拠金が必要となってきます。ただし、預けた証拠金の最大25倍に相当する資金を動かして為替差益を狙うことが可能。これを投資の世界では、“レバレッジを効かせる(テコの原理を働かせる)”と表現します。
たとえば、1万円を証拠金に入れた場合、最大25倍の量の通貨、つまり25万円分の外国為替の取引をすることができます。25万円が30万円にアップすれば、1万円が5万円になるという計算です。
為替差益
為替相場の変動に伴って得られる利益のこと。たとえば、1ドル=100円の時点で買って120円まで円安が進んだタイミングで売れば、1ドル当たり20円の差益が得られる。1000ドル(10万円)の取引を行っていたら2万円の利益となるわけで、FXならこれを数千円の証拠金を預けるだけで達成できる。
しかも、FXは概ね1000通貨単位から始められます。少ない資金を元手に、その何十倍もの資金をマーケットで動かしてハイリターンの為替差益を追求できるのです。
また、為替のマーケットが24時間ノンストップでオープンしていることも、FXの魅力のひとつだといえるでしょう。夕方を迎えて日本の取引時間が終了する頃にはヨーロッパで取引開始となりますし、日本時間の深夜にはアメリカのマーケットもオープンします。
利益確定と損切りの自分ルールを作っておく
さらに、円安局面だけでなく、円高局面で利益を得られるのもFXのメリットです。
たとえば、1ドル=120円の時点で売りを入れて、100円まで円高が進んだところで買い戻して決済するというトレードが可能で、その場合も1ドル当たり20円の差益を得られます。株式の信用取引でも売りができますが、預ける証拠金はFXのほうが少なくて済みます。
ただし、FXは少額からハイリターンを狙えるだけに、相応のリスクも伴います。というのも、損が発生した場合にもレバレッジが効くために、仮に1ドル当たり20円の為替差損が発生し、1000ドルの資金を動かしていたら、2万円を失ってしまうことになります。
そして、損失の発生によって預けている証拠金が減り、所定の比率を割り込む(証拠金不足に陥る)と自動的にロスカットが行われてゲームオーバーとなるのです。
ロスカット
それ以上ダメージが大きくなるのを防ぐために、損が出るのを承知で決済を行うこと。「損切り」とも表現し、これを行ってダメージを小幅に抑えながら、読み通りの展開となった局面でできるだけ大きな利益を得るように心がければ、極端な話、1勝9敗でもトータルでは資金を増やせることも。
しかし、そういったルールを逆手に取れば、FX投資でも”放置”が可能。
あえて最小限の証拠金しか預けず、それが強制ロスカットとなったら、潔く負けを認めるという手法がそのひとつ。その場合も、「いくらになったら決済して利益を確定させる」という水準をあらかじめ定めておくことが必要です。なぜならFXは値動きが大きいので、利益確定のメドを考えておかないと一瞬で逆の方向に振れ、チャンスを逃すことがあるので。
あるいは、逆に証拠金を多めに預けたり、かけるレバレッジを低めに設定したりして、強制ロスカットとなりにくい状況にするのもいいでしょう。むしろ、こちらのほうが王道かもしれません。その場合も利益確定と損切りの水準を決めておくことが前提です。
要するに、自分なりに為替相場の方向性を予測したうえで、利益確定とロスカットの注文を入れておき、その後は放置するという算段です。為替相場は膠着状態になることもあれば、急変することもあり、どれだけ放置できるのかは相場次第といえるでしょう。
【TOPIC】重要イベントの日程を覚えておこう
経済指標の発表や金融政策の行方は、為替や株価などに大きなインパクトをもたらすことがあります。特に為替相場が注視しているのは、米国雇用統計、FOMC(連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合。 それらが事前予想に近い結果であれば、すでにそのことが相場に反映されていることも少なくありませんが、想定外だと急騰や急落につながります。こうした重要イベントの日程は事前に告知されているので、ネットなどで調べて頭に入れておきましょう。
アメリカの雇用統計発表時にはドル円が大きく動くこともある。
そのため、発表の前後のTwitterのタイムラインは、アナリストの予想や個人投資家の事前の戦略などであふれかえる。