4月、事業構想大学院大学を手がける学校法人日本教育研究団が、広報のプロフェッショナルを育成する社会情報大学院大学を開学。高度情報化社会に向かう中、企業や行政をより良い方向に導く人材はいかにして輩出されるのか。
学校法人 日本教育研究団 社会情報大学院大学
所在地:東京都新宿区高田馬場1-25-30
設置研究科等:広報・情報研究科 広報・情報専攻
学位:広報・情報学修士(専門職)
修業年限:2年間
修業日:平日夜間、土曜日
入学定員:40名
入学選考:書類審査、面接選考
入学時期:4月
問い合わせ:TEL 03-3207-0005
社会と組織をつなぐ広報
企業活動における広報の役割とは何だろうか。例えば、事業やサービスを世に広めること、あるいは経営者の理念を正しく伝えること、メディアからの取材に対応すること。それらはすべて、企業と社会の関係を構築することと言ってもいい。
ネットを介してあらゆる情報が飛び交う今、企業に対する世間の目は厳しさを増す一方だ。そのため、企業が社会でどのようなポジションを担い、ステークホルダーにどう見られるかという重要性は日に日に大きくなっている。
そんな時勢の中、文部科学大臣の認可を受け、社会情報大学院大学は開学した。4月5日に行われた入学式には、次世代の広報のプロフェッショナルを目指す1期生47名が出席。入学に際して、院生代表者は「企業の理念に基づいた独自価値を発信し、広報を経営機能の一部として確立させること」を決意表明に掲げた。
理事長の東英弥氏は、設立への思いを下記のように述べている。
「広報においては、理念を基軸にした考えと行動が重要です。それがないと、継続性をもって世の中の一翼を担うことはできません。商品やサービスをブランドとして確立することは容易ではないという話をよく聞きます。
ブランドには大きく分けて企業ブランドとプロダクトブランドのふたつがありますが、例えば商品を売り出す際には、メディアの特性を研究した上で、世の中に受け入れられる企画を考える必要があります。
自ら知識を得た上に、メディアや広告会社等の専門家の力を借りることも有効です。同時に、この先は、1期生や教職員、メディア、広告関係会社の皆さまとともに、理念の大切さを研究し、日本にあるたくさんの資産、魅力ある会社を適切に広報する方法を導いていきたいと考えています」
プロフェッショナルへの道
同大学は、広報の専門家を育成する日本で唯一の専門職大学院。入学するのは、企業や官公庁の広報担当者をはじめ、CIO(Chief Information Officer)やCCO(Chief Communication Officer)などの情報担当役員、さらには議員・政策秘書のほか、それらを目指す人ら40数名。
社会人が履修しやすいように、時間割は平日夜間[18:30~21:40]の2時限、土曜日[10:30~17:50]の4時限が設定されている。授業期間は原則35週だが、夏季・春季休業期間も特別授業を開講する。
教育研究分野は、「メディア」「企業・行政広報」「経営情報」などの情報の利活用から「ビッグデータ・ネットワーク」「SNS」などのシステム・インフラ系まで多岐にわたる。高度情報化社会を見据えたテーマは広く、深い。
少数精鋭で2年間にわたり社会情報を研究し、最終的に実践的な広報・情報戦略を構築することを目指す。カリキュラムの達成と広報計画をまとめた研究成果報告書をもって広報・情報学修士を取得することが可能だ。
クリエイティブな広報を目指す
広報はプレスリリースを作成したり、メディアからの取材依頼に対応するといった”受け身”の仕事だと受け取られがち。しかし同大学では、これからは広報にこそクリエイティビティが必要だと説く。
「企業経営や行政の現場では、社会変動を視野に、情報を分析し、戦略の立案と実行で企業や社会を変革する新たなリーダーが求められています」(学長・上野征洋氏)
まず、組織の成り立ちを理解することで過去を知り、時勢を読むことで現在をとらえる。そして、社会の変化を感じ取ることで未来を見通し、企業に必要な創造的発信を行う必要があるという。
時には危機に面した企業を守るために、従業員や株主に対して的確なコミュニケーションが求められることもあるだろう。そんなときに必要なのは、卓越した洞察力と多彩な情報発信力を身に着けた高度情報化社会におけるリーダーとしての広報なのだ。
こうした時代のニーズを背負い、同大学は、社会情報と広報に特化した特徴ある専門職大学院として、企業・行政の経営体の最前線で、先端的な広報・情報戦略に取り組む人材を育成していく。