政治

「どうせ」とあきらめないで ミュージシャン・グローバーらが若者の政治参加を推進

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自民党の「若者の政治参加検討チーム」の会合第5回が6月5日に行われた。ミュージシャンのグローバー氏(39)と、三井物産戦略研究所研究員の藤井明子氏、NPO法人ドットジェイピー学生代表の石原田拓郎氏がゲスト参加し、「若者の声を行政に届けるには」をテーマに意見交換した。

「どうせ」という諦めが閉塞感を生む

前回の会合では、「インターネット投票の導入」「多様で身近な投票所の整備」「被選挙権年齢引き下げ」「供託金引き下げ」の4つの緊急提言をまとめ、選挙制度調査会へ提出。引き続き若者の社会参画を掘り下げていく方針だ。

第5回の会合冒頭では、三井物産戦略研究所の研究員を務める藤井氏が、若者の政治参画の関心度などを数値化し、問題を提起。

「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」という項目に対して若者は、61.2%が「そう思う」と回答。若者の政治への関心度は低く、シルバー民主主義を加速させる要因だと指摘した。(出典:平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査)

「そうは思わない」とは答えづらい質問項目ではあるものの、藤井氏は、政治的無関心やシルバー民主主義の現状が、若者の投票率を低下させる悪循環を生み出し、「どうせ」という諦めの意思は社会の閉塞感や停滞感を増幅させてしまうと分析。

一方、 若者の投票率を上げるために活動を続けるNPO法人のドットジェイピーでは、5月22日に学生59名と議員の政党横断イベント「夜まで生テレビ」を開催。自民党や公明党をはじめ、社民党の福島瑞穂議員や自由党の山本太郎議員ら議員約20人と意見を交わしたという。

学生代表の石原田氏は、「直接話をしないとわからないことがたくさんありました。メディアを介さないコミュニケーションは政治の印象を良くしてくれましたし、”知りたい”という意識が強くなりました」と語った。

アクションを起こせば社会は変えられる

会合では、若者の意見を直接行政に取り入れる仕組み作りが重要であるとし、取り組みを実施している自治体を参考に挙げた。

例えば、人口約1万4千人の山形県遊佐(ゆざ)町では「少年町長・少年議会」制を採用している。中高生が有権者となり、立候補した有権者の中から、少年町長1人と議員10人を選挙で選ぶ仕組みだ。

所信表明や政策提言、議会報告など、計3回の少年議会が開催され、「町のイメージ・キャラクター決定」「特産品の企画開発」「ミュージックフェスティバルの主催」「バス停のベンチ・雨よけの設置」「東日本大震災への募金活動」「被災地の小学生との交流会」などの政策を実現している。

政策予算45万円のほか、政策提言を所轄課が予算化し、若者が”自分たちの活動が社会を変える”という実感を得ることができるという。

このような体験を浸透させるために、チームは「審議委員会への登用」や「若者の会議体の設置」を推進していく意向を示した。年内には提言をまとめる方針だという。

また、2児の父親であるグローバー氏は、若者が政治に関心を持てる環境をつくっていくことに賛同し、自身の経験を踏まえて心境を語る。

before

「私がこれまで政治と向き合ってこれたかというと、とても胸を張れるような20代ではなかったといえます。

ですが、結婚して子どもができて、30代になったことで意識の変化があった際に、『さあこれから』と政治の勉強や情報収集を始めたところで、日常のさまざまなことに忙殺されてしまう。土台となる政治の知識が無いことで、入り込むのが難しいんです。

この状況に置かれて初めて、私も10代、20代の頃にしっかり向き合っておくべきだったと後悔しました。そういう立場だからこそ、子どもたちには政治と向き合える道筋を示してあげたいと考えています。

言われて勉強するのではなく、自主的に政治への興味関心を持っていくことが大切だと思います」

【過去の会合】

第1回:若手議員が若者の低投票率改善に立ち上がる

第2回:課題は教育の中立性 お笑いジャーナリスト・たかまつなならが主権者教育を議論

第3回:自分の声が届けば若者は政治に参加する?眉毛ガール・井上咲楽を招いた「若者の政治参加検討チーム」会合第3回

第4回:自民党の若手議員が選挙制度調査委員会に緊急提言