米中間選挙が11月6日に投開票され、トランプ大統領率いる共和党が上院で多数を確保したものの、下院で民主党に敗れた。上下院で多数派が異なる“ねじれ議会”となり、トランプ大統領は難しい政権運営を強いられる。
大統領自ら激戦区にテコ入れして上院過半数を維持
アメリカの中間選挙
2年に一度、11月に行われる連邦議会上下院の選挙のうち、大統領選の合間の年に実施されるものを指す。各州から2人ずつ選ばれる任期6年の上院(定数100)は全議席の約3分の1、人口比例で配分される任期2年の下院(定数435)は全議席が改選となる。多くの州知事選も同日、行われることから、これらをまとめて中間選挙と呼ぶ。
米CNNなどによると、上院では共和党が過半数を確保、下院では民主党が過半数を獲得した。選挙前は上下院ともに共和党が多数派。トランプ大統領の政治手法への反発から民主党が優勢とみられていたが、大統領自ら激戦区にテコ入れしたことで上院は過半数を維持した。
中間選挙は現職大統領にとって「中間試験」のようなもの。今回もトランプ大統領の政権運営や政治手法に、国民が現時点での評価を下す場となった。この2年のトランプ大統領の女性蔑視発言等の言動や移民排斥等の政策に反発する声が下院での民主党の勝利につながったが、一方で、白人保守層のトランプ大統領への支持が底堅かったことも示した。
また、民主党にオバマ前大統領に代わる“顔”がいないこともはっきりした。2年後の大統領選を見据える大統領は「ものすごい大成功だ」と強調しているが、選挙結果にほっとしているのも事実だろう。
内政が停滞したら外交はより強硬に?
とはいえ、政権運営は確実に難しくなる。アメリカの議会は、日本のように各政党が法案への賛否を決めて議員に指示するわけではなく、議員本人が賛否を決めるが、それでも民主党が反対する法案を可決させるのは難しくなる。
8年ぶりに下院を奪還した民主党は委員長ポストを独占し、大統領や側近のスキャンダルや疑惑を議会で追及することもできる。中間層の減税や不法移民対策などトランプ流の政策は共和党単独での実現が困難となった。
ただ、議会の対立が激化して政権運営が停滞すれば大統領が“議会の責任”を強調するのは明らかだし、国民の批判が法案審議を停滞させる議会、つまりは民主党に向く可能性もある。そうすればトランプ大統領にとっては追い風となり、次期大統領選に向けて有利に働く可能性もある。新たな“顔”のいない民主党にとっても難しいかじ取りが迫られる。
一方、内政が停滞すれば大統領は外交や通商で成果を出そうと躍起になるだろう。貿易赤字の相手である日本にも一層、厳しい対応に出る可能性があり、米中関係などにも影響を与えそうだ。