外国人労働者受け入れ拡大へ 入管法改正案の何が問題か

2018.12.04

政治

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写真/Anirut Thailand Shutterstock.com

外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(入管法)改正案が衆院本会議で可決され、参院に送付された。審議時間が少なく、議論が深まっていないことから野党は「強行採決だ」と反発。世論調査でも今国会での成立に否定的な声が多い。現在、参院で審議中の入管法改正案のどこが問題なのだろうか。

入管法改正は実質的な移民政策?

入管法改正案は国内の深刻な人手不足を受け、外国人労働者の門戸を広げるために政府が今国会に提出した。具体的には現在、国内で働くことのできる医師や弁護士など17の資格に加え、「特定技能1号」と「特定技能2号」という新たな在留資格を設ける。人手不足が深刻な介護、建設などの業種を想定し、日本語能力や必要なスキルを持った人材に限って単純労働でも就労を認めるという制度だ。

1号は最長5年だが、より難しい2号は何度でも更新することができる。家族の帯同も認められる。来年4月に施行する予定で、政府は当初5年間で累計26万~34万人程度受け入れる見込みとしている。

人手不足の問題は与野党ともに認識の一致するところだが、野党が最も批判するのは「実質的な移民政策になるのではないか」という点だ。

2号の資格を取れば家族とともに何年でも日本に滞在することができ、滞在が10年を超えれば永住権取得の条件の一つを満たす。日本はこれまで移民をほとんど受け入れてこなかったが、この法律が通れば実質的に移民の受け入れを拡大することになり、治安の悪化などを招くのではないかというのが反対派の意見だ。

「省令」推しは“国会軽視”ではないのか

また、野党は法案の内容に“検討中”の課題が多いことも問題視している。例えば1号の対象業種として政府は介護、建設、自動車整備などの14業種を「想定している」と説明しているが、具体的には法案成立後に「省令」で定めるとしている。

省令というのは政府、今回であれば法務省が定めることができ、国会で審議されることもない。こんな重要な事項が国会を素通りし、政府が自由に決めていいというのはいかがなものか、というのが野党の論理だ。

国会でも衆院での審議時間は17時間だけ。重要法案は最低でも20時間審議するというのが通例だが、入管法改正案はかなり少ない。衆院議長が来年4月の施行前に省令で定める事項を国会に説明するよう求めているが、実際に国会が内容に関与することはできない。野党のいう“国会軽視”という批判も的外れではない。

朝日新聞が11月に実施した世論調査によると、外国人労働者の受け入れについては「賛成」が45%、「反対」が43%で拮抗。ただ、今国会で「成立させるべきだ」という声は22%にとどまり、「その必要はない」の64%を大きく下回った。

すでに始まっている参院では丁寧な質疑が求められるし、野党にも国民の疑念を拭い去れるような的確な質問を期待したい。