尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.企業が海外で特許を出願する主な理由は何ですか?
A.その国で商売したいからではないですか。
国際特許という言葉がありますが、これは全世界で通用する、というものではありません。特許はそれぞれの国で取らなければいけないのです。ですから、中国で商売するのであれば、中国の特許を取らなければ模倣されても文句が言えません。特に、中国は模倣品(海賊版)が出回っていますから、知的財産権(著作権など)を守るために海外での出願が増えているのでしょう。
Q.日本が特許の取りにくさを改善すれば、市場としての魅力も回復するのでしょうか?
A.多少はそうなるでしょうけど、大勢に影響はない気がします。
特許は出願から20年有効です。認められるのが遅くなればなるほど、使える期間が短くなります。ですから、短くなれば多少のインセンティブにはなりますが、前述したように日本での特許は日本でしか使えないため、少子・高齢化が進む日本が市場として魅力あるものかは別問題になります。
法人税率を下げて外国企業を呼び込み、また日系企業に回帰してもらい、少子化対策に本腰を入れるなどしなければ、魅力がある市場になるとは思えませんけど。(佐藤尊徳)
[参考:2014年5月8日 日経新聞 5面「特許出願先 日本は劣勢」]