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[平将明の“言いたい放題”]

「民泊」問題を解決する2つのベクトル

電子雑誌「政経電論」第14号掲載
2016年01月12日
読了時間: 05分20秒

最近、中国人をはじめとするインバウンドの影響で、国内の宿泊施設が足りなくなっている。解決策として出てきたのは、一般人が自宅マンションや一軒家を有償で貸し出す「民泊」。だが、実態が先行していてルール作りが追いついていない節もある。そんななか、東京・大田区が国家戦略特区の特例を受け、民泊を禁じる旅館業法の適用除外されることに。前・内閣府副大臣として国家戦略特区を担当した平議員(選挙区:大田区)に問題点を聞いた。

「民泊」にまつわる2つの問題、4つの対応策

 2つ問題があります。一つはインバウンドがものすごく増えていて、ホテルの稼働率も単価も上がってしまい泊まりたくても泊まれないという需要サイドの問題。もう一つは、シェアリングエコノミーの世界的な潮流のなかでAirbnb(エアビーアンドビー)のような民泊や、UBER(ウーバー)のようなライドシェアなどは出てきていて、法整備ができていないままに広がっている状況。

 日本は本当に隅々までよく法整備のできている国で、何か新しいことをしようとすると必ず何かしらの法律に抵触するようになっています。民泊でいうと、「旅館業法」の規制があります。

 厳密に適用すると、ネットを活用した民泊はほぼアウトになります。適用除外になっているのは、いわゆる学生のホームステイや、農家や漁師の家に泊まるといった地方活性化のための一部の民泊。あと野外ライブやマラソン大会などの大きなイベントに関連するもの。

 でも、実態が先行している現状を放置はできません。対応する必要がありますよね。政策的な選択肢としては、「規制緩和」「国家戦略特区」「地方分権」「新たな立法」の4つがあります。

「国家戦略特区」の特性

 民泊は国家戦略特区の法律を作った時から初期メニューとして用意されていました。しかし、なかなか実現できる志の高い自治体が現れない。そこで、羽田空港のある東京・大田区(宿泊施設の稼働率は90%以上)に着目しました。すでに特区指定を受けていますし、私の地元でもある。また、大田区長の松原忠義さんは未来志向であり胆力のある政治家です。ここから民泊にチャレンジしてみようということになりました。

 民泊のできる用途地域を指定して、保健所と連携して衛生面もモニタリングし、即座に問題に対処できるよう警察とも連携。7泊以上の長期滞在者を対象にして、利用者への説明を課し、身元確認や近隣への周知をきちんと行うといった仕組みを作りました。

 法律に書いていないことは原則やっても良いアメリカに対し、日本は法律に書いていないことはやってはいけないというフィロソフィーの違いがあります。イノベーションが起きやすく、社会実装がスムーズに進むのはアメリカの方。それをカバーする政策的ツールのひとつが国家戦略特区なのです。

 イノベーションと特区は相性が良い。だから民泊解禁も特区で穴を空けました。すると案の定、それらの規制省庁は本気になり、日本全体でどうするかというルール作りが一気に進み始めました。特区で穴を空けると日本全体が動き出す。これが特区のすごみです。

 ただ、今回グレーゾーンで広がっていた実態に対応するために特区というひとつの答えを出したわけですが、それでも旅館業法と特区の適用範囲外についてはまだ整備ができていません。新たな立法も必要だと思います。旅館業法に新たなカテゴリーを作って、Airbnbのホームステイのようなサービスを一定の条件下で法的に認めるということです。

 2015年秋に、京都市に無許可で数百人を有料で宿泊させていたケースが摘発されました。騒音などのトラブルが起きていたようです。そういったことからも、いま議論になっているのはプラットフォーマーに義務を課していろいろな確認をさせようというもの。

 特区の7泊以上の滞在というのも、5日や3日でいいのではないかという議論の余地は残っています。実際、Airbnbなどは宿泊日数に制限はありませんので。特区で穴はあきましたが、最初から100点ということはないので、運用状況を見ながら追加的な対応も必要かもしれません。

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