社会

ヨーロッパでは自国への難民・移民をどう考えているのか?

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 4月19日、北アフリカのリビア沖、リビアとイタリア南端のランペドゥーザ島との中間点辺りで、約700人をのせていたとみられる難民船が転覆。ここ数年の難民船事故では最悪の被害になる可能性があります。

 地中海経由でヨーロッパを目指す難民が増加していて、シリアやイラクの戦闘激化や内戦状態のリビアでの「イスラム国」の台頭を背景としています。2015年だけで約900人が難民船関連で死亡(UNHCR 推計)しているほか、難民を密航船にのせる仲介業の横行、難民に紛れたテロリストがヨーロッパへ入国することの懸念などもあります。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q記事では密航船による仲介業の横行も指摘されていますが、ヨーロッパとしては難民の受け入れについて現在どのような姿勢なのですか?

A日本よりはよっぽど寛容に受け入れてるよ。

 もともと欧米は人権問題に関心が高く、人道的にも難民を受け入れようという姿勢。アメリカもそうだけど、労働力としても他国民を受け入れることには寛容だ。

 しかし、一部フランスなどでは、移民排斥運動も展開されてるし、全部を受け入れていはいないのが実情。別の文化を受け入れるのは難しいことだし、すべてを受け入れていては経済的にも負担が大きくなる。争いごとをなくして、難民が出ないような社会を作っていくことが重要だね。


Q難民を受け入れる場合、同化政策などが問題点になりますよね。イスラム過激派によるフランス紙襲撃事件も記憶に新しいですし。

A日本は単一民族で、基本的に難民も受け入れないから、わかりにくい問題だよね。

 難民、移民は経済的にも困窮している人が圧倒的。だから、生活苦などで犯罪に走る人も多いから、受け入れるべきでないという意見もある。でも、労働力として活用したり、”ウィンウィン”になる関係を見つけていけばいいのだと思う。日本だって、少子・高齢化で他文化の人を受け入れることも真剣に考えないとね。

 宗教観の違いは、中東の争いごとを見ていても超難問だなぁ……。
(佐藤尊徳)

[参考:「難民船700人死亡か リビア沖で転覆 救助活動」(日経新聞7面 2015年4月20日)]

[わかるニュース]
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