岐路に立つ北方領土問題、安倍首相が「2島決着案」提案か

2019.01.21

政治

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北方領土をめぐるロシアとの交渉が岐路を迎えている。安倍政権はこれまで4島すべての返還を目指してきたが、一部マスコミが「2島決着案を検討」と報道。ロシア側が歯舞群島と色丹島の引き渡しを確約すれば日ロ平和条約を締結する方向で検討しているとした。安倍晋三首相は22日にモスクワでプーチン大統領と会談する予定で、新たな提案をするかどうか、注目が集まる。

北方領土全体の7%の返還で交渉打ち切り

北方領土は北海道北東の根室半島沖に連なる島々で、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島から成る。日本政府は「日本固有の領土」としているが、1945年のポツダム宣言受諾後に旧ソ連軍が侵攻し、日本住民を追い出して占領。それ以降、ソ連及びロシアによる実効支配が続いている。

日本政府はかねて4島すべての返還を求めてきたが、返還交渉はほとんど進展してこなかった。そこで出てきたのが歯舞、色丹両島の返還をもって平和条約を締結し、その後に残り2島の返還交渉を続けるという「2島先行返還」論だ。現実味があるとして支持する声がある一方、「実質的に国後、択捉両島の返還をあきらめることになる」と否定的な声も多い。また、歯舞、色丹両島の面積は北方領土全体の7%に過ぎない。

今回、共同通信が報じたのは2島の返還で交渉を打ち切るという、さらに一歩進んだ提案だ。国後、択捉両島の返還を完全に諦める案で、複数の政府筋が明らかにしたとしている。報道によれば、安倍政権幹部は「現実的とは言えない」と述べたという。報道が事実だとすれば安倍首相が22日の首脳会談で提案する可能性がある。

相容れない国民感情…安倍首相の正念場

交渉を難しくしているのは両国の国民感情だ。ロシアの首都モスクワでは20日、北方領土返還に反対するデモ集会が開かれた。プーチン政権としては安易に妥協すれば支持率低下につながりかねず、難しい判断が迫られる。

日本でもこれまで政府の公式立場としては一貫して「4島返還」を主張してきた。ここにきて急に「2島決着」に転じれば保守層からの反発は避けられない。安倍政権が保守層からの支持を基盤としてきただけに、こちらも難しい判断を迫られる。

25回目の首脳会談を控え、首相は出発前に「じっくりと時間をとってプーチン大統領と話し合い、平和条約交渉をできるだけ進展させたい」と意気込みを語った。これまでに培った信頼関係を基に、互いが納得できる打開策を見つけられるか。首相は正念場を迎える。