フラッシュ・クラッシュに要注意 近く再び訪れる?円高局面

2019.01.22

経済

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年末から年初にかけて為替が1ドル=104円台まで円高が急伸した。この過程で、利回りの高さにつられて購入していた外債で思わぬ落とし穴に転落した投資家がいるようだ。急激な為替変動で利回りが吹き飛ぶこともあるデリバティブだが、近いうちに再び円高局面が訪れないとも限らない。

よもや104円まで振れるとは思わず…

投資家を窮地に陥れたのは「仕組債(しくみさい)」と呼ばれる、デリバティブ(金融派生商品)が組み込まれたもので、為替が一定水準を超えると金利が消滅する「ノックアウト条項」付きの債券である。

この商品は為替の先行きに一種の賭けを行うもので、リスクは高い分、金利も高い。しかし、ひとたび、一瞬でも設定された水準に為替が到達すると権利が行使されて金利が消滅したり、期限前に償還されたりする。

よもや104円まで円高になるとは予想せずに商品を購入していた個人や法人も少なくないようだ。特に「国内の超低金利に喘ぐ地域金融機関の中には、高い金利が取れるこうした仕組債を購入していたところも少なくなく、損失が懸念されている」(メガバンク幹部)という。

同様の損失は、個人のFX(為替)取引でも生じた。なにせ1月3日の東京外為市場では、1分間で円・ドルレートが4円も円高に振れた後、1時間で元の108円近くに戻ったのだからたまらない。

「特にFX取引では、一定以上の損失が生じると元手の範囲内で自動精算するロスカットルールが発動され、強制決済される。4円もの急激な円高局面でロスカットが発動され、それがさらに円高を助長する悪循環を生んだ」(市場関係者)とされる。

薄商いのGW10連休は要注意

こうした「フラッシュ・クラッシュ」(瞬時の急落)は、今後も発生する確率が極めて高い。なぜなら、現在の相場を支配しているのが、人工知能(AI)を駆使した機械運用で、そのスピードはナノ秒レベルだからだ。為替のみならず株、債券とも相場の変動幅(ボラティリティ)は拡大し、かつ瞬時に起こると覚悟しなければならない。

一方、こうした為替変動の最後の砦となるのは日本銀行だが、その対応手段は主要国の中銀の中で最も限られた状態にある。

アベノミクスの異次元緩和で日銀は大量の国債等の金融資産を購入し続けており、マイナス金利政策も導入している。いずれも物価上昇と円安誘導を狙った施策だが、次の急激な円高ではもう打つ手がないのが実情だ。その意味からも予想しえない為替変動には注意を要する。

その、心配される次の円高局面はいつ訪れるのか、機関投資家が最も恐れているのは、5月のゴールデンウィークの10連休だ。

「日本の主要な投資家が不在で、薄商いとなる中を狙って海外投資家が市場を振り回すことが懸念されている」(メガバンク幹部)という。為替のみならず株、債券についても同様の相場急落が危惧されている。