尿酸値上昇の対策はプリン体を控えるだけでは不十分 日本初“高めの尿酸値を下げるサプリ”研究者が教える3つのポイント

2019.04.16

技術・科学

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写真/小池彩子

中年男性は尿酸値の上昇を避けるために「プリン体を摂取しない方がいい」などとは言うものの、なぜ、どう気をつけるかはいまいちわかっていない人も多いのではないだろうか。実は、尿酸値上昇の対策は尿酸の合成抑制と排泄促進にかかわる3つのポイントを押さえることが大事。日本で初めて、高めの尿酸値を下げる働きを持つサプリメント「尿酸サポート」を開発したファンケル サプリメント研究第二グループの櫻田剛史さんに、尿酸値上昇のメカニズムを聞いた。

“尿酸値=おじさんが気にすること”ではない!若い世代も要注意

健康診断で尿酸値が気になったことはないだろうか。日頃、不摂生の自覚がある人なら、健診結果で一番先に尿酸値をチェックして、「今回もセーフ! これで堂々とビールが飲める」と胸をなでおろした経験が一度くらいはあるのではないか。中には、医師から「尿酸値が高めですね。気をつけましょう」と指導された人もいるかもしれない。

尿酸の値は血液検査の「血清尿酸値」で知ることができる。これは血液中に溶けた尿酸の量を示すもので、医学的には値が7.0mg/dlを超えると「高尿酸血症」と診断される。ただし、7.0 mg/dlを超えたからといって、たちまち病気になるわけではない。

「高尿酸血症は中年男性がなるイメージが強いですが、実は、近年は20代30代の若い男性にも増えていて、決して他人事ではないんですよ」と、櫻田さんは警鐘を鳴らす。

高尿酸血症は年々増えており、発症頻度を検証した大規模調査の結果から1000万人を超えると推定。男性の比率が圧倒的に多く、年齢でいえば、30歳以降の男性の30%が高尿酸血症だとされる。

尿酸値が高くなる4大原因は、飲酒・食事・ストレス・遺伝

そもそも、なぜ尿酸値が高くなってしまうのか。そのメカニズムについて、櫻田さんに説明をしてもらった。

「まず、尿酸はヒトがプリン体を代謝した際に最終的に生成される代謝産物となります。尿酸というと悪者のイメージが強いかもしれませんが、生体内の抗酸化成分という一面を持っており、生体内で生じた酸化ストレスを緩和する作用を持ちます。

血液に含まれている低分子の抗酸化成分の中でも尿酸は高濃度で存在し、血液の持つ抗酸化能の30~65%が尿酸によるものだと推定されています。ヒトが尿中に一度排泄した尿酸のほとんどをもう一度血液中に再吸収することからも、生体内で不可欠な成分であることがわかります。このような性質を持つため、尿酸は常に体内にある一定量蓄えられており、合成と排出によって調節されているのです。

尿酸の原料となるプリン体は、核酸やエネルギー物質(ATP)を構成している成分です。プリン体は、食事からの摂取が2~3割、体内での合成が7~8割。つまり、プリン体を多く含む食事をしたり、激しい運動をしてエネルギー代謝が一時的に上がったりすると、体内のプリン体が増え、多くの尿酸が作られることになります」(櫻田さん、以下同)

ファンケル総合研究所  サプリメント研究第二グループ 櫻田剛史さん

尿酸の生成を抑えるためには、ビールや白子、レバーなどプリン体が多く含まれる食品を避けたりすることでも効果が得られるが、それだけで十分とはいえない。

「プリン体は、旨味の強い食品に多く含まれています。それはイノシン酸やグアニル酸といった旨味成分がプリン体の構造を持っているからです。また、肉や魚介類の摂取量が多い人ほど尿酸値が高い傾向があります。

また、ソフトドリンクなど甘いものなどにも要注意です。特に果糖は代謝の過程でATPを消費するため、尿酸の合成を増加させます。また、果糖の代謝産物である乳酸は尿酸の排泄低下に関与するため、合成促進、排泄抑制と2面的に良くありません。

お酒好きの方の中には、プリン体フリーのビールや、ウイスキー、焼酎などのプリン体の少ないお酒を選んで飲んでいる人もいると思いますが、それで安心とはいえません。なぜなら、アルコールを代謝するときも果糖と同様、多くのATPを消費し、尿酸合成を増加させるとともに、尿酸の排泄を滞らせる乳酸の濃度が増加するためです。従って、お酒の種類を問わず、アルコール摂取量が多いと尿酸値が上がってしまう可能性が高いのです」

グルメな方や“のんべえ”にとっては非常に残念なお報せだが、美食や飲酒そのものをほどほどにするのが尿酸値対策としては重要なようだ。

「飲酒やプリン体の多い食事以外に、ストレスも尿酸値を上げる要因になります。ストレスを受けると尿酸を産生する酵素の活性が高まり、尿酸が多く作られるようになることが報告されています。働き盛りの世代は、ストレス管理にも気をつけたいですね」

尿酸の合成と排出のバランスが崩れても尿酸値は上がる

もし体内で多くのプリン体が作られても、過剰に作られた分が尿や便から排泄されれば問題はない。しかし、食生活や飲酒、ストレス等によってプリン体が過剰に作られてしまうと、排泄が追いつかなくなり、体内に尿酸がたまりやすくなる。これも尿酸が上がってしまう要因のひとつだ。

「高尿酸血症のタイプを分けると、[1]体内で尿酸が多く作られてしまう合成過剰型、[2]尿酸の排出が追いつかなくなる排泄低下型、[3]それら2つが混在する混合型があります。日本人の高尿酸血症患者は排泄低下型が多いといわれています」

尿酸値対策として食事や飲酒に気をつけてはいても、排泄まで意識している人はそんなにはいないはずだ。

「尿酸値が高めの人は、“合成を抑える”と同時に“排泄を促す”という両輪での対策が重要です。それらをサポートするサプリメントがあれば世の中の役に立つと考えて、今回『尿酸サポート』の開発をしました」

「尿酸サポート」(ファンケル、機能性表示食品)

高めの尿酸値を下げる働きを持つサプリメント。2月18日よりファンケルの通販サイトでの先行販売を開始。4月18日からは、カタログ通販と直営店舗、一般流通でも販売がスタート。高めの尿酸値に対する機能を臨床試験で確認し、「機能性表示食品」となったサプリメントは、日本初。

「尿酸サポート」(ファンケル、機能性表示食品)

尿酸を下げる作用を持つ「キトサン」と「アンペロプシン」

櫻田さんによれば、尿酸値を下げる方法は3つある。

  1. プリン体の吸収を抑制
  2. 体内の尿酸合成を抑制
  3. 体外への尿酸排泄を促進

「尿酸サポート」は、これら3つをカバーするよう設計されている。

「[1]のプリン体の吸収抑制に対しては、カニやエビなどの殻を加工して得られる食物繊維『キトサン』に着目しました。キトサンは過去に尿酸値対策の『特定保健用食品』として検討されたことがあり、プリン体の吸収抑制に関するエビデンスが豊富にあります。プリン体は食品由来の核酸などに含まれていますが、キトサンを摂ると、キトサンが核酸を吸着し、腸で消化されにくくなり、そのまま便として排出されることが報告されています」

また、[2]の尿酸合成を抑制する成分として、櫻田さんが目をつけたのが、“藤茶(とうちゃ)”だ。

「尿酸値を下げる効果がありそうな食品や成分を文献等で調査しているなか、藤茶という植物に着目しました。藤茶は中国の山奥に自生するブドウ科の植物で、中国では昔から健康茶として飲用されており、その効能から『保健食品』として国に認可されています。

藤茶には『アンペロプシン』というフラボノイドの一種が非常に多く含まれており、抗酸化作用をはじめ多くの機能性が論文で報告されています。アンペロプシンの化学構造を見ると、尿酸合成酵素の働きを抑える成分と非常によく似ていることに気がつきました。そこで、アンペロプシンにも同様の作用が期待できるのでは?と検証することにしました」

櫻田さんは、藤茶に多く含まれているアンペロプシンの機能性について研究を行った。

「機能性を検証した結果、私の期待通り、アンペロプシンにプリン体から尿酸を合成する酵素:キサンチンオキシダーゼ(XO)を阻害する作用があることがわかりました。アンペロプシンを摂ることで、食事由来や体内合成由来のプリン体から尿酸が合成されるのを抑える作用が期待できると考えています」

さらに、アンペロプシンにはもう一つ、[3]の尿酸の排泄を促す作用もあることがわかった。尿酸は血液中から尿細管に一度100%ろ過された後、一部が排泄されて、残りは血液中に再吸収される。その再吸収を阻害する作用が、アンペロプシンにはあったのだ。

「当初は尿酸の合成抑制作用にのみ期待して採用したのですが、排出促進作用まであったので驚きました。尿酸値が高めの人にとっては、まさに一石二鳥の成分です」

一般的に、サプリメントを開発するとき、サプリメント会社は原料を原料メーカーから仕入れ、調合のみを行うことが多い。しかし、『尿酸サポート』に配合されている藤茶エキスは、ファンケルと原料メーカーが共同で開発した独自原料である。また、藤茶に含まれているアンペロプシンに尿酸合成酵素の阻害作用、排泄促進作用があることも独自で見出したもの。

「原料の開発には費用・時間が多くかかる上、製品にならなかった場合のリスクもあります。そのため、企業としてはどうしても独自開発を敬遠しがちです。しかし、より良い製品をお客様に届けるためには重要なことです。そこで、ファンケルでは近年、研究開発に力を入れ、新しい独自原料の開発を進めています」

横浜・東戸塚にあるファンケル総合研究所

臨床試験で、高めの尿酸値を下げる機能を確認

キトサンとアンペロプシンを配合したサプリメント『尿酸サポート』は、臨床試験でも機能が確認されている。

「血清尿酸値6.0~7.mg/dlの20歳以上65歳未満の男性78名を対象に、『尿酸サポート』を摂取する群(39名)とプラセボ(機能成分を含まない粒)を摂取する群(39名)に分け、それぞれ12週間摂取をしてもらいました。すると、『尿酸サポート』群はプラセボ群に比べて、摂取12週間後の血清尿酸値の変化量が有意に低値でした」

この科学的根拠を基に消費者庁に届け出て、日本初となる“高めの尿酸値を下げるサプリメント「尿酸サポート」”が誕生した。最後に、日本初となるサプリメントを生み出したことについて、櫻田さんに感想を聞いた。

「私の研究のモチベーションは、“世の中にまだ存在しないものを一番最初に作り上げたい”というもので、以前から、高めの尿酸値を下げるサプリメントを開発をしたいと、会社にアピールしていたんです(笑)。会社が快くゴーサインを出してくれ、2015年から研究に着手しました。4年越しの研究が実を結び、自分の思いがひときわ詰まったサプリメントを世に送り出すことができて、うれしく思います。これからも果敢にチャレンジして、世の中にない新しい成分やサプリメントを開発していきたいですね」