麻生派に緩み 尾を引く塚田前副大臣“忖度”発言 衆院2補選に影響も

2019.4.10

政治

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麻生派に緩み 尾を引く塚田前副大臣“忖度”発言 衆院2補選に影響も

写真/Bloomberg

塚田一郎前国土交通副大臣が下関北九州道路の整備について、安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相に「忖度した」と発言した問題が尾を引いている。塚田氏は事実上の更迭とみられる辞任をしたが、野党は国会で首相の関与を厳しく追及。4月9日には石井啓一国土交通相が謝罪に追い込まれた。9日に告示された衆院大阪12区、沖縄3区の補欠選挙にも影響する可能性がある。

“忖度”発言が招いた自民党候補惨敗

塚田氏は北九州市で4月1日に開かれた集会で、首相と副総理の地元をつなぐ「下関北九州道路」の整備について、自民党の吉田博美参院幹事長から「総理と副総理の地元事業だ」と言われたとした上で、「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度した」と発言した。

塚田氏は麻生氏の秘書出身で、現在は麻生派所属。発言のあった集会は、福岡知事選で麻生氏が現職を追い落とすために担いだ新人候補を応援するための集会で、塚田氏は麻生氏の権勢をアピールするためにリップサービスしたつもりが、発言が大々的にマスコミに取り上げられ、辞任に追い込まれた。

実際、2019年予算には10年以上も計画が凍結されていた下関北九州道路の調査費4000万円が盛り込まれた。副大臣にそれを決める権限があったかどうかは不明だが、政権の有力者に“忖度”する空気が政府内に蔓延していることを改めて国民に印象づけた。4月7日投開票の福岡知事選で麻生氏の支援する自民党推薦候補が惨敗したのは、国民による忖度政治への嫌悪感も影響したのだろう。

麻生派全体に緩みが伝播している

塚田氏が師と仰ぐ麻生副総理兼財務相も、これまでたびたびその発言を問題視されてきた。福田淳一前財務次官によるセクハラ騒動の際は「セクハラ罪という罪はない」。少子化問題をめぐっては「子どもを産まなかった方が問題」――。問題を指摘されるたびに謝罪はしているものの、「誤解されたとすれば」などと仏頂面で、不貞腐れながら。塚田氏の発言について記者会見で質問された際も、記者に恫喝ともとれるような態度を見せている。

それでも麻生氏が政権内で安定した地位を築けているのは、首相経験者であり、党内で2番目に大きい派閥を率いるからだ。福岡知事選では惨敗の責任をとって自民党福岡県連の最高顧問を辞任する考えを示したが、副総理兼財務相の立場は揺るがない。「安定した地位から生まれる緩みが麻生派議員にも伝播しているのでは」との指摘もある。

7日に投開票された統一地方選の前半戦では“自民一強”に陰りが見られた。野党も受け皿となっていないことから全般的には自民党の勝利と言えそうだが、9日に告示された衆院の2補選は事情が異なる。

大阪12区は大阪ダブル選で勢いを見せた日本維新の会が、沖縄3区では米軍普天間基地の辺野古移設に反対する政治勢力「オール沖縄」が立ちはだかる。“忖度”発言問題が早期に断ち切られないと補選に悪影響を与える可能性がある。