参院選・対北朝鮮・ポスト安倍 令和時代の政治はここに注目!

2019.05.10

政治

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新しい元号は「令和」

Bloomberg/Keith Bedford

新天皇陛下の即位に伴い、令和時代が幕を開けた。令和元年となる今年は夏に参院選、秋に消費税率の引き上げなど政治に関する大きな出来事が目白押し。安倍晋三首相が“衆参ダブル選”に打って出るのかどうかや、北朝鮮の金正恩委員長との会談の行方、“ポスト安倍”の動きなどにも注目が集まる。

浮上する消費税増税再延期と衆参ダブル選

定数の半数が改選となる参院通常選挙は7月4日公示、21日投開票とみられている。それまでに衆院の解散がなければ令和初の国政選挙。自民、公明の与党を中心とする“改憲勢力”が改選後も3分の2議席を確保できるかどうかが最大の焦点で、もしこれを割り込むことになれば安倍首相の悲願である憲法改正は大きく遠のく。

参院の定数は昨年の法改正で6増え(242→248)、今回の参院選は選挙区74と比例区50の合計124議席を争う。このうち、改憲勢力で87議席を獲得しなければ3分の2を維持できない計算。前回3年前の参院選で改憲勢力の議席が77だったことを考えるとハードルは高い。

そこで浮上しているのが消費増税の再延期や衆参ダブル選挙だ。消費税率は今年10月に8%から10%に引き上げられる予定だが、与党が選挙に勝つために3回目の延期に踏み切るとの観測は根強い。

首相の側近である萩生田光一幹事長代行は4月にテレビ番組で「6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かい皆を連れていくわけにいかない。違う展開はある」と指摘。増税延期の可能性について示唆した。また、「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」とも語り、増税延期の是非を争点に衆院を解散するとの見方を披露した。

与野党内ではこの発言について「与党内を引き締めるための観測気球」との見方がある。しかし、安倍首相は元々、消費増税に慎重な立場。2014年には増税延期を理由に衆院を解散して総選挙で大勝。参院選を控えた2016年にも再び増税延期を発表し、勝利をもぎ取っている。憲法改正を遠ざけないためにも首相が増税延期を理由に衆院を解散し、衆参ダブル選挙に打って出るとみる向きは少なくない。

「前提条件なし」での日朝首脳会談、ヤマ場を迎える北方領土返還交渉

国外に目を向けると、最も注目すべきは対北朝鮮外交だろう。アメリカのトランプ大統領は2018年と今年2月、2度にわたって北朝鮮の金正恩労働党委員長と会談。朝鮮半島の非核化に向けて協議した。金委員長は中国や韓国、ロシアとも相次ぎ首脳会談を行っているが、日本だけは蚊帳の外。

そんななか、安倍首相は5月6日にトランプ米大統領との電話会談で「あらゆるチャンスを逃さない。私自身が金委員長と条件を付けずに向き合わなければならない」と述べ、日朝首脳会談の実現に向けて努力することを表明した。

北朝鮮による拉致問題の解決をライフワークのひとつとする安倍首相は、これまで日朝首脳会談について「拉致問題の解決に資する会談にしなければならない」と繰り返してきた。その首相が「前提条件なし」での会談を表明したということは、実現に並々ならぬ意欲を示したことにほかならない。

金委員長が今年2月、トランプ大統領に「日朝間の懸案として日本人拉致問題があるのはわかっている。いずれ安倍晋三首相とも会う」と話していたことも明らかになっており、水面下で会談の実現に向けた調整が始まっている可能性もある。

ロシアとの北方領土返還交渉もヤマ場を迎える。安倍首相は今年6月28、29日の両日に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、ロシアのプーチン大統領と会談する方針。平和条約の締結や北方領土の返還に向けた交渉を進展させたい考えだが、ロシア側の出方は不透明。経済が低迷するロシアへの経済協力を武器に、どこまで妥協を引き出せるかがカギとなる。

“ポスト安倍”に“令和おじさん”菅官房長官?

そして、令和時代の日本政治において、最大の注目点は“ポスト安倍”だ。2012年に発足した第2次安倍政権は、自民党の総裁任期延長を経て7年目に入り、首相の在職日数は2月に吉田茂を抜いて戦後2位、歴代4位となった。このまま無事に参院選を乗り切れば11月に桂太郎を抜き、歴代最長を更新する見通しだ。順調ならば自民党総裁任期である2021年9月まで記録を更新し続けることとなり、さらに総裁任期を延長すべきとの声も党内からあがる。

“ポスト安倍は安倍”などとも揶揄されるが、永久に首相を務めるわけにもいかない。これまでポスト安倍として真っ先に名前が挙がっていたのは過去3回にわたって首相と総裁選で戦った石破茂元幹事長と、首相の禅譲を狙っているとされる岸田文雄政調会長の2人。ところが、ここにきてもう一人の名前が急浮上している。“令和おじさん”こと菅義偉官房長官だ。

安倍政権を支える屋台骨として裏方に徹してきた菅氏だが、新元号の発表により“時の人”となった。政権の実力者である二階俊博自民党幹事長も月刊誌のインタビューで、菅氏について「官房長官として立派にやっておられます。彼はそういうこと(ポスト安倍の総裁候補)にも十分耐えうる人材だとも思っています」と発言。一気にポスト安倍の最有力候補に躍り出た。

菅氏の“外遊”も波紋を広げている。拉致問題担当相として5月9日からアメリカを訪問しているが、首相官邸の危機管理担当である官房長官の外遊は極めて異例。本人は否定しているが、ポスト安倍への意欲の表れとみる向きもある。自らに仕える菅氏であれば、安倍首相も後継を託しやすい。“令和おじさん”が令和時代の政治を率いるのか。

ちなみに、“平成おじさん”こと小渕恵三氏が首相に就任したのは、元号の発表から10年後のことだった。