尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.裁判員制度が導入されて、刑罰の公平や安定が損なわれることが懸念されているようですが、量刑の判断(罪の重さ)は、どのように下されるのでしょうか?
A.判例です。
私は法学部でもないし、全くの専門外なので、完璧な独断で。それから、これから説明することは私の個人的な思想とは相容れないものも含みますが、解説するとしたらこんな感じかな、と。
刑罰は刑法により、それぞれの罪状によって上限が決まっています(懲役何年以下、罰金何円以下など)。
犯罪に至った際のさまざまな事情も考慮されます。情状酌量、被告人の生い立ちなどなど。それぞれのケースにおいて、刑罰を勘案しなければなりません。
簡単に言えば膨大なデータベースから、こういう場合だとこれくらいの量刑かな?と裁判官が判断して刑が決まります。被害者(がいる場合、その家族や本人)の感情も当然関わるものですが、そちらにだけ寄るというのでは刑が重くなりがちでしょう。そういうこともあって、過去の判例が参考にされるということです。
最も有名な永山則夫被告の死刑判決は、その後の死刑判決を出す際の基準になっています。人が人を裁くのは難しいことですから、過去の判例を参考にするのが一番妥当なのでしょう。
しかし、裁判員裁判は専門家とは違う観点からの判決をするのがそもそもの狙いだったのだから、構わないのではないかと思います。被告に納得が行かなければ、控訴、上告と3回裁判を受ける権利はあるわけですからね。(佐藤尊徳)
[参考:「5年の経験生かし開かれた裁判員制度に」(日経2面2014年5月26日)]