新しい国立競技場がデビュー 安倍首相「世界中の人々の感動を」

2019.12.18

社会

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写真:芹澤裕介

独立行政法人日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council[JSC]。大東和美理事長)が整備を行ってきた2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場の竣工式が12月15日、競技場内で行われた。式には安倍晋三内閣総理大臣、小池百合子東京都知事など政治家や設計を手掛けた建築家の隈研吾さんら関係者が参加し、日本の新しいスポーツの中核施設の完成を祝った。

安倍首相「世界中の人々の感動を」

これから日本を代表するスタジアムとして利用されていく新しい国立競技場の竣工式には大勢の取材陣が詰めかけた。

竣工式に出席した安倍晋三首相は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のシンボルとなる国立競技場の竣工に至るまでに、さまざまな御苦労があったことと思う。途中で設計の変更もあった。本当に皆様が、まさにオールジャパンで努力していただいた、ご貢献していただいた結果、本日竣工の日を迎えることができた」と話し、「来年の東京大会は、夢と希望を分かち合う大会、誇れるレガシーを創出し、日本の力を世界に発信する大会、我が国の未来を切り拓いていく大会にしていかなければならない。世界最高レベルのアスリートたちが集まり、自らの限界に挑戦し、さまざまなドラマを繰り広げ、世界中の人々に感動を与えてくれるものと思う」と期待感を示した。

主催者を代表してあいさつしたJSC大東和美理事長は「国立競技場は、アスリート・ファースト、世界最高のユニバーサルデザインなどとして整備を進めてきた。日本のスポーツ振興の中核拠点として多くの皆さまがトップレベルのスポーツに触れ、スポーツへの関心、参画意欲を高める機会を提供していく事が使命であると考えている。性別、人種、国籍、宗教、障害を超え世界中から集まる選手と観客が一体となって奇跡や感動を共有できる舞台とすることで、ここから次の自分に向かってのアクションを始める場所になると思っている」と述べた。

萩生田文科相は「東京五輪の開催が決まってから新しい国立競技場の完成は悲願だった。周辺環境の調和と日本らしさなどをコンセプトとしたナショナルスタジアムは、今後のわが国にとって象徴的な施設になるもの。文科省としては着実に準備を進め、国民に末永く愛される施設となるよう、積極的にその意義をアピールしていく」とした。

スイッチングセレモニーが開かれ、安倍首相、小池百合子都知事、隈研吾氏、大東理事長のほか、萩生田光一文部科学大臣、橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣、山内隆司大成建設などが目の前に置かれたスイッチを押し、門出を祝った。

さらに橋本聖子オリパラ担当大臣は「私はこれまで選手として、日本オリンピック選手団長として、数々の競技場のフィールドに立ってきた。木材がふんだんに使われ、温かみの感じるこの施設は選手目線から見ても、観客目線から見ても、世界に誇るべき競技場だと考えている。開幕まで残り7カ月。しっかりと取り組んでいく」と実体験を交えて語った。

オリンピック開催中の2020年7月30日に任期満了日を迎える小池都知事 は、「大会が終わるとこの神宮の杜は、国立競技場を中心としてさらにさまざまなスポーツのレガシーの場として、緑がふんだんな地域となる。東京都としては避難の拠点ともなり、防災関係の備蓄なども行うスペースも確保している。都立の会場も着々と工事が進められており、2020年2月には有明の東京アクアティクスセンターの完成を見て全ての大会会場が整う。これからは大会の機運を醸成し、外国の方には“おもてなしの心”でお迎えをする」と。小池都知事は政治家・元キャスターらしく参列者の中で唯一、メモを見ず話していた。

さらには東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の遠藤利明 会長代行も登壇。「素晴らしい競技場ができて、感慨深いものがある。会長代行の立場ではあるが、それと同時にこの建設の見直しから五輪の担当大臣として携わってきた。整備計画を見直す指示を総理から受け、整備検討をする24人の新しいチームが出来上がった。彼らには1カ月間、冷房の無い部屋の中で不眠不休でがんばってもらった。また、短い工期の中で、暑い夏や雪の降る中の工事現場でも全国から来て働いていただいた皆さんの苦労を思うと感謝の気持ちしかない」と、建設の最前線に立ってきた人たちをねぎらった。

最後に大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体を代表して、大成建設の山内社長が壇上に上がり「国民の皆さまから注目と期待が高い重要な国家プロジェクトを遂行するにあたり設計、施工、工事管理を一貫して実施する利点を生かし、私どもが持つ技術を、英知を結集して誠心誠意、事業の完成に邁進して来た。世界の人々との交流の場となり、利用される人に愛される施設になると確信している」とあいさつした。

国立競技場の概要とこれまでの簡単な経緯

新しくなった国立競技場は総工費約1569億円、地上5階、地下2階、6万席、延べ面積は19万2000平方メートルで、36カ月をかけて2019年11月30日に完成した。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)だが、ふんだんに木が使われているのが特徴だ。作業員は累計で約150万人にも上る。トラックは全天候型で400メートルが9レーン、インフィールドは天然芝で縦71メートル、横はサッカー使用時で105メートルとなる。

 

もともと、最初は2012年に国際コンペで、イラク出身のイギリス人、ザハ・ハディッド氏が設計したデザインが選ばれた。しかし、流線形が注目された一方で、巨大さが景観を損ね、当初の建設費は3000億円と試算されるなど、世論の非難を浴び白紙撤回に追い込まれ、再びコンペを行った結果、隈研吾氏がデザインしたものに決まったという経緯がある。

 

国立競技場の設計者、隈研吾氏(左)