カジノ法の秋元議員逮捕。かつて逮捕された国会議員は?

2019.12.26

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カジノ法の秋元議員逮捕

写真:ロイター/アフロ

日本でカジノへの参入を目指していた中国企業側から現金300万円などを受け取っていたとして、東京地検特捜部は12月25日、IR担当の内閣府副大臣などを務めた秋元司衆院議員を収賄容疑で逮捕した。さらに自民党の白須賀貴樹衆院議員や勝沼栄明元衆議院議員の事務所も家宅捜査を受けるなど捜査は拡大しているが、今回の逮捕は氷山の一角で、特捜部は本丸を狙っているともいわれる。今後この問題が政界で広がりを見せるのか、国内でのカジノ整備にどう影響するのか。現職国会議員の逮捕は約10年ぶりとのことで、かつて逮捕された国会議員も振り返る。

秋元司議員はカジノ法の旗振り役だった

カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備は安倍政権の目玉政策の一つ。2015年に自民党や日本維新の会がIR整備法案を議員立法で提出し、野党が反対するなか、2016年12月に公明党の一部の賛成を得て成立した。

このときに、IR整備の旗振り役の一人となったのが秋元議員だ。同氏は2016年に法案を審議した際、審議の場となった衆院内閣委員会の委員長。当時は5時間33分という短時間で審議を打ち切り、野党の反対を振り切って強行採決で可決させた。

その後、IR整備法に基づいて政府が全国の設置数や入場料などの具体策をまとめたIR実施法案を作り、成立させた際は内閣府の担当副大臣としてかかわった。その秋元議員に目をつけたのがカジノ参入を目指していた中国企業の500ドットコム。アメリカやシンガポール、マカオの業者の動きが先行するなか、日本の政界に接近して挽回を図ろうとしたとみられている。特捜部は秋元議員と同時に、500ドットコム日本法人元役員と同社顧問2人も逮捕した。

特捜部は秋元議員が内閣府副大臣を務めていた2017年9月に、500ドットコム側の3人から300万円を受け取り、2018年2月に北海道旅行の代金約70万円分を同社側に負担させたとみている。

中堅議員としては異例の集金力

秋元議員は真っ向否定しているが、特捜部が現職議員の逮捕に踏み切ったということは相当の証拠を握っているからだろう。秋元議員は担当副大臣としてIR整備に深くかかわっており、報道されているように500ドットコム側と密に情報をやりとりしていたり、立地候補の自治体などに紹介していたりしたのが事実であれば「便宜を図った」と認められる可能性がある。焦点となるのは現金や旅行代を受け取っていたかどうかだろう。

「現職国会議員の逮捕容疑が370万円では安すぎる」との見方もある。それが正しいとすれば(1)特捜部が秋元議員の背後にいる大物議員を狙っている、(2)秋元議員が他にも疑惑をたくさん抱えている――という2つの可能性があるが、大物議員が、秋元議員の容疑のように特定の企業に便宜を図る見返りに現金などを受け取っていたとは考えにくい。パーティー券購入など、法に触れない受け取り方がほかにもあるからだ。となると、後者の可能性が高い。

秋元議員は大学在学中に自民党衆院議員の秘書に就任。その議員はパチンコ業界との関係が深く、2004年に秋元議員が参院選で初当選し、仕えていた衆院議員が落選するとパチンコ業者を自らの支援者にしていったという。「ダンス文化推進議員連盟」の事務局長としてナイトクラブの深夜営業解禁に尽力するなど他の娯楽産業の振興にも力を入れるとともに、高い集金力も誇っていた。

秋元議員を支える「秋元司後援会」と同議員が代表を務める自民党支部の2018年だけの収入は約1億5000万円。自民党国会議員の政治資金収入の平均は5000万円というなかで、参院当選1回、衆院当選2回の中堅議員としては異例の集金力といえる。

内閣府の企業主導型保育事業の助成金詐欺事件をめぐって国会で追及されたこともあり、特捜部が秋元議員の派手な資金の流れを調べた結果、今回の疑惑にたどり着いた可能性がある。

かつて逮捕された国会議員たち

現職国会議員の逮捕は2010年1月の石川知裕衆院議員(当時)以来、約10年ぶり。石川氏は小沢一郎氏の秘書時代に土地取引をめぐる4億円の収入を政治資金収支報告書に記載しなかった容疑で逮捕され、後に有罪が確定している。

秋元議員と同じ収賄罪では、2002年に鈴木宗男衆院議員(当時)が官房副長官時代、行政処分を受けた会社からの依頼で林野庁に働きかけ、見返りに500万円を受け取っていたなどとして逮捕され、後に有罪が確定した。

かつてはロッキード事件の田中角栄元首相やゼネコン汚職事件の中村喜四郎元建設相など、今回と同じ東京地検特捜部によってたびたび大物議員が逮捕されてきた。逮捕前に辞職したが、政界のドンと呼ばれた金丸信元官房長官も東京地検特捜部によって脱税の容疑で逮捕されている。

国会議員には国会会期中に原則、逮捕されない「不逮捕特権」がある。会期中に逮捕するには国会に“許諾”を請求する必要があり、情報漏れを防ぐために検察は会期中の逮捕を避けるのが慣例。今回も臨時国会が終わり、年明けの通常国会が始まるまでの期間を狙って秋元議員を逮捕した。

政府・与党は「早期にIRの整備による効果が実現できるよう着実に進めたい」(菅義偉官房長官)、「安倍政権が関与したわけではない」(二階俊博自民党幹事長)などと火消しに追われるが、IR推進の旗振り役で、しかも担当副大臣が収賄に関与していたことがはっきりすれば影響は避けられない。真っ向否定する秋元議員と、メンツにかけて有罪を勝ち取ろうとする検察との法廷バトルの行方に注目が集まりそうだ。