2020年注目の政治家3人!ポスト安倍・東京五輪の顔・フィクサー

2020.1.6

政治

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2020年注目の政治家3人!ポスト安倍・東京五輪の顔・フィクサー

写真:アフロ(左・右)2019 TIFF/アフロ(中央)

いよいよ2020年が始まった。7月には東京都知事選や東京五輪が開かれ、2021年の安倍晋三首相の任期満了に向けた動向にも注目が集まる年だ。今年の政治的トピックスを予想しながら、キーパーソンになるであろう注目人物を紹介する。

“ポスト安倍”筆頭の石破茂元幹事長

石和茂
写真:アフロ

長期政権を維持してきた安倍晋三首相だが、自民党総裁の任期は2021年9月まで。現状では“自民党総裁=首相”なので、首相の任期も残り2年をきったことになる。首相の後継、いわゆる“ポスト安倍”は未だ本命不在といわれているが、そろそろ後継者レースも本格化する。本命とまでは言えないが、現状でトップを走っているのは石破茂元幹事長だ。

FNNと産経新聞による12月の合同世論調査で「次の首相にふさわしい政治家」を聞いたところ、石破氏が18.5%で、18.2%の安倍首相を上回って僅差でトップとなった。3位は小泉進次郎環境省で14.5%。一時、存在感を高めていた菅義偉官房長官は9月調査から半減となる3%という結果に。

マスコミ各社の世論調査でも同様の傾向で、“次の首相”として石破氏が安倍首相を上回ることが多い。「桜を見る会」を巡って首相周辺による私物化や説明不足に批判が根強い中、自民党内における反首相勢力の筆頭である石破氏に支持が集まったということだろう。石破氏と同様にポスト安倍の一角に数えられる小泉環境相や河野太郎防衛相、岸田文雄自民党政調会長らはいずれも政権の一角。かといって野党にも際立ったリーダーが見当たらず、支持率も低迷していて政権を奪還する可能性は見えないからだ。

ただ、石破氏が党員の人気を集めてきたのはこれまでも同じ。政権復帰直前の2012年総裁選では第1回投票で安倍首相の2倍に迫る地方票を獲得して5人の候補中首位に立ったが、議員票が伸びなかったために過半数を獲得できず決選投票に。決選投票では議員票が安倍首相を下回り、涙を飲んだ。

それから7年、首相周辺により徹底的に干された結果、石破氏を支える石破派は縮小する一方。「仲間を増やす」と言いつつ、実際には20人の推薦人集めさえ苦労するとの見方すらあるほどだ。ただ、国会議員の最大の関心事は「自分の選挙」。いざ、総選挙となったときに「党の顔として石破氏の方が有利」とみれば、あっさりと石破支持に転ずる議員は少なくないはず。このまま内閣支持率の低下が進めば、石破氏の存在感が高まっていく可能性は十分にある。

“東京五輪の顔”なるか? 小池百合子都知事

小池百合子
写真:2019 TIFF/アフロ

2人目の注目政治家は小池百合子都知事だ。都知事の任期は2020年7月までで、今年の知事選で選ばれた知事が東京オリンピック・パラリンピックの顔となる。現職都知事が立候補して落選したケースは今までなく、現状、そのポストに一番近いのは現職の小池氏である。

自民党衆院議員だった小池氏は2016年の前回都知事選で、自民党を飛び出して無所属で戦い、自民系候補を圧倒して都知事の椅子を手にした。直後に「都民ファーストの会」を設立し、翌年1月の都議選では自らの政治塾塾生らを多数擁立。自民党の現職議員らを追い落とし、自らの勢力で都議会の過半数を制した。

その後、勢い余って国政にも進出。2017年9月に自らが代表となる新党「希望の党」を設立したが、同年の衆院選では野党第2党にとどまった。責任をとって辞任してからは国政と距離を置き、自民党に接近を図っている。

自民党の支持があれば再選は決定的だが、壁となるのが自民党東京都連。組織的には国会議員が要職に並ぶ都道府県連だが、実務は国政で忙しい国会議員ではなく、都道府県議員が仕切る。都連の場合“都議会のドン”内田茂氏を含めた多くの都議会議員が小池知事によって落選させられたか、落選すれすれに追い込まれた。当然ながら恨みは大きく、「小池支持などありえない」となる。

ただ、有力な対抗馬がいないのも事実。前回、小池氏と戦った増田寛也元総務相は日本郵政の社長に就任することが決定。自民党都連が白羽の矢を立てていた丸川珠代参院議員も後ろ向きとされる。とはいえ、知事選は積み上げた後援組織の強さではなく、その時々の“風”に左右されるため、小池氏としても安心できない日々が続く。

“永田町最後のフィクサー”二階俊博幹事長

二階俊博
写真:アフロ

ポスト安倍筆頭の石破氏、そして東京五輪の顔筆頭の小池氏。その当落を左右するのが3人目のキーマン、自民党の二階俊博幹事長である。

80歳を迎えた二階氏は1993年、小沢一郎氏に同調して自民党を離党。新生党、新進党、自由党、保守党、保守新党を渡り歩き、2003年に自民党に復党した。自民党離党から保守党まで、小池氏と行動を共にした。

自民党都連が小池氏の対抗馬擁立を模索するなか、二階氏はたびたび小池氏と会談。「小池氏が立候補を決意したら、自民党が応援するのは当たり前」などと公言。小池再選の流れを作りつつある。

一方、国政では総裁任期の再延長にたびたび言及。安倍首相の「4選」を支持する可能性を示唆している。ただ、二階氏はもともと、安倍首相と政策が近いわけではなく、「安倍首相を支持するのは自らの権力を維持するのに好都合なだけ」(自民党議員)との見方がある。安倍後継を目論む岸田政調会長と近い麻生太郎財務相兼副総理と対抗するため、石破氏を担ぐ可能性も指摘されている。

国政、都政問わず、“永田町最後のフィクサー”とも称される二階氏の動きは今年も見過ごすわけにはいかない。

注目の若手は…れいわ新選組の山本太郎参院議員

山本太郎
The Asahi Shimbun

もう一人、あえて注目の若手政治家を一人挙げるとすれば、山本太郎氏か。2009年に自民党政権が崩壊する前後から、いくつもの新政党が生まれては消え、消えては生まれてきたが、現状、最も勢いのあるのが山本氏率いるれいわ新選組だ。

俳優出身の山本氏は反原発運動を経て、2013年の参院選で無所属ながら初当選。小沢氏率いる自由党を経て、2019年の参院選前にれいわ新選組を立ち上げた。同参院選では障がい者を擁立し、2人を当選させて政党要件も満たした。本人は落選し、次期衆院選を目指すとしている。

所属議員2人の小政党ながら、存在感は高まりつつある。直近の政党支持率は1%前後で、野党第2党の国民民主党を上回ることもある。脱原発消費税廃止など、野党より左派的な政策を掲げ、インターネットを通じて若者などの支持を集めている。

野党第1党の立憲民主党、第2党の国民民主党は現在、合流に向けて調整中。仮に合流が決まれば、なおさら第3極が注目される可能性は高まる。山本氏は次期衆院選に100人超の候補者を擁立するとしているが、東京選挙区選出の自らが今年の都知事選に出馬する可能性もあるだろう。

いよいよ幕開けした2020年。今年も何かとメディアを騒がせるであろう、彼らの動向に目が離せない一年になりそうだ。