withコロナ社会を実現する税制&学校再開プラン

2020.05.22

政治

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段階的に学校再開した韓国 写真:YONHAP NEWS/アフロ

大勢の日本人にとって国内に感染症がまん延するのは初めての出来事で、すべてが手探りだった新型コロナウイルス感染拡大対策。生活支援や落ち込んだ経済の対策は、政府の迷走込みで、さまざまな補償等が進められているが、財政赤字の日本は財政出動の足が重い。朝日新聞によると、調査会社ブラックボックス・リサーチ(シンガポール)と調査会社トルーナ(フランス)が実施した国際調査でも日本のコロナ対策の評価は23の国と地域のうち最下位だったという。今後迎えるwithコロナ時代において、日本がとれる税制度にはどんなものがあるだろうか?

経験の無さが規模やスピード感を失わせた

終戦直後の結核は死亡原因の第1位で、今の70代の団塊の世代以上の人たちの中には感染症の恐ろしさを知っている人も少なくないだろう。世界では、1918~19年のスペイン風邪をはじめ、1968~69年の香港かぜ、2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年の中東呼吸器症候群(MERS)が流行し、インフルエンザが毎年猛威を振るってきたが、日本においてそれほど深刻になることはなかった。つまり、新型コロナウイルス(COVID-19)は多くの日本人にとって事実上、感染症について初体験の出来事となる。

今では当たり前になったが、3月中頃のマスク着用率は7割を下回っていたし、外出自粛が叫ばれても桜を見に行く人がいたり、湘南沿いの道が渋滞したりしたのは自覚の無さや他人事と考えることが大きな原因だが、それは“経験の無さ”からくるものだ。

日本政府の生活支援についても同じで、現金給付の迷走ぶり、補償内容や財政規模の小ささ、スピード感の無さは、政治家が自分事と思えないというのが大きい。

ただし、国会での議論や記者会見での首相、担当大臣などの話を聞いていると、政策を推進したくても1110兆円という借金(2019年末に過去最大を更新)が大きなネックとなって積極的に打ちにくいというのが垣間見える。

それは地方自治体も同じで、お金がある東京都は「感染拡大防止協力金」として国の補償では足りない分をカバーできるが、地方は財政余剰が少ないので大胆に財政出動できない。大阪の吉村洋文府知事も「東京都は別格」と言うくらい財政力の差がある。つまり地方は新たな予算をひねり出して補償に回す余裕はほとんどない。

今回の生活支援や経済対策も国は赤字国債を発行して実行されるものが多い。危機を救うためには仕方のないこととはいえ、新しい借金を今の若い世代が抱えたということになる。「プライマリーバランス」という言葉がこれまで何度も飛び交い、海外からも格付けを含め厳しい視線を浴びているだけに政治家は財政出動には慎重になる。

“出す”ではなく“引く”ことで固定費を軽減する

新型コロナウイルスが収束するまでに長期化するのであれば、財政出動ではない別の方策を使うしかない。税金などの減免や免除を活用するという考えもある。

例えば、2020年の住民税は免除、揮発油税つまりガソリン税と石油ガス税を下げて、ガソリン、軽油、灯油価格を下げるというのもありだろう。軽油ならトラック業界が、LPGガスならタクシー業界が……それぞれの経営が楽になることは間違いない。乗客が激減したタクシーはそもそも車を動かないかもしれないが、それでも燃料代が軽減されるのは固定費の圧縮につながるので助かるはずだ。冬場になれば灯油価格の低下は特に寒い地域に住む家庭には家計負担軽減になる。

セミロックダウンした香港を例に見ると、オフィス、工場、レストランなどを対象に水道代や電気代を一定期間、請求額の75%補助するという方策を行っている。日本では一般家庭に広げ、例えば請求額の50%、4カ月間減免するという措置は、固定費削減が最大の課題である企業にとって悪くない話だ。

さらなる長期化ということを視野に入れるのであれば、新型コロナ収束後も経済がV字回復するのは難しいとも考えられるので、扶養控除の拡大のほか、パートで働く人は「103万円の壁」がよく言われるが、この配偶者特別控除の上限を上げるという考え方もあるだろう。

“金を出す”という行為は手続きや審査などで手間も時間もかかるが、減税といった“差し引く”行為は出すよりも間違いなくスピード感は出る。

ただ、減税すれば間違いなく自治体の歳入は減り、翌年度の予算編成に影響が出て、行政サービスに支障が出かねない。それを少しでも補いたいというのであれば、一定規模の年収または納税額を収めている高額所得者を対象に固定資産税、贈与税、キャピタルゲイン税などについて期間限定で増税してもいいだろう。増税が結果的に社会を救うということにつながるのであれば、課税される方も意義を感じる人もいるはずだ。

学校の再開は分散を

ところで、検討が続けられている学校の9月入学についてだが、学校を再開するにしても集団感染(クラスター)のリスクが高いので慎重に決める必要がある。そこで、一気に始めるのではなく段階的に始めた方がいいだろう。例えば、月水金は1、3、5年の奇数学年、火木土が2、4、6の偶数学年、または午前のクラスと午後のクラスに分けるという考えだ。

4月中旬から新規感染者がゼロまたは一桁台が続いた香港は5月末から小中高校を順次再開する予定で、先に中高の高学年から再開し、小学校や幼稚園の一部は6月に再開する。

実は、香港はイギリスの植民地だったことでイギリス政府はそれほど教育に力を入れてこなかった。そのため、学校の絶対数が不足し、小学校は午前と午後に分かれていて、全日制が始まったのはここ約15年の話だ。再開のステップとしては香港人には受け入れやすいという実情はある。日本も段階的に学校を再開するほうが、一気に再開するよりはコロナウイルスの感染のリスクを減らせることは間違いない。参考にするべき案件だといえそうだ。