首都経済を担う小池都政2期目の課題

2020.07.06

政治

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写真:つのだよしお/アフロ

東京都知事選が5日に投開票され、無所属の現職、小池百合子氏が歴代2位の360万票を集めて再選を決めた。新型コロナウイルスの感染再拡大に世間の注目が集中する中、政策論争は深まらず、小池氏が現職の強みを生かして大差をつけた。今後は新型コロナウイルス対策と経済の両立や、来年に延期した東京五輪・パラリンピックへの対応などが焦点となる。投票率は55.0%で、前回の59.73%を下回った。

小池氏最大の勝因は新型コロナウイルス

都知事選には小池氏を含め、史上最多の22人が立候補。国政与党の自民、公明両党は小池氏を実質支援したが、野党は元日弁連会長の宇都宮健児氏、れいわ新撰組代表の山本太郎氏、元熊本県副知事の小野泰輔氏らに支持が分散した。

野党系候補で最も票を集めたのは野党第一党の立憲民主党や共産党、社民党が支援した宇都宮氏。先の参院選で2議席を獲得して勢いのあるれいわ新撰組の山本氏が続き、大阪府の吉村洋文知事の活躍が目立つ日本維新の会推薦の小野氏が3番手につけた。ただ、3人の得票を合計しても210万票ほど。野党系候補の乱立が小池氏の直接の勝因とはいいがたい。

むしろ、小池氏の最大の勝因は新型コロナウイルスだろう。ウイルスの感染が再び広がりつつある中で行われた都知事選は、終始盛り上がりに欠いた。小池氏は「公務を優先する」と宣言し、連日「都知事」としてテレビの前に立ち続けた。動画配信などオンラインでの選挙戦も展開したが、それよりも現職知事としてウイルスと戦う姿の方が何十倍も有権者には注目されただろう。

逆に野党系候補の訴えはコロナ関連のニュースにかき消されてしまった。マスコミ各社も候補者の取り扱いには苦慮しただろうが、ここまで新型コロナウイルスに世間の注目が集中してしまっては仕方ない面がある。

ただ、野党にとっては今後の国政選挙に大きな課題を残した。特に衆院選都知事選と同様に当選者が一人。いくら内閣支持率が低下しているといっても、政党支持率で自民党がダントツ1位という状況では、まとまらないと勝負にすらならない。立憲民主は都知事選で宇都宮氏を支援したが、同党に所属していた須藤元気参院議員は離党して山本氏を応援。野党第二党の国民民主党は党として支援する候補を決めることすらできず、宇都宮氏、山本氏、小野氏に支持が分かれた。

今回の都知事選を機に、与党内では早期解散論が、野党内では野党結集論が、再び勢いを増す可能性がある。

2期目の小池都政はコロナ対策が最優先

圧勝で再選を決めた小池都知事だが、2期目の道のりは平たんではない。都内の新型コロナウイルス新規感染者は5日まで4日連続で100人超。特に20代、30代などで感染拡大が続いており、「夜の街」対策は急務となっている。東京から埼玉、千葉、神奈川などの隣県に感染者が広がっているとの見方もあり、小池知事が「不要不急な他県への移動は控えてほしい」と呼びかけるほか、「緊急事態宣言を再び発令すべき」との声も出ている。

小池都知事は3月下旬に都内での感染が広がった際はいち早く休業要請の必要性を訴え、要請に応じた事業者への協力金の支払いも先駆けて打ち出した。ただ、協力金などコロナ対策で1兆円の財政を投じた結果、約9千億円あった都の貯金「財政調整基金」は9割減。都の財政が他の道府県に比べて豊かとはいえ、協力金の支払いを何度も繰り返す余裕はない。

このまま感染が収まらなければ、来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も危うくなる。ただでさえ、アメリカやブラジルをはじめとする世界各国で感染拡大が続いているのに加え、開催地でも感染が収まらないとすれば各国が選手団の派遣をためらうだろう。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は2021年に開催できなければ中止すると公言しているが、万が一、それが現実となれば都の経済が一気に冷え込む可能性もある。首都の景気悪化は日本中に悪影響を与えかねない。

圧勝で再選を決めた小池都知事だが、2期目の道のりは平たんではない。都内の新型コロナウイルス新規感染者は5日まで4日連続で100人超。特に20代、30代などで感染拡大が続いており、「夜の街」対策は急務となっている。東京から埼玉、千葉、神奈川などの隣県に感染者が広がっているとの見方もあり、小池知事が「不要不急な他県への移動は控えてほしい」と呼びかけるほか、「緊急事態宣言を再び発令すべき」との声も出ている。

小池都知事は3月下旬に都内での感染が広がった際はいち早く休業要請の必要性を訴え、要請に応じた事業者への協力金の支払いも先駆けて打ち出した。ただ、協力金などコロナ対策で1兆円の財政を投じた結果、約9千億円あった都の貯金「財政調整基金」は9割減。都の財政が他の道府県に比べて豊かとはいえ、協力金の支払いを何度も繰り返す余裕はない。

このまま感染が収まらなければ、来年の東京五輪・パラリンピックの開催も危うくなる。ただでさえ、米国やブラジルをはじめとする世界各国で感染拡大が続いているのに加え、開催地でも感染が収まらないとすれば各国が選手団の派遣をためらうだろう。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は21年に開催できなければ中止すると公言しているが、万が一、それが現実となれば都の経済が一気に冷え込む可能性もある。首都の景気悪化は日本中に悪影響を与えかねない。

小池氏の国政復帰はあるか?

小池氏をめぐっては“国政復帰論”も常にささやかれる。自民党所属の衆院議員だった小池氏は“女性初の首相”への道筋が見通しにくくなっていた2016年、自民党を飛び出して都知事選に立候補。小池旋風を巻き起こし、自民系候補を破って初当選した。

勢いそのまま、翌年の都議選では地域政党「都民ファーストの会」を立ち上げ自民党を敗北に追いやった。さらにその秋の衆院選前には新たな国政政党「希望の党」を立ち上げ、野党再編の主導権を握ろうとしたが、首相経験者らを「排除する」と発言したことなどをきっかけに風向きが一転。衆院選で惨敗し、自らも代表を退いた経緯がある。

新型コロナウイルス騒動を機に再び全国から注目を集めるようになったとともに、「安倍一強」に陰りが見え始めたことで、再び国政で頂点を目指すのではないかとの見方は永田町でくすぶる。今回の都知事選でいち早く「小池支持」を打ち出した二階俊博自民党幹事長らが小池氏を担ぐ可能性もある。チャンスがあるとみれば、都知事を後継に託して再び国政選挙に転じる可能性は小さくない。

小池都政をめぐっては発信力や指導力を評価する声がある一方、「パフォーマンスが過ぎる」といった批判も根強い。圧勝に浮かれず、ウイルス対策と経済の両立という非常に繊細なかじ取りに専念しないと日本経済の沈没にもつながりかねない。