菅政権、新型コロナとの闘い2021 秋の総選挙までのカウントダウン

2021.1.1

政治

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菅政権、新型コロナとの闘い2021 秋の総選挙までのカウントダウン

2020年の国内政治は新型コロナウイルスに振り回され、その影響で東京五輪・パラリンピックが1年延期、8月には激務で体調を崩した安倍晋三首相が突然辞任を発表して菅義偉首相に交代するなど波乱の年となった。2021年も引き続き新型コロナとの戦いが最大の課題となり、対策次第で東京五輪・パラを開催できるかどうかが左右される。秋には自民党代表選と衆院議員の任期満了が控えるほか、1月に就任するアメリカのバイデン大統領との関係性も国内政治に大きな影響を与えそうだ。2021年、特に注目して追うべき国内政治のトピックスを3つ紹介したい。

トピックス1:新型コロナとの戦い

「静かな年末年始をお過ごしいただきたい」。菅首相は年末に首相官邸で開いた記者会見で国民にこう呼びかけた。

菅政権はコロナ対策と経済再生の「バランス」を重視。根強い批判をよそに観光業界を支援するためのGoToトラベルを続けたが、新規感染者の増加を受けて年末年始の一時停止を余儀なくされた。1月11日までキャンペーンを停止するほか、酒を提供する飲食店などにも短縮営業を呼び掛けているが、さらに延長、延長となれば観光業や飲食業界に大打撃を与えかねない。かといって中途半端な時期に再開を認めれば再び感染が広がる懸念があり、難しいかじ取りを迫られる。

2月には日本でもワクチンの供給が始まる見通しのため楽観視する向きもあるが、欧州や南アフリカでは感染力がより強い変異種が広がりつつあり、国内でも2020年12月28日に初めて変異種の存在が確認された。ナイジェリアでは別の変異種が見つかったとの報道もあり、政府は国内の制御策だけでなく、国際社会と協力してこのウイルスと戦っていく必要がある。

新型コロナとの戦いは夏に控える東京五輪・パラの開催にも大きく影響する。2020年から1年延期された東京大会は7月23日から8月8日の日程で開催される予定だ。国際オリンピック委員会(IOC)や日本の大会組織委員会は観客を入れての開催を目指しており、選手団やスタッフ、観客の数を絞る案などが浮上している。

ただ、日本国内で春ごろになっても感染の広がりが収まっていなければ選手団の派遣を見送る国が出てきてもおかしくない。逆に海外で新型コロナやその変異種が広がっていれば各国の選手団や観客を日本に受け入れることへの反対論が出てくるだろう。仮に中止になった場合の経済的損失は4兆円超とも言われており、新型コロナとの戦いは日本経済にも大きな影響を与えることになる。

トピックス2:総裁選・総選挙

2つ目の注目ポイントは、菅首相に立ちはだかる2つの壁だ。1つは自民党総裁選、もう1つは衆院総選挙である。

2020年に自民党総裁に就任したばかりの菅首相だが、安倍前首相の任期途中の辞任によって後任に就いたため、2021年9月末で任期が終わり再び総裁選が行われる。就任直後は異例の高支持率となったため“再選確実”とみられていたが、足元は新規感染者数の増加とともに支持率が低下しつつある。

そこに絡んでくるのが衆院総選挙だ。4年前の総選挙で選ばれた衆院議員の任期は今年の10月21日まで。菅首相は今春の解散・総選挙を否定しており、順当にいけば自民党総裁選の直後に行われることになる。そうなれば自民党議員は自分たちの選挙が有利になるよう“選挙の顔”にふさわしい総裁を選びたいというのが本音。その時点で菅内閣の支持率が低ければ発信力の高い石破茂元幹事長や河野太郎行政改革担当相、小泉進次郎環境相らを推す声が高まる可能性がある。

自民党が誰の顔で衆院選を戦うかはわからないが、いずれにしても結果がどうなるかは新型コロナとの戦い次第だろう。ただ、仮に新型コロナが来秋時点でも収まっておらず、内閣や自民党の支持率が低かったとしても野党側の戦う体制が整っているかは疑わしい。2020年9月には最大野党の立憲民主党と第二野党の国民民主党が合流したが、国民民主の一部は立憲に加わらず新「国民民主党」を立ち上げた。社民党も立憲民主に合流する流れだったが、結局は福島瑞穂党首ら一部が残留することとなった。

民主党政権の崩壊以来、足並みがそろわず“安倍一強”の前に国政選挙で敗北し続けてきた野党。1年以内に衆院選が行われることが確実となった今、メンツを捨てて“勝てる体制”を早急に構築できるかが与党に対抗できるかどうかのカギとなろう。

トピックス3:バイデン時代の日米関係

3つ目の注目ポイントは日米関係だ。同盟国であるアメリカでは1月20日にバイデン次期大統領とハリス次期副大統領が就任する。安倍・トランプ両氏は互いに保守政党ということもあり比較的良好な関係を保ってきたが、菅首相がリベラル派のバイデン氏とどのような関係を構築するかで日本の国内外に大きな影響を与えることとなる。

国内ではトランプ政権との間で一時、緊張感が高まった貿易摩擦や米軍駐留費問題、沖縄普天間基地移設問題、そしてバイデン氏の重視する環境問題などが大きく注目される。国外に目を向ければ中国や韓国との領土問題、北朝鮮の拉致問題には米国の関与が大きく影響するため、バイデン氏がどのように対応するか、一挙手一投足に注目が集まるだろう。

2021年の国内政治は新型コロナとの戦い、総裁選・総選挙、バイデン時代の日米関係。この3点に注目しながら日々のニュースを追いかけたい。