野党再編、まだ実現しないの!? 民主「海江田おろし」不発、再編にたちこめる暗雲

2014.7.10

政治

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日本維新の会が「東西」に分裂した。西の橋下グループが結いの党との合流を決めるなど再編の動きは加速しているが、最大野党である民主党の腰が定まらない。元外相の前原誠司らによる「海江田おろし」も不発に終わり、「野党再編」という名のパズルの完成予想図は見えない。

海江田体制の微妙な安定

「民主党は国民の声を国政に反映させる義務があるが、取り組みは道半ばだ」。民主党が通常国会閉幕後の6月下旬に開いた両院議員総会。代表の海江田万里はこう意気込んだ。自身の去就について明言はしなかったものの、事実上の続投宣言といえる。

海江田は2012年の野党転落直後、野田佳彦の後継として代表に就任した。総選挙大敗後だっただけに野田政権の主流派はいずれも出馬を見送り、実質的な「無風選挙」だった。

あれから1年半。安倍政権の高支持率が続く一方で、海江田率いる民主党の支持率は低迷。代表としての存在感も発揮できていない。

海江田の任期は来年9月までだが、党内では代表選の前倒し論がくすぶる。両院議員総会でも「党内の民意を占うためにも代表選を念頭に真剣に考えてほしい」(幹事長代行の渡辺周)といった声が出た。代表選の前倒しというと聞こえはいいが、要は代表交代論要求であり、「海江田おろし」である。

それでも海江田が続投宣言できたのは、海江田体制が党内に安定した支持基盤を抱えるからだ。海江田を支持するのは野田政権時の反執行部が中心。旧社会党や旧民社党のグループに所属するリベラル派や労組系議員が多い。衆院選の惨敗によって民主党内では参院の方が議員数は多く、その参院民主党は労組系議員が主導権を握る。

“参院民主党のドン”こと副議長の輿石東は日教組出身。輿石の後任として参院議員会長を務める郡司彰も農協系労組出身で、ともに旧社会党グループに属する。彼らが民間労組出身の元経済産業相、直嶋正行ら旧民社党グループとともに海江田を支える柱となっている。

そうした労組系議員は組合改革を進めた維新の会へのアレルギーが強く、集団的自衛権の行使にも否定的。海江田は彼らの意向も踏まえて再編にも集団的自衛権の行使にも慎重な姿勢を示し、積極論を唱える勢力との亀裂が深まっている。

反執行部のメーンシナリオは乗っ取りで再編

反海江田の急先鋒は野田政権の中心を担った「6人衆」。前首相の野田佳彦や元外相の前原誠司、元外相の岡田克也らである。5月に代表選前倒しの口火を切った前外相の玄葉光一郎もその一人。両院議員総会で前倒し論を唱えたのは彼らの側近たちだ。

6人衆や前幹事長の細野豪志らは民主党の限界を感じ、維新の会などとの再編に活路を見出そうとしている。細野は維新幹事長の松野頼久や結いの党代表の江田憲司らと頻繁に接触。前原は維新代表で大阪市長の橋下徹と陰で連絡を取り合っている。前原は6月のテレビ出演で、橋下との将来的な合流の可能性について「100%」と言い切った。

前原は一部で「離党へ」と報道されたが、メーンシナリオは違う。前倒しした代表選で海江田を引きずり下ろし、前原や細野が新たな代表に就く。そのうえで「党」対「党」として維新や結いの合流新党と協議を始め、再編につなげるというものだ。

彼らが党にこだわるのは、民主党の金庫に多額の金が眠っているから。民主党は2009年の衆院選で大勝し、政権を担った3年半の間に多額の政党交付金を受け取った。2012年の収支報告書を見ると、2013年への繰越額は218億円。同年には参院選があったものの、今もまだ100億円以上が残っているとみられる。

資金を握れば今後の政局において優位に立てる。だからこそ党を乗っ取り、政界再編で主導権を握るシナリオを描いているのだ。再編に労組系議員が反対すれば、党から追い出せばいい。海江田側もそれをわかっているため、おいそれとは代表の座を渡そうとはしない。

橋下・江田新党、石原新党は8月に旗揚げ

民主党がもたついている間にも、野党再編の動きは進んでいる。日本維新の会は6月22日に大阪で臨時党大会を開き、分党を正式決定。62人の国会議員は橋下側に38人、石原側に22人所属し、残り2人は無所属で活動していくこととなった。

橋下側は結いの党と衆院でも統一会派を作り、8~9月に合流して新党を結成する。党名には「維新」を引き継ぐ方向だが、結いが「イメージを刷新すべきだ」として最終調整が続いている。石原側は党名を「次世代の党」に決め、8月にも結党大会を開く。橋下、石原両氏のサイドからラブコールを受けるみんなの党は再び分裂の危機を迎えている。

民主党がこの流れに乗り遅れれば、来年の統一地方選は再び野党候補が乱立することになる。民主党の細野の地元である静岡県にように民主と維新、結いで来年の統一地方選に向けた候補者調整を始めた地域もあるが、党同士の調整には限界がある。野党候補がつぶし合えばそれぞれの地域に”しこり”を残し、次期衆院選での協力も難しくなる。

タイムリミットは今年秋。民主党のキーマンたちがどう動くか、注目が集まる。(敬称略)

野党各氏は何をやっているのだろうか? 大体、巨大与党が立ちはだかる現実で、小さな野党が足の引っ張り合いをしていては政権交代など夢のまた夢だ。民主党は自らが選んだ代表がだらしない、というのであれば自分が立って党をまとめればよい。それもできないで後ろから叫んでいるだけでは負け犬の遠吠えと言われても仕方あるまい。そんな体たらくでは党内を変えたところで、国民がついていくはずもない。

まずは身内をなんとかかためていく姿を見せなければ、次の選挙では勝負をするどころか、消えてなくなることも覚悟しなければならないだろう。野党も国民と乖離し過ぎている。以上!