新型コロナワクチンの副反応、現時点でわかっていること

がん・感染症センター 都立駒込病院での医療従事者接種 写真:ロイター/アフロ

社会

新型コロナワクチンの副反応、現時点でわかっていること

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厚生労働省は3月26日、「厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」と「薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を合同で開催した。それによると、アナフィラキシーは47件。接種後、1回目、2回目ともに約9割に接種部に痛みが出たほか、特に2回目の接種では4割近い人が発熱の症状があることがわかった。

医療従事者に約58万回接種、アナフィラキシーは47件

日本では2月17日からファイザー社の「コミナティ筋注」というmRNAのワクチンを、医療従事者に対して接種を開始しているが、3月21日までに約58万回の接種が行われた。うちアナフィラキシー(※)の疑い例は181件あり、全員が回復。

国際的なアナフィラキシー症例の定義の指標である「ブライトン分類」で、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症している「3以上」に該当した例は47件だった。ワクチン接種後に死亡した例は2件あったが「直接的な関連性を示す事実はない」という見解だった。

※症状については厚労省のページ を参照

副反応は男性より女性、高齢者未満の比率が高い

また、厚労省ではワクチン接種者に対して、接種後の4週後までの「体温」「接種部位反応」「全身反応」の3つを知るための健康調査を実施し、その中間報告が発表された。1万9808例が登録され、医師17%、看護師47%、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師がそれぞれ3%などとなっている。性別では男性34%、女性66%で、年代別では20代が21%、30代が24%、40代が25%、50代が21%、60代が8%などだった。高血圧の疾患を持っている人が8.1%、脂質異常症である人は4.7%、気管支喘息は9.8%いた。

接種後8日目以降に回収できた1回目接種の健康観察日誌1万9035例(全体の96.1%)および、2回目接種の健康観察日誌3933例の健康観察日誌によると、体温では37.5度以上の発熱の例は1回目3.3%だったが、2回目になると35.6%に跳ね上がることが判明。発熱するのは2日目が多く、接種3日目には解熱した。ただし、38度以上になると1回目は0.9%、2回目は19.1%となることもわかった。

接種部位反応においては、部位の疼痛(痛み)は1回目が92.3%、2回目は91.9%とほぼ確実に接種した後は痛みが来ることが判明。接種翌日に自覚した人が多く3日目には軽快した。ほかには、腫れ、発赤、痒みなどで、4回目以降は多くが改善され、1週間後に副反応がある人はほとんどいなくなった。

全身反応では、1回目に比べ2回目接種の時に副反応が起きることが多く、頭痛は1回目21.2%だったが、2回には49.0%に。全身倦怠感は1回目23.2%、2回目67.3%と7割近い人が倦怠感を覚えることになる。

深刻な例では、20代女性が顔面神経麻痺を含む末梢神経障害を起こすといった20例が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告されたが、そのうち16例が女性だった。

高齢者の接種開始は早くて4月1日から

ワクチン接種を担当する河野太郎行政改革担当相は、3月27日夜に高齢者への接種は早くて4月1日からになると述べている。

新型コロナウイルスのワクチン接種は努力義務であり、打つ・打たないの判断は個人の意思に委ねられている。これらのデータはワクチンの接種を受けるかどうかのひとつの判断材料になるだろう。

接種を受けるとしても、発熱が出るのを半分覚悟したり、9割近くは痛みがあることがわかれば、実際に自分自身に副反応が出ても落ち着いて対応できるという心の準備に大いに役立つはずだ。