定額制でサービス・モノを利用できる「サブスクリプションサービス」。月額500円で配送無料のほか動画や音楽、読書等のコンテンツが利用できる「Amazonプライム」をはじめ、動画配信の「Netflix」や「Hulu」、音楽配信の「Spotify」などがサブスクとして高い認知度を誇る。クラウドを用いたネットに関するサブスクが注目されがちだが、最近はアナログなものも含めて珍しいサブスクがたくさんあり、それこそ趣味の分野がかなり充実しているようだ。
本格派カレーが作れるサブスク「AIR SPICE」
おうち時間が増えたことで凝った料理をする人が増えるなか、市販のルーを使わずにスパイスからカレーを作ってみたいと思った人も少なくないのではないだろうか。ただ、大量のスパイスから調合を決めるのは至難の業であり、素人にはおいしいカレーが作れないかもしれない。筆者もスパイスを買い揃え見よう見まねでカレーを作ってみたが、とても食べられたものではなかった。
しかし、毎月レシピ付きのスパイスセットが届く「AIR SPICE」(エアスパイス)なら、準備要らずで本格派カレーが作れるはずだ。毎月、使い切りの分量でスパイスが届けられ、あとはレシピ通りに作ればいい。
スパイスは本来、粉状で使うものや丸ごと使うものなど、スパイス自体の特徴に沿って使い分けなければならないが、AIR SPICEで届けられるスパイスはすでに適切な形状に加工されているため使い方を間違えることもない。3カ月2940円、6カ月5880円で、お試しなら単品980円。なお、スパイスを手がける水野仁輔氏はこれまでにカレーに関連する本を40冊以上執筆しているカレー研究家だ。
食品が家に届けられるタイプのサブスクは定番化しつつあり、全国のパン屋からランダムでパンが届けられる「パンスク」(パンフォーユー)や、厳選された日本酒とそれに合うおつまみが毎月届けられる「saketaku」(日本酒応援団)などもある。こうしたタイプのサブスクは届くまで中身がわからないものが多く、福袋を買ったときの感覚を楽しめる。商品のランダム性やユニークさが消費者を引きつけるのだろうか。
体験型サブスク「レジャー・ミー!カスタム」
モノやコンテンツを対象としたサブスクが多く見られるが、体験型のサブスクもある。「レジャー・ミー!カスタム」(エスビージャパン)は日本初の広域型観光サブスクとして2019年にスタートしたサービスだ。登録すれば毎月一定数のレジャー施設に無料で入ることができる。
登録者は施設でQRコードを読み取り、スタッフに見せるとスマホがチケット代わりになる仕組みだ。提携先のレジャー施設やイベント、商店街で使うことができる。実際にアプリに登録されている施設を見ると群馬の富岡製糸場や大阪の能勢温泉、いちご狩りイベントなどがある。月額2000円で5施設、3600円で10施設までフリーとなる。ただし公式HPによると2020年5月時点で12地域、1500施設しかないのが残念なところだ。施設検索の範囲を京都府で絞っても金閣寺や清水寺など王道の観光地は登録されていない。
上記の「AIR SPICE」はカレーマニアをターゲットにすればいいため消費者全体の認知度はそこまで必要ないが、「レジャー・ミー!カスタム」のように広域でのカバーを目指すのであれば電子マネーのように多数の施設を抱えなければならない。現在はレジャー市場全体が冷え込んでいるためアフターコロナでの活躍を期待したい。
手の届かない腕時計を身に着けられる「KARITOKE」
書店で高級時計の雑誌を手に取ることは多いが、時計自体はいつまでたっても手が届かない存在だ。また、複数の時計が欲しくても価格的に1つ2つしか買えないのが現実。コレクションしようにも所帯持ちは家族が認めてくれないかもしれない。
「KARITOKE」(ななし)は高級時計のサブスクだ。1カ月ごとに時計を乗り換えられ、追加料金として1000円を支払えば月の半ばでも交換できる。全部で50ブランド・1300種類を抱えており、時計のサブスクとして国内最大級であることを謳っている。時計の入手・返却は宅配を通じて行われ、東京・大阪にある店舗に行けば実際に試着した上で借りる時計を選ぶことも可能だ。
プランは月額3980円から19800円までランク分けされており、値段によって借りられるブランド・時計が変わるシステムだ。最安プランでも中古で5~10万円の時計があり、最上位の19800円のプランでは200万円のウブロのビッグバン等の時計が借りられる。
似たようなサービスでは女性向け購入バッグのサブスク「Laxux(ラクサス)」(ラクサス・テクノロジーズ)がある。ブランド品のサブスクは手ごろな価格で高級品を借りられるほか、購入を決める上での試着手段として使えるメリットがある。万が一高いお金を払った後に後悔したくなければ、こうしたサブスクを使ってみるのもいいだろう。
カメラ・バイク・ギター…趣味とサブスクの相性は◎
趣味は何かとお金がかかるものだが、サブスクを使うことで出費を抑えられるかもしれない。例えばカメラを趣味とする人が、機材・レンズもろもろを揃えようとすると100万を超えることもある。特に凝る人は純正レンズ・望遠レンズ・単焦点レンズとシチュエーションによってレンズを代えることもあるだろう。だが買い揃えてはみたものの年に1回しか使わない道具があれば……それこそ無駄というものだ。
「GooPass」(カメラブ)に登録すれば月額6380円からカメラ機材を借りることができる。月内で何度でも交換ができ、週末の度に機材を代えるという利用法も可能だ。サブスクでは故障時の弁償が心配だが、保険が適用される場合は数千円程度の出費で済むため気軽に使えるだろう。
特に趣味のサブスクは、定額で多種類のものを楽しめるという点が魅力的だ。「月極ライダー」(ヤマハ発動機)なら数万円で1カ月間バイクに乗り続けることができ、「PlayG!」(神田商会)なら月額2970円から19800円まで価格に沿ったギターを借りられる。コレクションをするよりは出費をかなり抑えられる。
ちなみにサブスク先進国ともいえるアメリカでは、子どものための料理キットを提供する「Raddish」や、週3回まで映画館で視聴できる「AMC Stubs A-List」など、日本でも流行りそうなサブスクが多く存在する。今後、海外の例を参考に国内で展開するサブスク事業者も現れることだろう。