【衆院選】明日10月31日投開票、注目は自民がどれだけ減らすか

2021.10.30

政治

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【衆院選】明日10月31日投開票、注目は自民がどれだけ減らすか

写真:つのだよしお/アフロ

明日10月31日に投開票される衆院選。岸田文雄首相は勝敗ラインについて「与党で過半数」としているが、それはあくまでも最低限の目標に過ぎない。実際には与党で公示前勢力の305議席をどれだけ維持できるかが焦点。「絶対安定多数」といわれる261議席を与党で確保できるかどうかや、自民党で単独過半数である233議席を維持できるかどうかが注目される。報道各社の調査ではいずれも達成できるか微妙な情勢だ。

中盤情勢調査は報道機関で判断分かれる

  • 「自民の単独過半数維持は微妙、立民が議席増」(読売新聞)
  • 「自民過半数確保の勢い、公示前は下回る可能性」(朝日新聞)
  • 「自民単独過半数の攻防、与党過半数の勢い」(日本経済新聞)
  • 「与党、絶対安定多数を視野、自民減も、立民伸び悩み」(共同通信)

報道各社の情勢調査を見ると、いずれも自民公明両党を合わせると公示前勢力より議席数を減らすものの、首相が目標として掲げる与党で過半数は維持する見通し。それよりも焦点は与党で絶対安定多数[261議席]を確保できるかと、自民党で単独過半数[233議席]を維持できるかどうかの2つだ。

今回、自民党は公示前の276より議席を減らすのが確実な情勢。前回2017年の衆院選では直前に小池百合子東京都知事が「希望の党」を立ち上げたため、野党票が分散した。今回は多くの選挙区立憲民主党や共産党などが候補を一本化したため、自民党の議席減は“織り込み済み“といえる。むしろ注目なのはどこまで減らすか、だ。

読売新聞の終盤情勢調査(10月26~28日)では野党が自民党を追い上げている選挙区が増えているとして、自民党の単独過半数維持は「微妙」と分析。日本経済新聞の終盤情勢調査(同上)では自民党が優位に立つ選挙区が序盤より増えているものの、比例代表では序盤より勢いがなくなり単独過半数の「攻防」と表現している。

一方、朝日新聞の中盤情勢調査(10月23~24日)は「自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数を大きく上回る勢い」と判断。調査時期が若干ずれるものの、読売・日経と朝日では判断が分かれる結果となった。永田町では「朝日は自民党の数字が強すぎる。読売・日経の方が肌感覚に近い」との声がある。

減らし方次第では連立政権の力関係に変化も

自民党が単独過半数割れとなると、国会運営には公明党の協力が欠かせなくなる。これまで通り連立政権を組むため表面上は変わらないが、水面下では公明党の影響力が強まるのが確実。政府・与党にとっては不安要素となりかねない。

その公明党は強固な支持基盤を武器に安定した戦いぶり。読売新聞では9人を擁立した小選挙区の多くで安定し、比例でも前回衆院選の21議席を上回る可能性があるという。日経でも公示前の29議席からの上積みをうかがうとし、朝日新聞も公示前勢力を維持しそうな勢いとしている。

自民、公明両党を合わせた与党の獲得議席数で注目なのは、すべての常任委員会で委員長ポストを独占し、過半数の委員を確保できる「絶対安定多数[261議席]」と、すべての委員長と委員の半数を確保できる「安定多数[244議席]」の2つ。自民党が政権を奪還した2012年以降、3回の衆院選ではいずれも自民党だけで絶対安定多数を確保してきたが、今回は与党で絶対安定多数、もしくは安定多数を維持できるかが焦点となる。

読売は「安定多数をうかがう」と分析し、日経は「自公両党が先行する接戦区をほぼ全て取れば絶対安定多数に届き得る」と判断。共同通信の終盤情勢調査(10月23~26日)では「絶対安定多数を視野に入れる」と報じた。自民党が強いと分析している朝日では「接戦となっている選挙区の勝敗次第では、自民で絶対安定多数を確保できる」としている。

野党は維新に勢い

一方の野党は、公示前に110議席と最多だった立憲民主党が「30近く増やす可能性」(読売新聞)、「公示前から増える公算が大きい」(日経)。ただ、朝日は選挙区で公示前を上回るものの、比例区では勢いに欠け「公示前からほぼ横ばい」と分析しており、共同も「伸び悩んでいる」とした。個別に見ると与野党で接戦となっている選挙区が多く、自民、立民ともに獲得議席数がある程度ぶれる可能性はある。

野党内で勢いが目立つのは日本維新の会だ。本拠地である大坂で「19ある選挙区の半数以上を制しそう」(読売)な勢い。比例でも序盤より勢いを増しており「公示前の11議席から3倍の大幅増が視野に入る」(日経)。維新については朝日や共同も同様にみており、衆院において単独で法案を提出できる21議席を確保し、存在感を増す可能性がある。

共産党は沖縄1区で「接戦」(朝日)、「優位」(読売)となっており、比例でも議席を伸ばして公示前の12議席を上回る勢い。国民民主党は公示前の8議席と「同程度」(朝日)とみられている。れいわ新撰組は山本太郎代表が立候補した比例東京で「議席獲得をうかがう」(朝日)。社民党も小選挙区で「1議席維持をうかがう」(日経)が、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は議席獲得が厳しい情勢。

今回の衆院選では投票率にも注目が集まる。過去の衆院選では「郵政選挙」の2005年に67.51%、民主党が政権を取った2009年に69.28%という高い数字を記録したが、自民党が政権を奪い返した2012年は59.32、続く2014年は52.66%と過去最低を更新し、2017年も53.68%にとどまった。今回は比較的関心が高いとされ、どこまで投票率が回復するかが注目。投票率が高まり、普段選挙に行かない層が票を投じれば、マスコミの予想と異なる選挙結果となる可能性もある。