【2022年の政界】岸田内閣初の予算審議、夏には参院選

2022.1.4

政治

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【2022年の政界】岸田内閣初の予算審議、夏には参院選

写真:ロイター/アフロ

首相の交代や衆院総選挙など政治ニュースが盛りだくさんだった2021年が終わり、2022年が幕を開けた。国内政治にとって今年はどんな一年になるか。新型コロナウイルスの脅威が続くなか、岸田文雄首相は安定的に政権を運営していくことができるか。野党第一党の立憲民主党が泉健太新体制の下、勢いを盛り返すか。それとも、日本維新の会など第3勢力が与党を脅かす存在になるか。夏の参院選に向けて永田町の動きが加速しそうだ。

「聞く力」の正体は柔軟性か優柔不断か

「本年も、多くの方の声を聞きながら、国民のために何が最善なのかという観点から、政治としてしっかりと決断し、結果を出していく覚悟です」。岸田首相は年頭所感で、2022年の抱負についてこう示した。

1月17日には通常国会が召集され、首相は初めての施政方針演説で一年間の政府の基本政策を説明。その後、2022年度予算案をめぐって初めて野党との本格的な論戦に臨む。

予算審議は連日、NHKで生中継され、翌日の新聞紙面で大きく紹介されるなど注目度が高い。過去にはスキャンダルの追及などで支持率を落とした政権も多く、岸田政権にとっては2021年の衆院選に次ぐ第2の関門となりそうだ。

政権発足から約3カ月、今のところ岸田首相の政権運営はおおむね好意的に受け止められている。日本経済新聞の世論調査によると、政権発足時に59%だった内閣支持率は11月に61%、12月に65%と続けて上昇。過去4半世紀の歴代政権のうち、8割は政権発足から3カ月で支持率が低下しており、上昇は小泉政権と第2次安倍政権に続いて3例目という。菅前政権でも発足時こそ74%という異例の高さだったが、その後の2カ月で16ポイント下落。同じ発足3カ月で比べると岸田内閣が菅内閣を上回った。

支持率上昇の要因の一つが首相の“聞く姿勢”だろう。安倍晋三首相や菅義偉首相がどれだけ批判されても政策の変更や方針転換をしなかったのに対し、自らの長所を「聞く力」と語る岸田首相は柔軟な姿勢をアピールしている。

党内では比較的リベラルな宏池会(岸田派)の出身だが、総裁選では保守派に配慮して憲法改正や皇室における男系男子の維持を主張。コロナ対策における子育て世帯への10万円給付をめぐっては当初、5万円分をクーポンで配布するとしたが、費用がかさむなどと批判されるとあっさり全額現金給付を認める考えに転じた。

ただ、柔軟な姿勢は一方で、優柔不断と批判される可能性がある。2022年度予算案の審議ではどこまで野党の要望を受け入れ、どこまで政府与党の方針を貫くか。難しい判断を迫られる場面が増えるだろう。

参院選では維新・国民連合もあり得る?

2022年は通常国会が終わるとすぐに参院選が行われる(投開票は7月上旬とみられる)。参議院では248の定数(2022年から3議席増)のうち、半数ずつを3年ごとに入れ替える仕組み。次期参院選では74人を都道府県ごとの選挙区で、50人を全国単位の比例代表で選出する。

参院選では改選定数1人の「1人区」が32あり、ここで勝敗が分かれる。首相の姿勢や政府与党への支持が問われると同時に、野党が1人区で選挙協力するどうかも勝敗に大きく影響する。2021年の衆院選では最大野党の立憲民主党を中心に共産党や社民党などと“共闘”体制を組んだが、共産党との協力が有権者離れを招いたとの指摘もある。今のところ立憲の泉代表は共産党などとの選挙協力について方針を明らかにしていないが、どういう距離感で協力するかによって自民党を利する可能性も、自民党に脅威となる可能性もある。

参院選におけるもう一つの注目が第3勢力だ。大阪維新の会を母体に2012年に国政進出した日本維新の会は離合集散を経て、2021年の衆院選で議席数を公示前の11から41に大きく伸ばした。衆院選後も“国会議員のお小遣い”と揶揄される「文書交通費」などの問題追及で注目度を増しており、直近の世論調査では政党支持率や「次期参院選の投票先」で立民を上回ることもある。

維新は同じ旧民主党の流れをくみながらも立民と一線を画す国民民主党との距離を縮めており、参院選では立民・共産とは別の野党連合を組む可能性もある。維新・国民連合は憲法改正にも前向きで、議席数を伸ばせば改憲議論が前進する可能性もありそうだ。

11月の米中間選挙の結果次第では経済に混乱も

海外に目を向けると、11月8日にアメリカで中間選挙が行われる。中間選挙は大統領の任期4年の半分が終わった中間の年に行われる一連の選挙のことであり、上院は全議席の3分の1、下院は全議席が改選となる。

現状はバイデン大統領率いる民主党が下院の過半数をやや上回っているが、定数100の上院は民主と共和が50議席ずつでぴったり同数。アメリカでは副大統領が上院議長を兼務しており、可否同数の場合の決定権を副大統領が持っているが、中間選挙の結果次第では上下両院とも共和党が主導権を握りかねない。直近の世論調査では、バイデン政権の支持率は不支持率を大きく下回っており、11月の中間選挙で民主党が敗北して「ねじれ議会」となればアメリカの政治が混乱し、為替相場の乱高下や株価の下落などで日本にも悪影響を与える可能性がある。