国民の心配する声多数 集団的自衛権で日本に「徴兵制」はあり得るのか?

2014.9.10

政治

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写真:陸上自衛隊

集団的自衛権」と「集団安全保障」

集団的自衛権」は、英語で「Right of collective self-defense」。「集団的な」のcollectiveは、「コレクション」(趣味で集めたもの)と同源。ちなみに自衛隊は「Self Defense Force」(SDF)。また集団安全保障は「collective security」だ。

 

集団的自衛権」と「集団安全保障」は、国会の先生も混同する、似て非なるもの。前者は「友達がやられたら加勢する」、後者は「クラス全員で乱暴者を懲らしめる」ということ。どちらも抑止力を期待する点で似ているが、前者には基本的に仮想敵国が存在し、後者にはない。NATOは旧ソ連を仮想敵国とみなして作られた集団的自衛権の典型だ。これに対し、国連はまさに集団安全保障そのもの。

集団的自衛権の容認は徴兵制に直結する」と一部マスコミが騒ぐが、そもそも両者は異次元の話。例えば、NATOは集団的自衛権の典型だが、加盟する主要先進国で徴兵制を唱える国はゼロ。フランスは2001年、ドイツは2011年に廃止している。逆に集団的自衛権=同盟を拒み、永世中立を宣言するスイスは、個別的自衛権を徹底するため徴兵制どころか国民皆兵だ。

徴兵制の有無は、その国の国家戦略や周辺の軍事情勢で決めるもの。「集団的自衛権だから徴兵制」などと言っていると、国際的には「こいつ軍事の常識も知らないな」と笑われる。

それ以前に憲法には、
●18条:苦役からの解放
●19条:思想・良心の自由
が明記されているので、改憲する以外に徴兵制はムリだ。

また、百歩譲って徴兵制を施行しても、あまり防衛力の強化には役立たない。現代の武器・装備はハイテク化され、個々の武器や兵士もネットワークでつながり、端末化されている。このため、高度の訓練・教育を受けた将兵でなければ務まらない。いわば少数精鋭だ。若者を大量動員して鉄砲を担がせればOKという発想は、せいぜい1970年代までの話。数年程度の兵役、しかも嫌々ながらという人材はむしろお荷物だ。

翻って日本は今後、少子化が急激に進み徴兵に適する若者の人口は減少するばかり。発展するのはむしろ無人化・ロボット化だろう。実際、世界の軍隊では無人の攻撃機や装甲車、警備艇がすでに実戦配備され、操作要員は、遠方の安全なオフィスにあるゲームセンターのようなモニターで8時間労働、というスタイルが急速に普及している。

今後、自衛隊で求められる戦闘要員は、ハッカーやネットオタク、ゲーマーだろう。