子どもが一歩を踏み出す勇気に 「ペッピーキッズクラブ」が目指す新しい英会話教室のかたち

2024.5.1

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学習塾や出版社などを運営するKTCグループが、30年以上続く子ども英会話教室「ペッピーキッズクラブ」のリブランディングを実施。会員たちの声を聞くなかで、「ペッピー」が英語力の向上だけでなく、子どもたちの成長に貢献できることに気づかされたという。新たなコンセプトで令和の時代に合った英会話教室を目指す「ペッピー」の想いを聞いた。

グローバル社会を見据えて生まれたペッピー

30代半ば以上の親世代にとって英語教育といえば、中学校から本格的に学び始めるものだった。しかし、2002年度から全国の小学校で「総合的な学習の時間」として英語活動が導入されたことを皮切りに、2011年度には小学5・6年生を対象に「外国語活動」として必修化。さらに2020年度には外国語活動が3年生からに繰り上がり、5年生からは「英語」が正式な教科となった。

約20年の間に時代の変化やニーズに合わせて、英語の早期教育化は進んでいる。1993年に誕生した「ペッピーキッズクラブ」(以下、ペッピー)はそれを先取りしていた存在といえる。

「90年代は偏差値教育真っ只中ではありましたが、同時に学校教育以外の学習にも目が向けられるようになり、教育の多様化が起き始めている時代でもありました。ペッピーキッズクラブは『グローバル社会に向けて英語を学びたい』という、世の中の多様化したニーズに合わせて誕生しました」(KTCグループ広報担当者、以下同)

ペッピーの対象年齢は、2歳から高校生までと幅広い。現在の会員数は全国13万人、教室も北海道から沖縄まで1500ある。

「教室は直営であることにこだわっています。直営であることの強みは、講師の育成システムが確立していること。細やかな研修システムによって、一定のクオリティの指導が保たれます」

会員、スタッフへのアンケートで確信できたこと

30年以上に渡って、数世代の親子に支持されてきたペッピーだが、いま改めてリブランディングすることになった理由は何だろうか。

「ペッピーは2023年で30周年を迎えました。われわれのサービスをもう一度見直して、お客様が求めていること、自分たちがやりたいことなどを改めて分析してみようという声が社内で上がり、そのタイミングが節目の年と重なりました」

リブランディングに向けたプロジェクトは2022年に始動。最初に行ったことは、会員とスタッフへのアンケートの実施だったという。

「お客様がペッピーへの入会を決めた理由について、『英語に興味を持ち、英語力を上げたい』というのはもちろんありましたが、ほかに『子どもの将来の選択肢を広げたい』『表現がストレートな英語を学ぶことで、自分の意見をはっきりと伝えられるようになって欲しい』といった期待の声も多く寄せられました。

また、スタッフに『ペッピーの英語とは何か』と聞いたところ『褒めること』『楽しいこと』というフレーズがとてもたくさんありました。実はお客様からも『褒められてうれしい』『教室に行くのがいつも楽しみ』という言葉をたくさんいただいていました。リブランディング前のペッピーのタグラインは『楽しいから続く。伝わるから楽しい』というものですが、改めて、これまで自分たちがやってきたことに間違いはなかったということを強く認識しました」

「学び」の先にある、子どもを変える「魔法」

会員からは英語力が向上したという声のほかに「人見知りが直った」「積極的になった」「堂々と人前で発言するようになった」といった子どもの変化に対する声も寄せられたという。

「リブランディング前のペッピーは『楽しむこと』『真の国際人の育成』をコンセプトにしつつ、グローバル社会に向けて英語力の向上を目指すというものでした。しかし、お客様の声から、ペッピーの英語は学習を通じて子どもたちの成長に大きく貢献できる“魔法”のようなものでもあると気づかされました」

こうして新たなタグラインが生まれた。

「ペッピーのえいごは、魔法を授けてくれる、きみの一生のともだち」

「“魔法”とは子どもたちの姿勢や性質を一変させる指導方法です。そして、その“魔法”により培われた姿勢こそが、本当に一生を支える財産“ともだち”になるという願いを込めています」

新しい呼び名・合い言葉に込められた意味

リブランディングでは英語学習に新たな定義付けを行っただけでなく、教室内で使われるワードも一新。

「まずスタッフの呼び名を“PEPPY★STARs”と改めました。これまでは指導スタッフ、営業スタッフ、管理スタッフなどと呼んでいましたが、よりわれわれの存在を誇らしく表し、ワンチームになるためには共通の呼称が必要だということで決めたものです。“STAR”は“Support”、“Transform”、“Achieve”“Reps”の頭文字を組み合わせたもので、『人が、変わろう(Transform)、目標を成し遂げよう(Achieve)とすることをサポート(Support)する担当者(Reps)』という意味を込めています」

さらに、レッスン中や社内での声掛けで使う言葉として「We Can Do It」「Awesome!」を採用。

「『We Can Do It』は『さあ行こう!』という意味です。レッスン中に問題を解くときや何かチームで取り組むときの掛け声として、先生が『We Can……』と言ったら、子どもたちがこぶしを上げて『Do It!』と返してもらうようにしました。ほかにもPEPPY★STARsの間でも朝礼や研修時の掛け声として使っています。『Awesome!』は『素晴らしい』『すごい』といった意味ですが、子どもたちを褒めるときやスタッフ間で目標を達成したときなどに両手でサムズアップしながら声をかけるようにしました。魔法に呪文や合い言葉があるように、子どもたちや仲間の気分を上げてくれる共通の“魔法の合い言葉”として考えました」

差異化を実現して選ばれる存在に

“魔法”をキーワードとしたリブランディングは、今後5カ年計画で社内外への認知獲得を進めていく。

「現在はレッスン内容、カリキュラムをはじめ、子どもの保護者とのコミュニケーション方法などにリブランディングの要素を加えていくことを進めつつ、ブランドムービーやそれを基にしたテレビCMも東海エリア限定ですが展開していっています」

政府も英語の早期教育に本腰を入れ、今後はさらなる成長や新規参入も見込まれる子ども向け英会話教室市場。そのようななかでペッピーがリブランディングで目指すのは、他社との「差別化」ではなく「差異化」だという。「差別化」とは他社と比較して優劣の差をつけることだが、「差異化」は優劣ではなく、別軸の“違うもの”として区別することだ。

「例えば、人はスターバックスに行くとき、『カフェに行こう』とは言わず『スタバに行こう』と言いますよね。あれはスターバックスならではの空間や雰囲気作りが他のカフェの追随を許さなかった差異化の結果です。ペッピーも同じように、『ペッピー=“魔法”“一生のともだち”』であることが広く認知されることを目指しつつ、いずれは『英語教室に行く』ではなく『ペッピーに行く』と言ってもらえるようにしていきたいと考えています」