議員定数配分、”違憲状態”に甘えるならいっそ選挙無効に

2014.11.27

政治

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2013年に行われた参議院選について、「1票の格差」が最大4.77倍だった選挙区の定数配分(選挙区の分け方)が違憲かどうか争われていた訴訟の上告判決で、最高裁は”違憲状態”だという判断を示しました。

2010年の参院選でも違憲状態の判決を下されていて、その後、議員定数を「4増4減」にすることで格差は5倍を切りましたが、まだなお違憲状態だと指摘されたことになります。

国会に対しては、2016年に行われる次回の参議院選までに抜本的な是正をするよう強く求めるとのこと。

区分けによって1票の重みが不平等であることを示す「1票の格差」は、2012年に行われた衆議院選でも生じていて(最大2.43倍)、こちらも最高裁から”違憲状態”を指摘されています。

国会は小選挙区を減らす「0増5減」を決めましたが、それでもなお最大2倍を超える格差は残ったまま。12月の選挙も違憲状態のまま実施される予定で、東京の弁護士グループは、選挙後に選挙無効の訴えを起こすことを宣言しています。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q.人口、投票者数などいろいろありますが、日本の国政は「1票の格差」の基準を何にしていますか?

A.基準は人口。

 憲法では法の下の平等を謳ってる。ということは、それぞれの一票が同じだけの権利を持たなければいけない。

 例えば、有権者が5人の選挙区と20人の選挙区で議員が1人しか当選しないとなると、4倍の格差になる。5人の選挙区の方が一人一人の声が反映されやすいと考えられない?

 ということで、厳密に言えば格差が1倍でなければいけないはずだけど、さすがに現実的ではないので、格差は衆議院では2倍以内が合憲の判断とされる。

Q.1票の格差」は、実質、政治にどんな悪影響を及ぼしているのでしょうか?

A.うーん……政治というよりも国民に不都合が生じてると思う。

 繰り返しになるけど、例えば塾に入ったとしようか。
先生が1人で生徒が2人の教室と、生徒が6人の教室では、同等のレベルの先生だったら2人の教室の方が質問もいっぱいできるじゃない。同じ料金だったら怒るでしょ。

 それと一緒(?)で、法の下の平等を謳いながら、同じだけの行政サービスを受けられないのであればおかしくない? 国権の最高機関で国の唯一の立法機関である国会が、憲法違反でいいのかな。それでは示しがつかない。

Q.“違憲状態”と”違憲”の違いは何ですか? ”違憲状態”と判断されることでどんな強制力が生まれるのでしょうか?

A.違憲状態=頑張って是正しなさい
違憲=今すぐに是正しなさい

 ”違憲”である(今回も裁判官の4人はそういう判断)となれば、「選挙無効」という判断にならざるを得なくなるよね。でも、そうなるとさすがに混乱も起きるから、”違憲状態”のうちに、「国会が自ら合憲になるまで努力せい!」ということ。

 ある国会議員は、「選挙無効にはできないだろう」と言っていたが、そんなことに甘えているんだとしたら、ホントに無効にすべき。
(佐藤尊徳)

[参考:「昨年の参院選『違憲状態』 一票の格差 最高裁、抜本是正求める」(日経新聞1面 2014年11月27日)]

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