公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2006年に設立され、少子化に伴う保険料収入の減少に備えて、国内債券をメイン(約60%)に自主運用してきました。
2014年10月に公表された中期運用計画によると、今後は国内債券を35%に下げる一方、国内株式・外国株式をともに12%→25%、外国債券を11%→15%に引き上げて運用していくそうです。
ただ、株式の利回りは、バブル崩壊前の1983~1989年の株価や配当を基にしていて、複利で運用した場合、12年で2倍に増える利回りになるといいます。
今後、当時と同じような株価の上昇がみられるかは不透明で、好況期の企業収益に基づいて運用利回りを推計することは疑問視する声も挙がっています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.年金制度を維持するためには、株式によるさらなる収益が必要なことはわかりますが、リーマンショックのようなことが起きたらそれこそ崩壊してしまわないでしょうか?
A.確かに。崩壊はしないだろうけど、マイナス運用にもなりかねないね。
巨大な資金を持つGPIFが買うから、という安心感で株価が上がるという好循環もあるので、何が正解かわからないよ。国債だって、デフォルト(債務不履行)することだってあるし、100%安全とは言い切れない。投資する目利きができるかどうかだけ。
それよりも、少子・高齢化で賦課方式(若者世代が高齢者を支える今の制度)は限界が来ているので、根本的な解決策を出さないと株式運用では賄いきれないよ。
(佐藤尊徳)
[参考:「株利回り6%、楽観しすぎ? GPIF、公的年金で想定 制度の維持、焦点に」(日経新聞5面 2014年12月9日)]
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