安全保障にかかわる重要な情報を保護するための【特定秘密保護法】が10日、施行されました。外国との安全保障協力やテロ対策における情報共有をしやすくするのが目的。
特定秘密に該当する情報を漏えいした場合、公務員や国と契約している企業の社員らに最高10年の刑罰、漏えいを共謀したりそそのかしたりした場合も最高5年の懲役が科されるなど、これまでの国家公務員法の守秘義務違反よりも罰則が重くなっています。
同法の制定にあたっては、2007年のイージス艦のデータ漏えいや、2010年に尖閣諸島沖漁船衝突映像がネットに流出した事件がきっかけだといわれています。日本の情報保全体制を心配したアメリカが法整備を強く求めたとか。
問題になっているのは、報道機関が取材して得た情報が対象になるのかどうか、ということ。防衛、外交、スパイ防止、テロ活動防止の4分野が対象になっていますが、解釈次第で広く対象になる可能性も否定できません。【国民の知る権利】が脅かされるのではないかと、懸念や批判が今なお多くあります。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.制定にあたり反対も多かった同法。尊徳編集長はどう考えていますか?
A.僕は賛成ですよ。
騒いでいるのは大メディアだけ。記者クラブ(先進国で存在するのは日本だけ)があり、既得権のなかにマスコミは安住している。
けど、マスコミは取調室の供述を垂れ流すよね? それが事実なら明らかに公務員(取調官)の守秘義務違反でしょ。そういう報道ができなくなることに関して、危機感がある大メディアの傲岸不遜(ごうがんふそん)から反対、と言ってるだけ。
そもそも「知る権利」って何でしょう? 機密情報は企業にもあって、それを漏えいしたら罪でしょ?
「そんなことを隠していたのか!」というような事象を私たちが知ったときに、情報提供した国民自身が罪に問われたとしたら、逆に権力側が国民から支持されなくなりますよ。そういうことは国民が判断すればいいだけ。
Q.米政府の通信監視をリークしたスノーデン事件など、規模の大小はあると思いますが、内部告発は対象になるんですよね? 権力者がより強くなる法律ってことですか?
A.そういうことも言えるかもしれないけど、そんなことはないと思うよ。
さっきも言ったように、隠されていたことを不快に思うか、知らなくても良かったと思うか、国民自身が判断すればいいんじゃないの? イージス艦のデータを隠されていて、誰か文句言うか?
でも、もし首相のスキャンダルを暴いたときに「特定秘密保護法違反だ!」と同法を振りかざす者がいたら、その権力者がパージされると思うよ。メディア側の勝手な価値観で、法律の悪いものとして押し売りする方がよっぽどエゴだ。
(佐藤尊徳)
[参考:「機密、知る権利を両立カギ 特定秘密法施行 40万件超集約 安保やテロ阻止 国際連携に前進」(日経新聞3面 2014年12月10日)]
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