ソニーからスマートフォンにワイヤレス接続してスマートフォンで操作する、新しい発想のレンズスタイルカメラ、サイバーショット™ 「DSC-QX100/QX10」が10月25日に発売される。商品開発の経緯やこだわりをソニーの企画・開発担当者に語ってもらった。
スマホと融合デジタルカメラ
昨今のスマートフォンの急速な普及がコンパクトデジタルカメラ市場を侵食するなか、ソニーは敢えてスマートフォンと連携してデジタルカメラの価値を高めるという戦略をユニークなレンズスタイルカメラという新しいコンセプトで展開した。スマートフォンに装着して、あるいはスマートフォンと離して、まったく新しい撮影体験ができるソニーのレンズスタイルカメラDSC-QX100には高性能なコンパクトデジタルカメラ、サイバーショットRX100IIと同じサイズのイメージセンサーとレンズが搭載されている。「あなたのスマホをプレミアムカメラに」とのコンセプトを、プロジェクトスタートから商品の完成まで貫いたと商品企画の玉川準一朗氏(ソニー株式会社デジタルイメージング(DI)事業本部商品企画部門)は語る。
「スマホユーザーが物足りなさを感じている暗所やズーム画質をキレイに撮り、高精細な大画面でカメラの操作ができ、撮影した写真をすぐに編集したり、SNSでシェアできることがメインコンセプトです。スマホとデジタルカメラ双方のよいところを融合する2モデルを提案しました」(玉川氏)
デザインでも勝負
F1.8大口径カールツァイスレンズを搭載したDSC-QX100は、高画質で暗所撮影や”ボケ味”に強みを発揮する。DSC-QX10も光学10倍ズームを搭載し、遠くの被写体も高画質で撮影できる。小ぶりの筒の中には、画像処理エンジンを始め従来のスマホでは表現しきれないカメラならではのクオリティが凝縮されているのだ。開発のきっかけについて、設計プロジェクトリーダーの兼子夏海氏(DI事業本部商品設計部門)が語る。
「ソニーではサイバーショットを始め、デジタルイメージング商品全般でネットワークに対応させる方向で動いてきましたが、これをさらに研ぎ澄ませて、むしろネットワークに特化した商品をつくろうとプロジェクトを開始しました。商品の形状は二転三転しましたが、社内でアンケートを行ったり、商品デザインを担当するクリエイティブセンターからの提案を聞きながら現在の形に落ち着きました」(兼子氏)
四角から丸へ、時代への挑戦
世界でも例のない”レンズ型”カメラだけに機構設計担当の水上理氏(DI事業本部コア技術部門)、ソフトウェア担当の伊藤亮吾氏(DI事業本部デジタルイメージングアプリケーション設計部門)ら設計・開発チームにとってもチャレンジの連続だったという。
「四角形が当たり前だったカメラの形が丸くなったことで、丸い筒の中に四角い部品などをどう入れ込むかという初の試みに、設計する我々も部品等の協力メーカーの方も苦労の連続でした」(水上氏)
「カメラとスマホはNFCワンタッチでWi-Fi接続できます。今までのWi-Fi内蔵カメラを使ったことがある方なら、QXシリーズでの”サクサク”レスポンスに驚くはずです。Wi-Fi経由でもストレスなく撮影できるように、カメラ側のレスポンス改善に取り組むとともに、数多くのスマホを検証してレスポンスの癖を見出し、目標を一つひとつクリアしながら、経由の時間をできる限り短縮する試行錯誤を重ねました」(伊藤氏)
見た目も斬新だが、カメラとしての新しさ、快適さ、そして質の高さを実感するには「触ってもらうのが一番」とは設計・開発チームの一致した意見だ。
「プロカメラマンのサブカメラとしても使えるほど高性能のレンズとイメージセンサーを搭載しているため、普段何気なく撮っていた写真への新たな気付きがきっと生まれるはずです。スマホのカメラで充分という方もまずは使っていただき、『サイバーショットってすごいな』と少しでも感じていただけたら嬉しいですね」(兼子氏)