テロに備えよ! 日本はテロと戦えるのか

2015.3.10

社会

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人質となっていた後藤健二、湯川遥菜両氏が殺害された。実行したのは国際テロ組織「イスラム国」で、日本に対する事実上の”宣戦布告”だ。安倍政権集団的自衛権の具体的行為の範疇に「人質救出」を盛り込もうと意欲的。だが、テロ集団を相手に果たして自衛隊が戦えるのか。過去のテロ事件や、日本政府のこれまでの対応など、気掛かりなポイントを解説する。

テロは政治的・宗教的な暴力

「テロ」とは英語の「テロリズム(Terrorism)」の略で、ラテン語の「テレオ」(恐怖)が起源。「テロル」とも呼ばれ、人気アニメ『残響のテロル』(フジ系)でも使われている。そして、これを実行する者が「テロリスト」である。「テロ」の定義は各国で微妙に解釈が異なるのが実情で、最大公約数的には、概ねこうなる。

「自分たちの政治的・宗教的な主義・主張を通すために、暴力で社会に恐怖を与えること」

一部マスコミが通り魔事件を「白昼の無差別テロ」と報じることがあるが、背景に「政治的・宗教的」がなければテロとは言い難く、単なる大量殺傷事件に過ぎない。

人類の歴史はテロの歴史

人類の歴史はいわばテロの歴史と言っても過言ではない。「テロ」という言葉が初登場したのは、18世紀後半のフランス革命だ。それ以前に起こったローマ帝国の独裁官カエサルの暗殺や、日本の大化の改新(645年)も、広義には権力奪取を図ったテロ行為だ。

似た意味の言葉でよく聞く「ゲリラ」との違いを、伝統的なイメージで大まかに区別すると、テロリストは世間に恐怖を植えつけることが主眼で、民間人の殺傷に積極的。爆破や暗殺、民間人の誘拐を多用。世界的には「凶悪犯罪者」扱い。

一方ゲリラは、民族自治の獲得や圧政への対抗などが主眼で、住民支援が大前提。民間人の殺傷を避ける傾向がある。一定地域を支配し、国際的に「実効支配する組織」とみなされる場合も多い。一定条件を満たせば政権側と和睦し戦闘を収束する場合もある。ただし、テロリストとの線引きは非常に曖昧だ。

テロ組織のリーダーは高学歴

テロ組織を束ねるリーダーたちは概して高学歴で、貧困とは無縁の中産階級や富裕層出身の人間が多い。組織を統率するためには、他人を魅了するカリスマ性や、持論を相手に納得させるだけの話術、理論建てが欠かせず、それには高いIQが必要だ。資産家の息子だったアルカイダのオサマ・ビンラディンは大学で経営学を学び、「イスラム国」の指導者、アブバルク・バグダディ容疑者もイラクの大学でイスラーム学の博士号を取得すると目される。ただし末端の構成員はその限りではなく、むしろ貧困や社会に不満を持つ低学歴の人材の方が扱いやすいだろう。

国際的な統一規定は存在しない

「これがテロリスト」と国際法や国連で認定し取り締まる条約は、実のところない。ハイジャックなどを禁じる協定はあるが、あくまでも個別行為の列挙にとどまる。というのも、国家によるテロ「国家テロ」の扱いが問題だからだ。暴力で政権維持する独裁国家は数多く、その元首の行為も見方によってはテロとなる。だが、独立国内の政治に他国は関与せずという内政不干渉は、国際社会の大原則。仮にも独立国のトップを逮捕する権限が一体誰にあるのか。

1986年、アメリカはリビアの独裁者カダフィ大佐の殺害を狙い、空母や攻撃機を繰り出し爆撃作戦を展開したが、この場合、首謀者となる当時の米レーガン大統領を誰が”お縄”に?

さらには、圧政に対抗して闘争するゲリラ組織も、独裁者から見ればテロリストとなるが、このとき国際社会はこの組織を罰することができるだろうか。

新たに出現した「国際テロ」の概念

2001年に発生したアメリカ同時多発テロ「9・11」で、テロに対する国際社会の認識は180度変わった。いわゆる「国際テロ」という概念である。

伝統的なテロの大半は、東西対立の枠組みの中での”戦闘行為”で、背景には必ず米ソどちらかの陣営の影があり、両超大国がコントロールできた。ところが冷戦終焉後に、オサマ・ビンラディン率いるテロ組織・アルカイダが9・11という無差別テロを敢行。狂信的なイスラム系組織だが、特定の解放区を有しているわけでもなく、国家の後ろ盾もなく、世界中の賛同するテロ組織と共闘し合いながら市民を標的にした自爆テロに臨む。

そして近年、さらに過激なテロ集団「イスラム国」も出現。現行の国際社会そのものの破壊を宣言して支配地域を拡大、広大な”イスラム帝国”の建設を夢見るという、いまだかつてないテロ集団が出現した。これに対し国際社会は「国際テロ=国際犯罪」とみなし、その定義づけと彼らを封じるための条約作成を急ぐが、後手に回っているのが実情である。

☞ 古今東西の主なテロ組織