3月23日に亡くなったシンガポールの初代首相、リー・クアンユー氏(享年91)の国葬が3月29日に行われました。葬儀場となった同国内の大学講堂には安倍晋三首相や韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領など23ヵ国の首脳を含む2200人が集まり、シンガポール建国の父の死を悼みました。
リー氏は建国から25年間首相を努め、シンガポールを世界有数の富裕国に育てました。”開発独裁”と呼ばれる権威主義的な体制の下、経済政策を強引に推し進めたことへの批判もありますが、1人あたり国内総生産(GDP)がアジアで最も多い国を築き上げたその実績は、高く評価されています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q今回の国葬に安倍首相が葬儀に参列しましたが、これには何か大まかな基準などがあるのですか?
A明確な基準はないと思う。
相手国との親密度や、今後の関係などを考えて決めるもの。国会の会期中であれば、国会の承認が必要なので与野党が思いっきり対立している時などは行きにくいこともあるよね。首相がいつも行けるわけじゃないから、副首相はなど首相の名代を派遣することも多い。
余談だけど、アメリカでは、大統領が議会に出てくるのは年に10日ほど。日本のようにいつも議会に縛られてるわけじゃないんだ。日本も外務大臣や首相は議会に縛られないで、外交や内政に取り組めるといいんだけど。
Qリー氏が設立に関わった東南アジア諸国連合(ASEAN)ですが、これはヨーロッパ連合(EU)のようなものなのでしょうか?
A僕が中学の頃は、ASEANとEC(欧州共同体、EUの前身)が普通に社会の教科書に出てきたから、隔世の感だね(笑)。EUとは大きく違う。
EUは特殊な連合で、世界的にあのような集合体はほかにない。国を超えて、一つの国のような形を取っているんだから。通貨まで共通にして、域内の出入国も基本的には自由。パスポートもいらない。EUには大統領までいて、決めごとに法的な拘束力まであるんだ。
ASEANはTPPのようなもの。2国間で経済的な取り引きする自由貿易(FTA)を、域内の多国間でやりましょう、と。
決めごとに法的な強制力とかはないし、先進国に経済的に追いつこうと東南アジア内で決めたものだからEUとは違うよね。それこそ、EUの前身であるECに近いかも。
(佐藤尊徳)
[参考:「『アジアの時代』指導者悼む リー・クアンユー氏国葬」(日経新聞7面 2015年3月30日)
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