佐川急便を傘下に持つSGホールディングスとローソンが、共同出資で新会社SGローソンを設立、コンビニを拠点とした宅配サービスを開始します。2015年6月に20店でサービス開始、15年度中に都内約100店舗まで広げる予定。
SGローソンでは、コンビニの商品倉庫や駐車場などの空きスペースを活用して宅配拠点とし、佐川がコンビニに預けた荷物を自社の配達員が半径500メートルの配送エリアに届けます。
配達員はタブレットやカタログを持参して、配達時に弁当などのコンビニ商品の紹介も行い、荷物と一緒にコンビニの商品を配達することも可能です。買い物に出にくい高齢者や、忙しい共働き世帯などの消費者を狙います。
業種の垣根を越えた連携は、楽天と日本郵便がによる新サービスが2015年4月9日に始まるほか、ユニクロのファーストリテイリングと大和ハウス工業のタッグなど相次いでいて、今後の広がりが期待されます。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q提携と、共同出資による新会社の設立にはどのような違いが?
A真剣度が違うよ。
単なる提携だと、それぞれが自分たちの仕事にだけ力を入れがち。でも共同出資で一緒に会社を作れば、それぞれの強みを生かしながら、それぞれの異なる視点が交わることもある。
今回でいえば、荷物を届けた先で注文を聞く”ご用聞き”がそう。提携だとうまくいかなくなったら解消すれば済むけど、一緒の会社だとそう簡単な話じゃない分、真剣度が違うね。
、
Q販売と物流の連携が広がり、ほかのコンビニもこれに追随した場合、2015年のコンビニトレンドは宅配サービスになるかもしれませんね。
Aそうだね。コンビニはもう飽和状態。次の手を考える時期なんだ。
Amazonや楽天などの通販事業が世の中を席巻する時代になり、原材料から生産、消費までの物流「ロジスティクス」がとても重要になっている。EC(イーコマース)でモノを買っても、すぐに届けてくれないと離れていってしまうほど消費者は”待てない”からね。
だからコンビニだけじゃなく、スーパーも宅配事業に力を入れている。それに、これはからは高齢者がどんどん増えてくるから、近隣に生活必需品を買うがない”買い物難民”になってしまった人たちを取り込むことも課題だ。特に、コンビニは高齢者の取り込みが業容拡大のカギになってくる。
人件費やガソリン代の高騰(最近は少し落ち着いてきたが)などで、宅配業者の人手不足が深刻な問題になっているので、そんなに簡単にクリアできるものじゃないと思うけどね。
(佐藤尊徳)
[参考:「佐川、ローソンと新会社 コンビニ、宅配拠点に」(日経新聞朝刊1面 2015年4月7日)]
[わかるニュース]
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