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いま、なぜ、地方創生なのか? 数十年後の日本に起こる衝撃予想

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地方から人が減っているのはだいぶ前から話題になっているが、今になってなぜ、「地方創生」という国を挙げた政策として稼働し始めたのだろうか? キーワードは「増田レポート」だ。

「増田レポート」が出した、衝撃の数字「523」

2015年5月に日本創生会議の増田寛也座長が公表した、いわるゆ「増田レポート」。これによれば2040年までに全市町村のほぼ半分、896の自治体が深刻な人口激減に陥ると予測、これを「消滅可能都市」と命名した。しかもその内のほぼ6割、523自治体が人口1万人を下回り「消滅の可能性高し」と警告。全国の市区町村が慌てたのも無理はない。

根拠として掲げたのは「子孫を生み出す偉大な母力(ははりょく)」=女性人口の推移だ。特に出産適齢期とみられる「20~39歳」に焦点を当て、”彼女ら”の人口が将来増え、そして生涯何人の子を産むかを、市区町村ごとに予測・数値化したのである。いわば”人口の再生産力”一覧だ。

日本の総人口見通し

あなたの故郷も「消滅都市」!?

ではどのようなメカニズムで町は消えていくのか。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)のシナリオではこうだ。
まず、人口流出がなく、日本の合計特殊出生率(TFR)「1.4」をキープした場合でも、2040年には再生産力は3割減。だが直ちにTFR「2.0」、つまり2人以上の子供を出産するよう対策を施せば、歯止めがかかるという。

ところが仮に同条件でも、人口流出が3割にも達する自治体には破滅が訪れる。2040年の再生産力は半分、2080年には実に8割減まで落ち込むと推定。再生産力の低下と流出のダブルパンチで、人口も比例するように急減、逆に高齢化だけが際立つ、まさに負のスパイラルだ。

最悪シナリオを回避するには、TFRを「2.9」以上、つまり3人の子供を産み育てられるような施策が急務。並行して、若い世代の流出阻止、つまり「定住したい」と思わせる施策を捻り出さなければ、穴の開いたバケツに水を入れるようなもの。町の消滅は決定的だ。

主な国の合計特殊出生率(TFR)

合計特殊出生率(TFR)

「その国の女性1人が生涯何人の子供を産むか」の平均値で、出産適齢期といわれる15~49歳に授かった子供をカウント。仮に100人の女性が2人ずつ産めば子供の数は200人、TFRは「2.0」となる。通常、出産にはパートナーとなる男性(夫など)が必須なので、単純計算で「男女2人が生涯2人の子供をつくった」となり、理論上「2.0」らなその国の人口の増減はない。だが実際は事故などで死亡する子もいるので「2.08」が増減ゼロのライン(人口置換水準)となる。
日本の場合、終戦直後の1947年は「4.5」と高率だったがその後急速に右肩下がりのカーブとなり、1970年代半ばからは「2.0」を割り込み、現在(2013年)は「1.43」。この数値、世界約200ヵ国中190番目ほどの最低レベルでもある。