人材サービス大手のパソナグループは、地方で雇用を生み出し、産業を活性化する活動を行っている。例えば、農業人材の育成や、廃校を地域活性化拠点に作り変える取り組みなどだ。2015年4月からは道の駅の運営にも乗り出した。
“新たな農業”や被災地就労支援など積極推進
パソナグループは、2003年から地域活性化事業を積極的に推進している。農業支援、東北地方の復興支援、淡路島の産業創出が三本柱だ。
農業分野では、加工や販売も手がける”6次産業化”を目指して人材を育成。東京・大手町のグループ本部ビルでは、1Fフロアに水田を設置し米を育てるなど、農業の情報発信にも取り組む。
東北では、東日本大震災以降、被災地域の就労支援や人材育成を手掛け、2015年4月からは全国の企業や団体などに被災地域で実施する「研修ツーリズム」を通して、人材開発と事業開発支援を行う「パソナ東北創生」を設立した。
淡路島では廃校を再生し、マルシェやレストランを備える地域活性拠点「のじまスコーラ」を開設したほか、農業や芸術を通じて地域活性に取り組む人材を育成するプロジェクトも実施してきた。
京都府丹後地域
6+4=10次産業化拠点!? 西日本最大級の道の駅で人材育成
パソナグループは2015年4月、京都府京丹後市にある道の駅『丹後王国「食のみやこ」』の運営を始めた。地元企業6社と共同会社を設立し、府や市の支援を受けながら運営している。
同施設は4月に京都府農業公園から丹後王国にリニューアル。広大な敷地に、地域の食材・名産品が買える販売所や農家直営のレストラン、チーズの加工場、野菜や果物の収穫を体験できる農園、ホテルなどを整備した。敷地面積は34万平米で、道の駅としては西日本最大級。観光案内を含め、地域の情報発信拠点としても機能させていく。
ここでも人材育成に注力し、農業、漁業、観光、外食の研修を実施。地域の6次産業化を促進するとともに、人材育成(4次産業)も行うことで「10次産業化拠点」とする考え。「地域で新しい産業を興す人材を誘致し、地域の持続的な発展を促したい」(南部氏)。
兵庫県淡路島
淡路花博と妖怪ウォッチがコラボ
パソナグループは、兵庫県の淡路島で開催中の「淡路花博 2015 花みどりフェア」(2015年5月31日まで開催)にて、人気アニメ『妖怪ウォッチ』とコラボしたアトラクション「妖怪ウォッチ 探険!花の島」を運営中だ。タブレット端末とAR(拡張現実)技術を使って、館内に隠れた妖怪を探したり、自分でぬり絵をしたジバニャンを花畑に3D投影したりして、親子で楽しめる。
同グループは淡路島の地域振興に力を入れており、新会社3社を現地に設立している。3社のうち、漫画・アニメ文化を通じた地域活性事業を営むアニメエッグが、今回のアトラクションの制作にも携わった。