経済

長い金融緩和はバブルを招く 株価が高いうちに好循環の土台作りを

0コメント

4月22日の株式市場で、日経平均株価は大幅に上昇し終値で2万円を超えました。終値は前日比で224円高い20,133円。ITバブル期の2000年4月14日以来となります。

これについて政府内・与党からは「アベノミクスの経済政策が評価されて実現できた」(菅義偉官房長官)、「企業や個人も豊かになる」(細田博之自民党幹事長代行)など歓迎する声が相次ぎました。

一方、野党からは日銀の金融緩和(緩和マネー)などで株価を下支えしていることや、政府の意向を受けた行政法人による日本株買い支えなどへの批判の声も。民主党の長妻昭代表代行は、「舞台裏は危うい官製相場だ。足場は脆弱なのではないか」と指摘しています。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q批判された官製相場ですが、具体的にどのようなリスクがあるのですか?

Aどんなものにもリスクはあるから、仕方ない気がするけど。これはバブルのリスク。

金融緩和というのは、金利を下げて(中央銀行が市中銀行に貸し出すときに使う公定歩合を下げる)、市場にお金を出していく作業。景気を刺激するため(デフレを解消するため)に、なるべく市中にお金を出して設備投資などに回してもらおうと、中央銀行は操作する

でも、低金利でお金が調達できるなら、それを株式や土地に投資した方が得策だと考えて実体経済とはかけ離れた価格形成がされることがある。これがバブル。(リーマンが破綻するなど)何かのきっかけで、これが弾けると一気にマネーが逆流して、損失を抱え込むことになる。あまり金融緩和が長くなると、こういう副作用が出てくるってこと。


Q終値2万円台というターニングポイントを迎え、政府と企業はそれぞれどう変わっていく必要があるのでしょう?

A株価がいくらになったからといって、変わる必要はないよ。

株価はあくまで市場が決めた価格で、政府が強制的にしたものでもない。2万円というのは単なる数字だから。企業はより利益を出す努力を、政府は規制緩和などをして、経済活動がスムーズにするようにしていくこと。

株価が高いときには、金融機関は含み益などで機動的な投資ができるし、上場企業はエクイティファイナンス(市場から資金を調達すること)でよりたくさんのお金を調達できる。だから、この間に好循環を作る土台を築くことだね
(佐藤尊徳)

[参考:「日経平均2万回復 与党『政策に評価』 野党『官製相場だ』」(日経新聞朝刊4面 2015年4月23日)「日経平均15年ぶり2万円 主役が一変」(日経新聞1面 2015年4月23日)]

★★もっと知りたい! 本誌に出せない情報をメルマガで配信中★★
無料メールマガジンの登録はコチラ