衆院選 与党が3分の2を維持 安倍首相の続投で55年体制の再来か

2017.10.23

政治

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衆院総選挙が10月22日に実施され、与党の自民、公明両党が全議席の3分の2である310議席超を獲得して圧勝。これで安倍晋三首相の続投が決まり、首相の目指す憲法改正が現実味を増した。野党では立憲民主党が希望の党を上回り、野党第一党に躍進。野党再編にも注目が集まりそうだ。

与党3分の2議席、野党第一党は立憲民主党

台風の影響で一部地域の開票が遅れ、10月23日午後に全議席が確定した。投票率は53.68%と戦後2番目に低い水準だ。衆院の定数は今回から465に10削減され、自民党が284議席、公明党が公示前から5減の29議席を獲得。与党の獲得議席は313で、全議席の3分の2をわずかに上回った。

野党では立憲民主党が公示前の3倍超となる55議席を獲得。7減の50議席にとどまった希望の党を上回って野党第一党となった。希望の党が小池百合子代表の「排除」発言で失速するなか、政権批判票の受け皿となったとみられる。

立憲民主と組んだ共産党は、皮肉にも立憲民主に票を奪われ9減の12議席。同じく立憲民主と組んだ社民党も2議席にとどまった。希望の党と協力した日本維新の会は新党が乱立する中で埋没し、3減の11議席となった。日本のこころや新党大地、諸派などは議席の獲得がかなわなかった。

与党の圧勝により、まず決まったのが安倍晋三首相の続投だ。森友・加計学園問題などへの対応で批判が集まり、不支持率が支持率を逆転。「選挙の最大の争点は安倍政治を続けるかどうか」ともささやかれたが、なんとか苦難を乗り切った格好だ。一時は希望の党への期待が膨らみ「首相の計算違い」とも報じられたが、結果的には野党の準備が整う前に解散に打って出るという戦略が功を奏したといえる。

安倍首相の続投で高まる改憲の可能性

首相の自民党総裁としての任期は来年9月までだが、今回の勝利により3回連続当選に近づいた。3選が実現すると任期は2021年9月までとなり、東京2020オリンピック・パラリンピックは安倍首相の下で行われることとなる。

政策的には、自民党、公明党、日本維新の会などの改憲勢力が引き続き衆参両院で3分の2勢力を維持したことで、憲法改正の実現可能性がぐっと高まった。自民党は早ければ今秋の臨時国会に改正案を提示する方針。そこから首相の目指す9条改正を急ぐのか、それとも9条改正に慎重な公明党に配慮して緊急事態条項や環境権などの創設などを優先するのか、与党内での調整が本格化する。

野党内でも希望の党や日本維新の会が憲法改正に前向きで、衆院では仮に公明党が反対しても希望や維新と組めば3分の2を確保することができる。ただ、希望の党には参院議員が3人しかおらず、民進党に残った参院議員にはリベラル系が多い。勢いを失った希望の党に合流する議員は少ないとみられ、参院では公明党を除いた改憲勢力で3分の2を確保するのは困難。結局は公明党の意向に配慮せざるを得ない状況が続くとみられる。

もう一つの政策的な争点だった消費税増税については、与党案通り2019年10月に10%に引き上げられる公算が大きくなった。安倍首相は増税で生まれる財源について、一部を幼児教育の無償化に充てる方針だ。

55年体制に逆戻りか

選挙前は”首相の傲慢さ”に批判が高まっていたが、結果的には新党の乱立で政権批判票が分散。野党は2012年、2014年に続いて与党の3連勝を許した格好だ。しかも、選挙前は民進党という最大野党が存在したが、立憲民主党と希望の党という小政党に2分割され、野党の発言力がますます低下する可能性がある。

また、”小池人気”が急低下するなか、選挙中にもかかわらず希望の党の候補者からは小池氏を批判する声が出ていた。小池氏側近の若狭勝氏が議席を失ったこともあり、党内で混乱が生じる可能性は小さくない。今回、無所属で当選した候補者や民進党に残った参院議員を含め、さらなる野党再編の動きが始まる可能性もある。まずは希望の党が首班指名で誰を選ぶかにも注目だ。

首相による突然の解散表明に始まり、希望の党の設立と民進党の合流、立憲民主党の設立と、目まぐるしく情勢が変化した今回の衆院選。希望の党の小池氏と民進党を事実上解党した前原誠司代表によって、この20年間の2大政党体制に終止符が打たれ、結果的に希望の党が惨敗したことで、かつての55年体制に逆戻りすることも指摘されている。

首班指名が行われる特別国会の召集は11月1日。新内閣発足後は、トランプ米大統領との日米首脳会談、自民党の改憲案提出などを経て年明けの通常国会へと入っていく。圧倒的多数の与党を前に、野党はどれだけの存在感を示せるだろうか。選挙戦は終わったが、あくまで重要なのは政局よりも政策であることを忘れてはならない。