日本経済新聞社は、英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズを発行するフィナンシャル・タイムズ・グループを買収しました。株式総額は8億4400万ポンド(約1600億円)。
フィナンシャル・タイムズは世界有数の経済メディアで、ブランド力に定評があります。紙メディアの購読にかける費用や時間が年々減少するなかでデジタル化の流れにもいち早く応じ、現在ではデジタル版の有料読者が約50万人と全体の70%を占めています。
この買収で、日経は、電子版の有料読者数が米ニューヨークタイムズを抜いて世界トップに。経済・ビジネス情報はデジタル時代に高い成長が見込める分野で、日経+フィナンシャル・タイムズは、今後さまざまなデジタル事業に取り組んでいく予定です。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q最近の日経でも特に大きく取り上げられた1面記事だと思います。これは自社ひいきの結果なのか、それとも本当に実社会に強い影響を及ぼすことなのか、どちらでしょうか?
A両方だね。
この記事に関しては日経以上に詳しく書けるところはないでしょ。新聞は他紙に出し抜いて記事を扱いたいから、独占できるこの件に関しては大々的に報じられる。
金額も1,600億円と高額だからニュース性もあるし、フィナンシャル・タイムズといえば、世界的にも超有名な経済紙なので話題性もあるよね。これが実社会にどこまで影響してくるかはわからないけど。
Qメディアが海外企業を買収すると、どうなるのかよくわかりません。イギリスで”nikkei”を売り始めるわけではないですよね?
A日本の情報を海外が欲しがってると思う? 残念ながらないな。
日経は、フィナンシャル・タイムズのネームバリューと、デジタル版マーケットに一日の長があるピアソン社を買収して、そのノウハウを吸収したいんだよ。もう紙だけでは生きていけないことを肌で感じているから、先手を打ったということ。
ただ、今までも日本の会社が欧米の企業を買収しているけど、うまくいっていないことも多いので、それなりに苦労すると思う。しかも、ピアソン社は伝統ある企業だからね。
[参考:「日経、FTを買収 経済メディア世界最大」(日経新聞朝刊1面 2015年7月24日)]
[わかるニュース]経済新聞やテレビをはじめとする難しい政治・経済のニュースを、就職活動に役立てたい現役大学年生のT君が、気になることを尊徳編集長に質問します。
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