経済

「板読み」で判断力をつける

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株の売買には売り手と買い手が必要で、ある銘柄にどれだけの人が売り買いの注文を出しているのか表したのが「板」だ。知らないとただの数字の羅列だが、実際に株を買う上でとても大切な指標なので覚えておこう。

投資はじめて物語 3ヵ条

①簡単・実践的
②儲けに走らない
③すべては自己責任

実績の「チャート」、リアルタイムの「板」

株の売買は、売り手と買い手がいて初めて成立する。「板」は、その銘柄にどれだけの売り手と買い手がいるかを一覧にした表のようなものだ。”気配値(けはいね)”とも呼ばれ、リアルタイムの情報が表示されるので、一般の投資家からデイトレーダーまで多くの投資家が、株を売買するときの参考にしている。

「板」は誰でも見られるチャートとは違い、証券会社に口座開設しないと見ることができない。ネットで売買する際には欠かせないものなので、しっかり有効活用していこう。次は基本的な読み方の解説だ。

「板」の読み方 基本編

左側の「売り気配株数」は”売りに出されている株数”で、右側の「買い気配株数」は”買いの注文が出ている株数”。中央は株価。見てのとおり、6,561と6,560のところで「売り板」と「買い板」の境目ができていると思う。そこが現在の株価(現値)だ。株価は売りと買いがせめぎ合うことで決まっているのだ。

例えば6,561の株価には1,300という数字が入っているが、それは6,561円で売りたい人の株の合計が1,300あるということを表している。その下の6,560は、買いたい人の株の合計だ。では、売り買いが成立すると現値がどのように動くか見てみよう。

「板」の読み方 売買が成立したとき編
「板」とあわせて現値の表も参考に。その日どんな値動きをしているのかをトータルで把握して、読みを深めよう。

この状態で、6,560円に指値で2,000株の売りが入ったとしよう。すると、買い板の1,300株はすべて消えて、代わりに売り板に700株の売り注文が出現する。そして株価は6,559円に下がるという仕組みだ。

株の取引は「成り行き」「指値(値段)」「時間」の順で成立するため、もし6,560円で売りたいと思ったら、指値で注文を出しても1,301番目に並ぶことになる。「そんなに待てない! 今すぐ売りたい」と思ったら、成り行きで注文すれば即座に売れるが、手前の価格の株が一気に売れてしまうこともあり、タイミングによっては予想外に安い価格で売ってしまうことがあることも注意しておこう。

「板」を参考にするときに注意したいこと

買いの注文が多ければ株が「高くなりそう」、逆に売りの注文が多ければ「安くなりそう」といった具合に、「板」を見てどの価格にどのくらいの注文数があるのかを知ることで、取引の流れを感じることができるはず。

ただ、表示されているものだけで判断するのはちょっと怖い。注文がどちらかに偏ることを「売りが厚い」「買いが厚い」といい、そこが壁となってなかなか株価が動かないように見えるときがある。しかし、機関投資家などの大口投資家は、指値ではなく成り行きで買ってくるため、厚いと思っていた壁があっという間になくなり、パッと見を信じて成り行きで注文すると、予想外に高い(安い)価格で約定してしまうこともある。傾向はあるにせよ、「厚い」「薄い」といった注文数は参考程度に留めておくのがよさそうだ。

「板読み」は慣れることから

過去の実績から次の流れを読むチャートに対し、一瞬一瞬をとらえた「板」は場の雰囲気や流れの方向性、強弱をより細かく感じることができる。その反面、出来高が多い銘柄はすさまじい早さで各項目が変化するため、目が慣れていないと追いつくのもままならない。

また、「板」が面白いのは、数字の変化にもかかわらず、市場に参加している人たちの考えていることがわかること。デイトレーダーは「厚い」方についていく傾向があったり、大口投資家が動くと大幅に株価が変化したり。まさに心理戦といっていい。とにかく実際に見て慣れることが大事なので、市場が動いているときにできるだけたくさん見て、読みの感を磨いてほしい。