インターンシップ編
経団連加盟企業の採用選考が8月に解禁され、内定のピークを迎えた2016年新卒の就活。学生は相当混乱したというが、企業側に変化はあっただろうか。
三菱商事 人事部 S氏(仮)
入社21年目。採用チームの責任者として、企画から現場までを取り仕切る。温和だが鋭い目つきが厳しい一面をのぞかせる。
採用には関係ない?
大手企業が考えるインターンのメリット
編集部 今回、インターンシップを実施したそうですね。
S氏 選考に先立ち、インターンシップを8年ぶりに行いました。合計120名ほど募り、総合商社の仕事がどういうものかイメージしてもらえるものを企画して実施しました。募集定員の数十倍の応募がありましたね。
編集部 数千人を選別するのはとても大変そうですが。
S氏 目的意識が高い人を見つけるために、簡単なアンケートで、インターンシップを受けたい理由や、それを通じて何を得たいかなどを書いてもらい、人選の参考にしました。
編集部 どんな人が選ばれるのですか?
S氏 まずアンケートに対して文字数が圧倒的に少ない人を除いて、すべて読み込み、鋭い視点や面白い発想を持っている人を選びました。最後に大学や学部名なども見て、偏らないように調整も。
編集部 学生にとってインターンのメリットは何だと考えますか?
S氏 一定期間、集中的にその企業について考えることになりますし、社員と接する機会も多いため、企業風土も含めた理解ができることがメリットと思います。学生が進路選択を考えるうえでは有効な材料になるのではないでしょうか。
編集部 ほかにはないですか? 例えば採用に有利とか、インターンに来ると特別良いことって。
S氏 インターン参加者だけを集めた説明会は行いませんし、直接的には選考に有利になることはありません。ただ、参加者側には特別配慮を期待する声もあり、正直に言うと、それをしないことで学生の心が離れていってしまうのではないかという心配はありました。
編集部 それをやってしまうと、後ろ倒しの意味がなくなってしまいますからね。でも経団連に加盟していない企業は違いますよね。
S氏 決めたことを守っただけですが、内心ではひやひやしていました(笑)。結果的には期待通りの採用ができたと思っています。
編集部 では一旦まとめますと、三菱商事ではインターンをどのようにとらえていますか?
S氏 大学では知ることのできない現実社会と触れ合ういい機会になるので、ぜひとも経験してほしいです。若手でも社会人と学生とはまったく違います。「大して年が離れていないのに、仕事に対する意識がこうも違うのか」と刺激を受けてもらいたいですね。