もしも日本が他国と戦ったら… vs 中国 兵力比較

2014.9.10

政治

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集団的自衛権の行使によって武力衝突もありえる今、気になるのは自国の戦力だ。あくまで軍隊ではなく“自衛”隊しか持たない日本は他国と戦える力はあるのか? 尖閣諸島や戦闘機の異常接近など、領土問題でもめがちな中国との兵力を比較。

※ルール:核攻撃無し、米軍無し

なぜもめる? いまさら聞けない尖閣諸島問題

近年、中国の巡視船が日本の領土である尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返している。中国側は「島は俺のモノだ」と主張してやまないのだが、そもそもこの島は国際法に従い、明治政府が粛々と領有権を確立した土地だ。

尖閣諸島 写真/海上保安庁

19世紀の半ばまで尖閣は無人島で、1872(明治5)年の琉球処分で琉球王国が沖縄県になると、明治政府は島が無主地、つまりどこの国のものでもないことを確認した上で、1895(明治28)年1月に閣議決定を行ない正式に領有を宣言。その後、日本人を入植・定住させたり、島内で行なわれる経済活動への免許交付や土地所有のための登記簿発行など、統治の具体的な行為を平和裏に行なっていた。

太平洋戦争が終わり沖縄がアメリカ統治下に置かれた後、島は無人島の状態にあったが、米軍が射爆場に使うなど支配行為は継続されている。しかし1968年に国連機関が東シナ海に巨大海底油田が眠る可能性大との調査報告をまとめると、中国は唐突に1971年頃から領有権を主張し始め、現在に至っている。

これでもわかるように1895~1970年の70年以上にわたり、中国は一度も領有権の主張を行なっていない。仮に領有権があったとしても、長期間にわたり異議を唱えることをしないと、相手の領有権を認めたとみなすのが国際法の解釈。現にプレア・ビヘア寺院領有権問題(タイとカンボジア)では、地図上に描かれた国境線に間違いがあったものの、タイ側はこれに40年間異議を唱えなかったとして国際司法裁判所はタイ側の主張を退けている。

また、領有権の根拠として中国側は、1400年代の明の時代に書かれた文書に島の存在を示す記述があるなど、いくつも古文書を持ち出すが、あまりに古い証拠は単なる水掛け論となり説得力に欠けることから、国際法では近代以降の国家が正式に発行した文書の証拠を重んじる。

実際、マンキエ・エクレオ島領有権問題(英仏)で国際司法裁判所は、漂着した水死体の検視を警察官が行なったとして英側に、またパルマス島領有権問題(米蘭)では、常設仲裁裁判所(第2次大戦以前)は、ウミガメの卵の採取の許可書を発行したとして蘭側にそれぞれ軍配を上げている。

近年の尖閣諸島を巡る対立

2004年 不法上陸した中国人を初めて逮捕
2008年 中国の巡視船が初めて領海侵犯
2010年 中国漁船衝突事件。船員を逮捕
2011年 中国軍用機が初めて領空に接近、中国ヘリが海自護衛艦に異常接近
2012年 香港活動家上陸事件。逮捕。尖閣諸島国有化
2013年 中国が尖閣上空に防空識別権設定

日本 vs 中国 兵力比較

[日本]自衛隊 自衛のスペシャリスト集団

陸海空3自衛隊の人数は約225,000人。国土防衛の最後の砦、陸上自衛隊は約140,000人、戦車約700台を持つ。また近い将来、戦車数は300台まで削減される。これに対し、周辺国の陸軍の兵員数/戦車数は、中国2,300,000人/7,400台、韓国660,000人/2,400台、北朝鮮1,200,000人/3,500台と断然多い。

ただし、日本は島国。いくら陸軍兵力が多くても、日本列島に攻め込むには海を渡らなければならないので、単純な数字の比較は無意味。ちなみに、冷戦時に大陸軍国を誇ったフランスは120,000人/250台、ドイツは70,000人/300台と、実は陸自よりも小規模なのだ。

陸自は現在、中国情勢に対応するため、勢力を九州に重点配備する西方シフトを実践中。加えて離島防衛に対応するため、上陸作戦専門の日本版海兵隊、水陸機動団(約3,000人)も創設中でアメリカから水陸両用装甲車も導入。急速に体質改善を図っている。

写真/陸上自衛隊

海自は42,000人で、大型の護衛艦(軍艦)は50隻弱、潜水艦は16隻。本格的な空母はないが、総合力では世界の5指に入る。高度な防空システムを持ち弾道ミサイルも迎撃できるイージス艦6隻(世界2位)や、ヘリコプター多数を載せた事実上の軽空母、ひゅうが1隻を持つのが特徴。さらにひゅうがより大型のいずも型1隻もまもなく配備される。

潜水艦の実力も世界屈指で、注目は5隻のそうりゅう型。大気中の酸素を取り込まなくても1週間以上潜航できるAIP(非大気依存推進)エンジンを搭載、原子力潜水艦(原潜)を除き世界最大級の大きさだ。また潜水艦を見つけ出す哨戒機P-3Cを70機以上装備する点も見逃せない。冷戦時代、アメリカ海軍とともにソ連原潜を追い続けて腕を磨いただけに、対潜水艦能力はピカイチ。

航空自衛隊は43,000人。世界トップクラスのF-15J、F-2など戦闘機約330機、空飛ぶレーダー・E-767AWACS(空中警戒管制機)4機、KC-767J空中給油機4機など、世界がうらやむ精鋭機がズラリ。また2018年頃からはアメリカが配達したステルス戦闘機F-35Aの導入も計画、加えて国内でもステルス戦闘機の研究が進んでいる。

とにかく自衛隊は、世界最強の”先生”、アメリカ軍から長期にわたってスパルタ教育を受けているため、作戦技術やノウハウなどは世界最高水準。それに加え、日本人の教育水準の高さや几帳面さも自衛隊の能力を大幅にアップさせている。

とりわけ世界の軍事関係者を驚かせたのが、東日本大震災時の動員力と結束力。当時自衛隊は全勢力のほぼ半分に相当する100,000人を直ちに被災地に送ったが、この大群が一糸乱れず、ひたすら救援に臨む光景に、「この統率力こそが、ある意味最大の抑止力だ」と舌を巻く外国軍関係者もいたほどだ。

[中国]人民解放軍 中国軍は中国共産党の軍隊

中国軍の正式名は「中国人民解放軍」(PLA)で、厳密には国軍ではない。あくまでも中国共産党の軍隊である。簡単に例えるなら、政権を握る自民党の私兵が、「自衛隊」と名乗って日本の防衛についているようなもの

ではなぜ「人民解放軍」と名乗るのか。それは共産党が武力で革命を起こし、国民の大半である農民を貧困と圧政から解放した、という自負があるからだ。

20世紀初めの中国は、正式名を「中華民国」と呼び、資本家や大地主に支持された国民党が政権を握っていた。だが、腐敗政治や貧富の格差拡大、さらには植民地化を狙う欧米・日本など列強の進出で国内は疲弊し、農民は貧困と飢餓にあえいでいた。こうした惨状を打開すべく立ち上がったのが、毛沢東率いる共産党で、彼らは人民解放軍と名乗ってゲリラ戦を展開。農民を味方につけて勢力を拡大し、第2次大戦終結後の1949年には、ついに国民党を台湾に追い出し「中華人民共和国」を成立し現在に至っている。

ちなみに国民党が逃げ込んだ台湾は、今でも自らを「中華民国」と名乗っている。そして人民解放軍側に言わせれば、「まだ台湾にいる人民を解放していない」という理屈で、「解放軍」の看板は当分下ろさないのだ。

兵器・地理・規模…項目別に分析すると

[地理]長期戦は中国に分があり

離島をめぐる攻防戦の場合、制空権を握った方が圧倒的に優位である。そこで航空自衛隊と中国空軍とのせめぎ合いとなるのだが、別項でも触れたように、技術的には日本側の方が優位にある。しかし問題なのは、尖閣から数百kmの場所にある航空基地をみると、日本が圧倒的に不利だということ。これは長期戦になればなるほどボディーブローとして効いてくる。今のところ那覇空港ただ1つしかない(米軍の嘉手納・普天間は除く)のが実状で、しかも滑走路は1本のみ。現在もう1本の増設工事が進められているが完成は2019年だ。

これに対し中国は、中部沿岸地域に多数存在する。しかもこれに加えて周辺には民間空港や高速道路も多数あり、これらも空軍基地としてすぐさま使えるハズ。というのもこの地域は、そもそも中国にとっての宿敵・台湾と対峙する最前線。そのため以前から空軍戦力の拡充が進められてきたのである。つまり対台湾用の軍事インフラを、そっくりそのまま尖閣に転用すればいいのだ。

「日本だって石垣や宮古、奄美大島などに民間空港があるではないか」との声も聞こえてきそうだが、日本の場合、南西諸島にある民間空港を有事の時に自衛隊基地として使う、などとこれまで積極的に考えてこなかった。戦闘機が補給のために1、2度着陸するくらいなら問題ないが、これが長期間続くとなると専門の設備や要員、さらには燃料・ミサイルの備蓄も必要となるのだ。つまり、戦闘機が戦い続けるには、後方支援の整った航空基地でなければダメなのである。しかも当然のことながら、一度に出撃できる戦闘機の数は、空軍基地の数で決まる。機体を維持・整備する能力には限界があるからだ。

さらに、いくら日本のパイロットの方が優れていると言っても、やはり中国の方が戦闘機乗りは圧倒的に多い。長期戦になればなるほど、パイロットの疲労や消耗が激しくなるわけで、交代要員に勝る中国側が有利になる、というわけである。

J-11戦闘機(中国軍)

[規模・コスト]自衛隊の約10倍!200万人を超える中国軍

自衛隊の総数は約225,000名。対して中国軍は2,300,000名でざっと10倍。年間予算も前者が約4.7兆円、後者が10兆円以上で2倍。数字だけだと中国が圧倒的に優勢で、これを基に脅威を煽るメディアも少なくない。だが世界最大の軍隊は、巨体を維持するだけでも大変。

中国の一人当たり平均国民所得は約400,000円。大半は徴兵だから給与は安くあがるといっても、2,300,000人の将兵を1年間養うための衣食住費や光熱費、福利厚生費は年間数兆円は下らない。

また、装備する兵器の多くが旧式で効率の悪い年代モノ。例えば陸軍の戦車数はざっと7,500台、空軍は戦闘機・攻撃機を約1,600機と驚異的な数だが、その半数は1950~60年代の技術をベースとしたビンテージもの。とても現代戦では生き残れない。

もちろん最新型との更新に躍起だが、大半は西側やロシアから導入した技術をベースにしており、国際価格だから安くはなく、大胆な更新などできない。また国産に努めているものの、ご存知のとおり中国はバリバリの資本主義経済で高い経済成長を誇る。つまりインフレや労働コストの高騰も見逃せず、そのまま兵器単価も上昇気味。中国軍の台所も案外所火の車なのだ。

中国軍

[兵器01]潜水艦vs哨戒機

厄介と思われるのが中国の潜水艦。その数は現在70隻で海自の16隻と比べ3倍以上の戦力。問題はその中身だが、まず核弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦=SSBNが4隻、そしてこれを護衛する原潜が5隻。しかしこれらが出撃することはまずない。

となると、残りの約60隻の通常型(原子炉を搭載しない)潜水艦が相手となる。だが半数以上は、基本設計が1960~70年代の旧式。「太鼓を叩くほど」と皮肉られるほど雑音を出すため探知は容易だ。残る25隻ほどは比較的性能の良い、ロシア製のキロ級と中国国産の元(ユアン)型だが、全艦出撃とはいかない。修理中や他海域での警戒を差し引くと、実働は15隻が限界だ。

対する海自の対潜水艦能力は世界1、2の腕前。とりわけ圧巻なのが、潜水艦を探し出し撃沈する哨戒機P-3Cの数。75機という数はアメリカに次ぎ世界第2位の規模だ。上空からソナー(水中レーダーのようなもの)を仕込んだブイを落とし、潜水艦を探知したら専用の魚雷を発射して撃沈する。また、より高性能の国産哨戒機P-1が間もなく配備される。このほか、50隻に迫る護衛艦(大型の軍艦)の大半が対潜能力を持つほか、さらにそ多くが、対潜ヘリコプターを装備するなど、海自の潜水艦キラー能力は絶大。

日本と中国の間にある東シナ海は浅いため、ソナー波の乱反射や海底生物の雑音などに邪魔され、潜水艦の探知は難しいともいわれるが、中国の潜水艦が苦戦を強いられるのは間違いない。

また、気になるのが中国の潜水艦乗りの力量。例えば2004年、秘密兵器の原潜が石垣島近海で領海侵犯し、海自に追い回されたり、2006年にはアメリカ空母の近くに浮上し姿を見せつけた、というニュースが物議を醸している。だが、水に”潜(もぐ)る”ではなく”潜(ひそ)む”が鉄則の潜水艦にとって、これは最低の行為。最高機密であるスクリュー音(音紋という)のデータを相手に取られてしまうからだ。つまり中国潜水艦の艦長のレベルはこの程度、と物語っているのである。

ロシア製のキロ級(中国軍)
P3C哨戒機(自衛隊) 写真/海上自衛隊

[兵器02]空中戦は若干日本が上手

現代戦は制空権を握った方が断然有利で離島ならなおさら。そして現代の空の戦いではジェット戦闘機同士のドッグファイト(空中戦)は、まずあり得ない。今は、AWACS(※)を持つ側が圧倒的に有利。そして日本はこのAWACSとして世界屈指のE-767Jを4機、さらにやや性能の落ちるE-2C(AEW=早期警戒機)を13機保有。西側ではアメリカに次ぐ保有数だ。

一方中国もJK-1、JK-200といった、似た任務をこなす国産機を持つが、数も少なく、技術・ノウハウ共に手探り状態。性能が優れているとは考えにくい。

※AWACS(エーワックス)=早期警戒管制機

旅客機改造の機体の上に大きなお皿(レーダーアンテナ)を載せ、上空から周囲数百kmの敵機を監視。発見と同時に味方機に迎撃方法を指示し、射程の長いミサイルで敵機を撃墜、という戦法が先進国での常識で、要するにAWACSは空飛ぶ「レーダー・管制塔、司令塔」の3役を果たす。技術・ノウハウ、運用すべてにおいてアメリカが世界一。そして日本はこのアメリカに仕込まれている。

E-767(自衛隊) 写真/アメリカ空軍

[兵器03]あっても使えない空母

数年前に中国初の空母「遼寧(りょうねい)」が実戦配備された。戦闘機・攻撃機を30機程搭載するなかなかの巨体だ。一方日本には空母がなく、「中国が太平洋に進出してくる」と懸念する声もあるが、過剰反応はかえって相手の思うツボだ。

まず、空母は絶対に単独行動しない。一見強そうだが防御は貧弱で大海原では格好の標的。潜水艦の魚雷や攻撃機の対艦ミサイルで簡単に撃沈されてしまう。アメリカの空母部隊の場合、潜水艦や対空ミサイル装備の大型軍艦10隻ほどが空母を取り囲み、上空にレーダー装備のAEW(早期警戒機)、はるか前方にも戦闘機を飛ばして警戒しながら移動する。つまり艦隊=システムとして動いて、初めて「空母」の本領発揮となる。これには手間・暇・コスト、ノウハウの蓄積が欠かせないが、中国にはこうした素地がゼロ。

加えて空母は最低3隻なければ戦力にならない。「実戦配備」「訓練」「点検・修理」のローテーションで、初めて「常時1隻の実戦配備」が可能となる。付随する軍艦や搭載する航空機も同様で、これらを全部備えるとなると、調達費や年間維持費は兆円単位。いくら中国でも負担は大きい。

しかも決定的なのが前述のAEWの能力が低いこと。これがないと空母は確実に攻撃機から発射される対艦ミサイルの餌食となる。 中国は2020年までに計4隻の空母を保有するらしいが、果たしてどれだけ本気モードなのか。おそらくは国威発揚と東南アジアへの威嚇に使うのだろう。日本の潜水艦能力や同盟国アメリカの空母艦隊と対抗できるのは相当先になりそうだ。

空母遼寧(中国軍)