投資をする際、タイムリーな行動につなげるためには、”景気”を知ることが必要だ。では、一般的な景気はどこでわかるのか? 指標となる株価指数「日経平均株価」と「TOPIX」について見ていこう。
投資はじめて物語 3ヵ条
[1]簡単・実践的
[2]儲けに走らない
[3]すべては自己責任
日経平均は日本を代表する企業の平均株価
「日経平均大引け、4日ぶり大幅反落 399円安、利益確定売り広がる」(2015/11/2)。この日経新聞の見出しの意味は、「一日の取引が終わった段階の日経平均株価について、上がっていた相場が4営業日ぶりに値下がりに転じ、前週末から399円安い1万8683円24銭で終わりました。値上がりによって出た利益を確定させるための売りが広がったためです」というもの。日経平均の動きは頻繁に報道されるため、ニュースで目にすることも多いだろう。毎日欠かさず報道されるのは、これが日本の景気を表しているからだ。
しかし「日経平均」という名前から”日本全体の株価の平均”と勘違いしている人も少なくない。実際は日本経済新聞が発表する225銘柄の平均株価のことだ。なぜ中途半端な”225″なのかというと、日経平均を取り始めた1950年に上場されていた会社の数がたまたま225だったから。そのため英語ではNikkei225と表記される。
対象となる225社は、東証一部に上場している約1,900の企業の中から、日本を代表する企業として日経新聞が独自に選出。食品、医薬品、自動車、通信、銀行、不動産、鉱業、農業など、あらゆるジャンルから数社ずつピックアップされた企業には、トヨタやパナソニック、ソフトバンク、JR、東電など、誰もが知っている大企業が並ぶ。これら一つひとつの株価を足して、合計を225で割ったのが日経平均というわけ。
史上最高値は、冷戦終結後にバブル経済が頂点に達した1989年12月29日の3万8957円44銭。翌年下降に転じて以来、高値を更新していない。史上最安値は、リーマンショック後の2008年10月28日についた6994円90銭。値動きが経済活動にひもづく世界情勢と連動していることがわかるだろう。
広く浅く網羅するTOPIX
景気を知るためにもう一つ覚えておきたいのが「TOPIX(東証株価指数)」。こちらは、東証一部に上場しているすべての銘柄の時価総額(株価×発行済株式数)を足して、銘柄数で割ったものだ。225銘柄しか対象にしていない日経平均に対し、TOPIXはより広い範囲の日本経済を表しているといえる。しかし、「1,526.97ポイント」というふうに指数化されて表記されるため、”円”で表される日経平均と比べてなじみが薄いかもしれない。ちなみに、円で表すと何百兆円となるため、指標としてはわかりづらいものになってしまう。
株価はときどきウソをつく
さて、日経平均とTOPIXの違いがわかったところで、実際にどのように使うかだが、株価や指数が高ければ景気が良い、低ければ景気が悪い、と考えればOK。難しいように見えて実は簡単なのだ。
ただ、株価はあくまで市場の予想であり、以前から言っているように”人の思惑”がふんだんに入っている。そのため、実際の景気と株価が連動しないケースもある。
例えば世界のどこかで戦争が起きたとして、景気が悪くなると予想した市場が株を売り続けると、実際には景気が悪くなっていなくても株価は下がっていく。結果、世間の人は「景気が悪い」と判断し、買い控えをしたり、経済政策を担う政府を批判したりすることもある。場合によっては、悪くなかった実際の景気まで悪くしてしまうことだってありえる。
株価がどんなものかわかっていれば判断を誤ることはないので、そのときの日経平均やTOPIXが何を表しているのか、立ち止まって意味を考えるようにしよう。
上場投資信託で日本に投資
今回出てきた2つの指標を投資に生かす方がある。それは、「上場投資信託(ETF)」と呼ばれる商品。日経平均とTOPIXに連動した商品で、投資信託自体を上場しているため、普通の株と同じように成行・指値で売買することができる。
利点としては、日経平均、TOPIXといった日本経済全体を表す指標を基にしているため、毎日のニュースで自然と触れることができ、情報が得やすいこと。個別の会社の情報を集めるのは大変だが、日本の景気が上がると思ったら買い、下がると思ったら売ればいいので、細かい判断がつかない初心者向きの投資といえる。
また、インデックス型の投資信託とは違い、コストが少ないために手数料が安く済むことも。各証券会社が商品を発売しているので、チェックしてみてほしい。
一般的な投資信託とETF(上場投資信託)の違い