オープンスカイは桃源郷か? 地獄か?
「JAL対ANA」などと業界を見ていては時代遅れ。空の市場は「オープンスカイ」(空の自由化)で世界とひとつになりつつあるからだ。2国間で空の市場を開放し合う協定で、乗り入れるエアラインの数や発着空港、路線、便数などは原則自由。日本もすでにアメリカや中国、韓国、英仏、豪州、ASEAN主要国など約30の国・地域と限定的にこれを結ぶ。その規模は何と日本の国際線の実に9割以上。近年、海外勢LCCが国内路線にも参入するが、まさにこの恩恵だ。
ただし市場開放はJALやANAにも痛し痒し。自由に国際便を引けるメリットは絶大だが、反面「日本人は日本のエアラインを使うハズ」という過去の経験値は禁物。便利で安くてサービス満点の海外勢が地方空港にも直行便でやって来る。安穏としていると、まさに足元をすくわれかねないのである。
また、日本の空港利用料金は欧米に比べ概して安いが、直接ライバルとなるアジアの主要空港と比較すると1.5倍以上高い。とりわけ航空会社の持ち出しとなる発着料が軒並み2倍以上のため、世界のエアラインは極東のハブ空港としてソウルや上海を選びがち。世界のLCCと戦うためにも、利用料を安くすることは喫緊の課題といえるかもしれない。
国際旅客の70%をカバー 世界3大航空アライアンス
スターアライアンス(SA)
米ユナイテッド航空を核に結集した航空連合のはしり。ANAが加盟
加盟:28社
保有機数:約4700機
アクセス空港:約1330カ所
年間搭乗者数:約6億4100万人
<メンバー航空会社>
ユナイテッド航空(アメリカ)、ルフトハンザ ドイツ航空(ドイツ)、ANA、中国国際航空、エア・インディア(インド)、アシアナ航空(韓国)、シンガポール航空、タイ国際航空、ターキッシュ エアラインズ(トルコ)など
ワンワールド(WW)
アメリカン航空が中心となり結成された「スター」の対抗馬。JALが加盟
加盟:15社
保有機数:約3400機
アクセス空港:約1010カ所
年間搭乗者数:約5億1300万人
<メンバー航空会社>
アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ(イギリス)、イベリア航空(スペイン)、JAL、キャセイパシフィック航空(香港)、マレーシア航空、カタール航空、カンタス航空(オーストラリア)など
スカイチーム
米デルタが首領となって組織された第3極。日本の航空会社は無い
加盟:20社
保有機数:約2820機
アクセス空港:約1060カ所
年間搭乗者数:約5億5200万人
<メンバー航空会社>
デルタ航空、アエロフロート・ロシア航空、大韓航空、エールフランス、中国東方航空、中国南方航空、ガルーダ・インドネシア航空など