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佐藤尊徳が聞く あの人のホンネ

特別鼎談 俺たちは、こうしてどん底から這い上がった サイバーエージェント代表取締役社長 藤田晋 × テイク アンド ギヴ・ニーズ代表取締役会長 野尻佳孝×「政経電論」編集長 佐藤尊徳

2014.03.10

経済

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写真/若原瑞昌

藤田さんと野尻さんは同年代の仲良し経営者。どん底を経験したからこそ、ここまで大きくなれたという2人にどん底からの這い上がり方を聞いてみた。経営者でなくとも参考になることは間違いない。特に野尻さんは、数年ぶりのメディア登場。じっくりと読んでいただきたい。

電子雑誌『政経電論』第3号 巻頭インタビュー サイバーエージェント藤田社長×T&G野尻会長×佐藤尊徳編集長

株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長

藤田 晋 ふじた すすむ

1973年5月16日生まれ。福井県出身。青山学院大学経営学部卒。インターネット総合サービス企業・株式会社サイバーエージェント代表取締役社長。一般社団法人新経済連盟理事。「渋谷ではたらく社長のアメブロ」

株式会社テイク アンドギヴ・ニーズ 代表取締役会長

野尻佳孝 のじり よしたか

1972年6月4日生まれ。東京都出身。明治大学政治経済学部卒。株式会社テイク アンドギヴ・ニーズ代表取締役会長。日本をベースに上海、香港、深セン、ニューヨーク、ロサンゼルスなど世界140ヵ国以上に拠点を持つブライダル会社を経営。

株式会社損得舎 代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳 さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。

Twitter:@SonsonSugar

ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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「投資のしがいがありそうな人」(藤田)

尊徳 2人の最初出会いは?

野尻 独立した時にテレビで(藤田さんを)見て、会いたいと思ったんです。

藤田 それで手紙が来たんですよ。「元・渋谷のチーマーで、明大ラグビー部出身者たちで会社作りました」って。普通会いたくないですよね(笑)。

野尻 そのあと、増資の引き受けをしてもらうために、時間をもらったのが最初だったかもしれません。

藤田 会ってすぐに増資(の引き受け)を決めました。

尊徳 (野尻さんの)何が魅力だったのですか?

藤田 正直、事業の中身はよくわからなかったのですけど(笑)、野尻さん自身が魅力的だったのと、大きなことをずっと言っている割には、数字もきっちりあげているので、こういう人には投資のしがいがあるというか。

尊徳 何か一緒にやったのですか?

藤田 当時26歳だったのですが、業界も異なるので(2人では)遊んでばかりでしたね(笑)。

藤田晋、野尻佳孝

ぼそぼそっと自虐ネタを交えて話す藤田さんになごみ、情熱的な話で野尻さんに引き込まれる。

写真/若原瑞昌

「この世に存在しない方が…とさえ」(野尻)

尊徳 本日のテーマはどん底から這い上がるということですが、お二人のどん底は?

野尻 今から8年くらい前に、株主でもあるお客様が結婚式を挙げてくださったのですが、「今までの期待を裏切られた」と指摘され、会社が大きくなる過程において、このままではダメだとそのとき感じました。そこでトップダウンからボトムアップ経営にして、数字を追い求めることから、とにかくいい結婚式を創るんだと、180度経営方針を切り替えていたところに、リーマンショックが重なり、業績が一気に落ちたのです。”倒産”が頭に浮かんで、従業員とお客様を守れなければ、(自分が)この世に存在していてはいけないのではないかとさえ考えていました。

尊徳 その時の支えは?

野尻 仕事と家の往復で、人と会う精神状態ではなかったですね。結婚と重なったので、家庭が支えでした。あとは、社員への信頼ですね。トップダウンに戻して、業績を回復させることはできたでしょうが、それでは経営者としての”ブレ”になり、頑張ってくれている社員を裏切ることにもなります。でも、心の葛藤は凄まじいものでした。

藤田 以前のやり方に戻ってしまう人の方が多いけど、それではダメになってしまいますよね。野尻さんはその間に外から社長も連れてきて任せました。僕は人に任せ過ぎてうまくいかなくなったこともありましたけど(笑)。

「四六時中突き詰めるともたない」(藤田)

尊徳 藤田さんがきつかった時は?

藤田 順番をつければ、一番は上場直後に買収されそうになった時で、その次は「ダメなら辞める」と宣言してアメーバを立ち上げていた時です。

尊徳 それを抜け出す方策とかあるのですか?

藤田 取り組む時間軸が長いので、やり過ごすための趣味などを作ります。結果が出るまで四半期毎の決算で批判されて、突き詰めていたらおかしくなりますから。もう(ネットなどからの集中砲火で)いじめられっ子状態です。

一度目は野尻さんに助けられました。それまでは、本当に仕事のことしか考えていませんでしたから。中期で計画を立てているのに、(結果がまだ出ない)短期の決算だけで思い詰めていたら、恋愛で「お前がいないと死んでしまう」みたいな近視眼的な人になってしまいます(笑)。だから、仕事以外で誘ってくれて気晴らしの時間が作れたから助かりました。1人だとすさみやすくはなりますよね。

尊徳 最終目標を決めて、その期限まではどのように批判されようと、気晴らしをしながら粛々と実行するということですね。野尻さんは大学のラグビー部の時も辛かったんじゃないの?

野尻 体育会の辛さとは別物ですよね。経営者の辛さって、孤独だし独特だと思います。

藤田 よく体育会出身だと、根性が座っているとか言いますけど、それだけで採用しても、逆に精神的に脆かったりしますよ。

「最後は不感症なんじゃないかと(笑)」(野尻)

尊徳 野尻さんは最近、単身中国に渡って苦労したという話もありますが。

野尻 やっとひと段落ついてから行ったので、単身の立ち上げは大変でしたけど、それまでの苦労によって耐性がついていました。会社を立ち上げた時のような苦労ですよ。駐在員が住むような場所には住まずに、地元の友達作りから始めました。

藤田 そのあと、僕らの仲間で上海に行った時には、もう地元の名士のようになっていましたよ。それは凄かった。スーパースターのような扱いをされて、いろんな人脈も出来上がっていましたから。ワンルームの立ち上げから、どうやってここまで広げたんだというくらい度肝を抜かれました。

尊徳 あのね、今日は成功談はいらないんだよ。

藤田 (成功談は)いらないんだ(笑)

尊徳 挫折の経験は必要ですか?

藤田 どん底を経験すれば、ある程度のことは「どうってことないや」と思えるようになりますから、立ち直れる失敗は糧になりますね。

野尻 藤田さんは段々と辛さの質も上がっていっているのに、耐えきる力がついて、途中で不感症になってるんじゃないかと思えるくらい鈍感力がついた気がします。

尊徳 苦労をすれば耐性がつくということですね。(経営者として)大きくなるには、やっぱり苦労はしないといけないということで今回の結論にしましょう。

【後編】Special Interview サイバーエージェント社長 藤田晋 × テイクアンド ギヴ・ニーズ会長 野尻佳孝

 

株式会社損得舎代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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